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KK原発の原子力防災/ヨウ素のフクシマ東電核災害での評価 [柏崎刈羽原発の防災計画]

東京電力の柏崎刈羽原発(㏍原発)、事故時の住民避難計画を評価してみる。

新潟県と東電は昨年2015年12月16日付で放射性物質の拡散シミュレーションの結果、影響評価を公表している。それらの放射性のヨウ素の扱いを検討してみる。
前 放出量(ソースターム)のヨウ素の設定 http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2016-04-28
中  短期間、スパイク状の被曝量 http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2016-04-28
後 いまここ

それでは、3.11フクシマ東電核災害では、I132やI134による被曝は、どう扱われたか。
環境省は放射性ヨウ素に代表される短半減期核種による事故初期段階における内部被ばく線量(特に、甲状腺等価線量)の推計を目的として、放射線医学総合研究所・放医研に「事故初期のヨウ素等短半減期による内部被ばく線量評価調査」を委託している。平成25年2月にまとめで報告書を出している。
それでは放出されるヨウ素の物理化学的性状(化学形)physicochemical form 別に影響を出している。固形の粒子成分の粒子状ヨウ素と揮発成分のヨウ化メチル(有機ヨウ素)と元素状ヨウ素(蒸気状ヨウ素)の3種に大別した。揮発成分を全て元素状ヨウ素とすれば全てヨウ化ヨウ素とした場合よりも約2割被曝量(シーベルト単位)が増大するとの結果(線質係数が大きい)をしめした。
放医研の線量係数の高い元素状ヨウ素と見なす方法 
 そうした前提でその結果は「評価期間によって各種毎の線量寄与率は変化することが考えられる。評価期間が短い場合にはI-131以外の短半減期核種の線量寄与率が増加することになるが、放射性ヨウ素の揮発成分については保守的な仮定、すなわち(I-131の)揮発成分の全てが線量係数の高い元素状ヨウ素と見なすことで、結果的にはマージされると考えられる。」(報告書P18、P21)とある。マージとは融合する、併合する、合併する、混合する、結合する、統合する、などの意味を持つ英単語mergeからきた、情報工学の用語だ。P18ではI-132などの「線量寄与の不確かさと相殺される」と記されている。
 評価期間が短い場合、例えばシミュレーションでの72時間の場合に、なぜにI-131の被曝量を計算上増やすことが、I-132などの短半減期核種による「かなりスパイクに近い形で甲状腺への照射」のもつ特徴的影響を代理しうるのか。NCRP(米国放射線防護・測定審議会)はI-131よりもI-132は3倍影響が大きいとしている。
見ない資料を提示 
 下の表は、「線量評価調査」報告書にある表。これではI-132の線量寄与が低い。これを見ると「マージされる」「線量寄与の不確かさと相殺される」という放医研の見解は妥当に思える。しかし、何時から何時までを評価したのか。大気中濃度の測定期間は3月13日から5月23日までの71日間。3月11日に原子炉停止してから2日後から始まっている。停止時インベントリのI-132は204万分の1とほぼ無い。I-131は、1.18分の1で84%は残っている。それから後、I-132はTe132の崩壊で生成したものになる。それは、21日後の4月9日には1%程度になり、その簡にI-132は半減期2.29時間だから、その放射線照射≒被曝もほぼ終わる。だからI-132による被曝や線量寄与は、最初の2日間、22日間で評価する方が適切に見える。I-131はTe131mの崩壊生成物が加わるが、9日後、3月20日にはそれもほぼ終わる。だから、最初の9日間、それから10回半減期過ぎ1000分の1以下になる90日間が評価に適切である。
 
I-132など寄与.jpg
 停止時インベントリ(試算値)を見ると、2日間、9日間、20日間ではI-132が激しく崩壊していく様が見える。 http://rpg.jaea.go.jp/else/rpd/annual_report/pdf64/No64-6.pdf
放医研の云う通り「評価期間によって各種毎の線量寄与率は変化することが考えられる。評価期間が短い場合にはI-131以外の短半減期核種の線量寄与率が増加することになる」である。その短い期間に放射線で「短時間に幾つもDNAに傷がついた場合、それが欠損とか、部分欠質とか、あるいは転座というような形で発がんに寄与してくる」ことが懸念される。評価期間を長くとれば、表のように71日とか90日とかで見れば、そうした山は見えなくなる。表は正にそうなっている。放医研の見解は、理論的論考や実証的根拠が無い。
 先に紹介した広島大学の細井義夫氏(原爆放射線医科学研究所)の測定では「私自身は13日から17日まで福島と一部南相馬、それから一部原子力発電所の近くまで行って、その時ヨウ素剤を1錠服用したのですが、それで計算すると私の甲状腺の被ばく線量は約20mSvでした。これはゲルマニウムの検出器で、広島大学にある精密型で測定しております。一番多い摂取はテルル132、次いでI-132が測定されて、I-131がその次。」フクシマの子らはヨウ素剤を服用していないから、被ばく線量は約20mSvでは済まないだろう。
 この研究の目的、短半減期核種による事故初期段階における内部被ばく線量(特に、甲状腺等価線量)の推計にはより短期間での評価を積み重ねる法が適切。

東電・・被曝量が低く評価する方法
 また、東電はI-131に換算したうえで無機の元素状ヨウ素を90.9%、有機ヨウ素4%としている。仮に、仮に環境省の見解「I-131の揮発成分の全てが線量係数の高い元素状ヨウ素と見なすこと」が妥当とするなら、東電は不当に被曝量が低く評価する方法を採っている。

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