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事故時の被曝による急性死亡(被ばく後2~3日)と避難の避難時死亡リスクのリスク比較 残存リスクと被曝防護⑬-F ヨウ素剤検討会『2001.11.13、第4回』メモ [防災‐指針・審議会]

2015年1月24日に九州電力玄海原発で原子力防災訓練が行われた。
その様子を 、平成27年7月2日内閣府政策統括官(原子力防災担当)付玄海地域原子力防災協議会作業部会の報告書、http://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/pdf/02_genkai01.pdf (以下内閣府報告書)、
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会の見学記(以下見学記)
http://saga-genkai.jimdo.com/
等を基に検討する。
東電核災害の経験、双葉病院の避難180人中46人が14日に亡くなる
 双葉病院の寝たきりの180人は、東電核災害で14日の約6時間の避難行で180人中46人が亡くなられた。このような短期間での死亡を取り上げてみる。
玄海訓練02image.jpg 事故時の被曝線量は、予測がつかない。原発原子炉から5㎞圏の PAZは、チェルノブイリ事故では急性障害を生じる線量が観測されたから設けられた。IAEA等は公認していないが、30km圏内で急性傷害の報告がある。事故時の被曝線量は、被爆後1-5日(中枢神経障害)や60日以内の急性死(骨髄障害・造血器官死)を招く線量になる可能性がある。
被曝の急性死亡
放射線被曝では急性死または急性死亡(acute death)が生じる。「放射線による典型的な急性死は3~5Gyの全身被ばくで起こる骨髄障害(造血器官死、造血機能の喪失による白血球、血小板等の減少、これに伴う細菌感染)、5~15Gyで起こる胃腸管障害(腸管粘膜細胞の障害による下痢、体液の喪失、腸内細菌の侵入)と肺障害(肺炎)、それに15Gy以上で起こる中枢神経障害である。」「ヒトの骨髄障害は被ばく後60日以内に50%が死亡する線量(半致死線量LD50/60)で表され、これは先に示した3~5Gyの全身被ばくになる。」(ATOMIC 09-02-03-03)
「50Gy以上の被ばくでは、中枢神経が障害されて、被ばく後2~3日で死亡します。死因は脳浮腫とされ、中枢神経死と呼ばれます。放射線事故等で大量の放射線を全身または身体の広い範囲に受けた場合、皮膚障害を含めてこれらの障害が複合的に発症してきますので、総合的に急性放射線症候群と呼ばれます。」(緊急被ばく医療研修、第2章の4. 急性障害と晩発障害)被爆後1-5日での急性死は、中枢神経障害で15Gy以上とICRPのPub60で示されている。なおシビアアクシデントで出る放射性ヨウ素、希ガス類、セシウムの放射能からはβ線、γ線がでるから、Gy=Svである。

双葉病院の寝たきりの180人は、東電核災害でブルーム放射能雲到来した3月12日0時から追加被曝を受けたとすると、PAZ内での被曝期間は12日13日14日の55時間ほど。その被曝で移動中と移動後、46人25%の急性死が生じる被曝量は、かなりの線量だろう。15Sv未満、5Sv以上の範囲か?仮に6Svとしよう。
双葉病院では3月12日0時から追加被曝の線量が、この被曝量6Svに達しないければ、例えば2Svならば、避難しない方が46人が急性死亡する事はなかった事に理屈では成るだろう。事故炉からの放射能雲ブルームが、去れば放射線量は下がる。14日6時からの追加被曝がブルームが去り10mSv/時に下ったとする。健康リスクが高まらない避難の準備に更に50時間かかるとしよう。その間の追加被曝線量500mSvだから、総追加被曝線量2+0.500=2.5Svと計算される。
 50時間後の16日6時に避難開始しても46人が急性死亡する事はなかっただろうということになる。その被ばく後60日以内に何人か亡くなるだろう。半数致死は全身被ばく3~5Gy(Sv)とされているから、2.5Svでは50%の90人にはならないが、それなりの方が人数が亡くなるのではないか。仮に20%36人とする。
玄海園でシュミュレーション 
これが玄海園だとしよう。シビアアクシデント時に入所者とPAZ内の在宅者の合わせて150名ほどの要配慮者と入所者の介護してきた施設職員約80名と在宅で介護してきた人恐らく70人の屋内退避先となる。入所者とPAZ内の在宅者の約150名の避難による急性死(25%38人)をさけるために、5日間屋内退避を行い、2.5Svの被曝をしたとする。
 150名ほどの要配慮者から急性死(25%38人)はさけれるが、60日以内に20%の30人が亡くなる。数年後からは生き残った120人から発癌でなくなる方が出てくる。介護してきた施設職員や家族の方の急性死は無論ないが、60日以内に20%の30人が、数年後には発癌でなくなる方が出てくる(晩発傷害)。要配慮者の60日間の死者で較べれば、38-30で8人死者が少ない。だから晩発障害の発癌による死者が8人より小人数の場合に避難せずに玄海園に籠る屋内退避が要配慮者には有利で合理的選択である。しかし、介護なしでは要配慮者は生命の危険に直面する。それで介護者まで視野に入れて屋内退避者全体で検討する。屋内避難者では38名の急性死は避けれるが、60日以内に30+30=60人が亡くなる。つまり、60日間以内の死者で60人、晩発障害での発癌での死者も、要配慮者+介護者で倍になる。
次に、避難する場合を検討してみる。避難で要援護者から死者が避難時の介護力の大小に応じて出る。国の原子力防災指針では、これを特に高めていないからこのままでは25%38人でると想定する。しかし被曝が無いと想定されるから60日以内の被曝の死者は要援護者150人からも介護者150人からも出ない。晩発障害での発癌での死者も要援護者からも介護者からも出ない。つまり、要配慮者のみを考えれば避難時の介護力の応じて出る避難時死者がでる(最大・現状で38人)。被曝がないから、介護者も含めた全体でも、この避難時死者のみである。
要避難者と介護者全体では、避難しない場合60人と晩発障害での発癌での死者数の合計の死者数。
避難せずに屋内退避する場合の被曝線量が、急性死や急性死亡(acute death)を生じさせない線量であるとすれば晩発障害での発癌での死者数だけである。
避難した場合は避難時死者、要援護者150人の25%38人。
image(3).jpgこの38人の避難時死者を減らすことに、国の原子力災害指針は全く触れていない。例えば、玄海園では原発から約65キロ離れた陸上自衛隊久留米駐屯地の自衛隊救護車を増車して、道中のケアする隊員を増員して健康リスクを高めることなく避難できる要避難者人数を増やすことは可能である。避難時の介護力を高めることである。しかし、国はそうしない。
国は「原子力災害対策事業費補助金」での放射線防護機能の設置である。放射性ヨウ素などの摂取による内部被曝を防護するもので、事故炉からのプルームからの放射線、特にγ線から防護する機能、外部被曝を減らす機能はない。だから、若干、被ばく線量を下がる。
被爆による事故から60日間以内の要援護者の死者、要援護者と介護・支援者の晩発障害での発癌での死者を避けない対策である。国は、5㎞圏PAZ内の国民は被爆死しても仕方ないと考えているとわかる。次に5~30km圏のUPZ内の要援護者と介護・支援者の扱いを検討してみる。


 

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