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残存リスクと被曝防護⑫福祉避難所の支援の介護福祉士らの被ばく。 ヨウ素剤検討会『2001.11.13、第4回』メモ [防災‐指針・審議会]

原子力施設等防災専門部会 被ばく医療分科会 ヨウ素剤検討会|原子力安全委員会
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso.htm
  議事次第/配布資料/速記録 の案内
7回全部 http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27-8

 『2001.11.13、第4回』の議事録を手掛かりに

福島県南相馬市の高齢者施設を例に防護措置を検討した論文が発表された。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0137906

災害時の高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者の避難先「福祉避難所」
日本赤十字社の「福祉避難所設置・運用ガイドライン」(発行年月 平成20年6月 )より抜粋、要約
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/pdf/080619_fukushi_hinanjo_document.pdf

  ガイドライン第2章1.2「 避難所は、災害に際し応急的に難を避ける施設である。従って、開設期間は災害発生の日から最大限7日以内と定めている。」が、福祉避難所、何らかの特別な配慮をする必要がある高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者等向けの避難所では長期化する。避難所の設置期間は7日では終わらない場合の策は?。
その場合、物資や支援要員の確保策は??、物資は先に検討した。

想定されている人員
運営にあたる福祉避難所担当職員
ガイドラインの記載
当面は24時間対応が必要な場合も考えられる。必ず福祉避難所担当職員の交代要員を確保する。
大規模災害発生当初には、福祉避難所に派遣する職員を確保できない場合があるため、施設管理者等の協力を得て対応を図る。
地域における身近な福祉避難所に要援護者班を市区町村は設置
想定されている仕事
事務的な仕事
ガイドライン3.1 例示
○ 避難所には、次の書類、帳簿等を整備し、保存しておく必要がある。
・ 避難者名簿
・ 救助実施記録日計票
・ 避難所用物資受払簿
・ 避難所設置及び避難者人数の状況
・ 避難所設置に要した支払証拠書類
・ 避難所設置に要した物品受払証拠書類
このほか、生活相談員(ボランティアを含む)の出勤簿についても整備、保存しておくとよい。
福島県富岡町の経験
 この騒動の最中に支援に加わったスタッフから、ビッグパレットの中の地図を作ろうという提案が出た。どの場所に誰がいるかという地図。それまでの避難所運営の中で痛感していたことだった。名簿づくりはしていたが、名前を聞くと「何でそんなこと言わなきゃならないんだ」という人もあり、把握しきれない部分が残っていた。「県の災害対策本部からのお願い」というかたちであらためて、居場所ごとの調査を実施し、それを元に地図を起こすことになった。
 このとき、支援の看護師チームが毎日、ビッグパレットの1階・2階・3階まで健康チェックを兼ねて回ってくれ、移動の有無を確認、それをもとに地図を更新していった。どこに誰がいるか、どの部屋が空き始めているかなどが、一目瞭然でわかるようになった。
概ね10人の要援護者に1人の生活相談職員(要援護者に対して生活支援・心のケア・相談等を行う上で専門的な知識を有する者)
○福祉避難所において、要援護者のニーズを把握し、適切に対応できるよう手話通訳者、要約筆記者、点訳ボランティア、音訳ボランティア等の人材の確保や福祉用具等の確保を図る。

要援護者班は、要援護者からの相談等に対応するとともに、避難所では対応できないニーズ(例:介護職員、手話通訳者等の応援派遣、マット・畳等の物資・備品の提供)については、市区町村の災害時要援護者支援班に迅速に要請する。
 
生活を支援するために必要となる専門的人員
□ 都道府県、市区町村は、要援護者の避難生活を支援するために必要となる専門的人材の確保に関して、支援の要請先リストを整備するとともに、関係団体・事業者と協定を締結するなど、災害時において人的支援を得られるよう連携を図る。
◆ 実施にあたってのポイント・留意点
○ 専門的人材の確保については、自治体間の相互応援協定による職員派遣のほか、社会福祉協議会等の関係機関、社会福祉施設の職員やそのOB、障害者・高齢者等の支援団体、専門家・専門職能団体等と平常時から連携を確保しておく。
介護の居宅サービスや在宅福祉支援サービス 
福祉避難所には「特別養護老人ホーム又は老人短期入所施設等の入所者は、当該施設で適切に対応されるべきであるので、原則として福祉避難所の対象とはしない。」から、要支援(基本的な日常生活はほぼ自分で行うことが可能、要介護状態まではいかないものの日常生活を営むうえで支障がある人)要介護1(部分的な介護を必要とする状態を言い、疾病や外傷等により心身の状態が安定していない状態等、)要介護2(身の回りの世話全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする、立ち上がりや歩行、両足での立位保持などに何らかの支えを必要する等の軽度の介護を要する状態。)は避難する対象である。また居宅サービスを受けて在宅で暮らす要介護3(身の回りの世話が自分1人でできない。)要介護4、5(身の回りの世話がほとんどできない。)の人の福祉避難所は避難先であり受け入れる対象である。
こうした居宅サービスや在宅福祉支援サービスは福祉避難所での供給は、どうであろうか?
 
ガイドライン
□ 福祉避難所におけるホームヘルパーの派遣等、福祉各法による在宅福祉サービス等の提供は、福祉各法による実施を想定しており、災害救助法による救助としては予定していない。 (ガイドライン3.2福祉避難所における福祉サービス等の提供)
□ 市区町村は、福祉サービス事業者、保健師、民生委員等と連携を図り、福祉避難所に避難している要援護者に対して必要な福祉サービスを提供する。 (ガイドライン3.2福祉避難所における福祉サービス等の提供)

□ 一般ボランティアについては、防災ボランティア養成講座の開催や訓練を実施するなどし、ボランティア養成に取り組むとともに、災害時における福祉避難所への一般ボランティアの受入方針について検討しておく。
緊急入所等への対応
□ 在宅での生活の継続が困難な要援護者や指定避難所あるいは福祉避難所での避難生活が困難な要援護者については、緊急入所、緊急ショートステイ等で対応する必要がある。このため、都道府県、市区町村は、緊急入所等が可能な施設を把握し、整理する。
□ 社会福祉施設と事前に協議を行い、要援護者の緊急入所について協定を締結するなどの連携を図る。
□ 要援護者の症状の急変等により医療処置や治療が必要になった場合は、医療機関に移送する必要があることら、平常時から医療機関及び関係団体との連携を図っておく。
◆ 実施にあたってのポイント・留意点
○ 緊急入所等については、受入可能施設の情報を整理・更新しておく。また、施設管理者と十分に調整の上あらかじめ協定を締結しておくなどの準備をする。
○ 域内の社会福祉施設で緊急入所等が対応困難になった場合を想定し、域外での緊急入所等の対応(方針や移手段等)を検討しておく。

 あらためて述べるが、原発災害では避難は一般の避難に比べ長期化、多人数化、広域化する。
福島県富岡町の経験
直後
炊き出しなど避難住民のための世話役は、防災訓練では婦人消防隊や社会福祉団体などが当たることになっていた。しかし今回は、そのメンバー自身が被災者となり自己対応に追われ、また家族を守るのに精一杯となり、思うように出動できなかった(P24)
これを見ても、市町村域内の人を当てにすることは出来ない。富岡町は隣の川内村に避難して世話を受けたが、その後に川内村と共に郡山市などに避難している。相互応援協定を近隣の市町村自治体間で締結しておくだけでは備えは不十分である。南相馬市の事例からは、県境を越えて避難している。ガイドラインが想定している範囲を原子力災害は大きく超える。「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(日本版EPZ)には、原子力安全委員会や保安院はどのように想定していたのだろうか。
応援者の被曝管理 
相互応援協定により派遣される職員は、放射能ブルームが到達しなかった地域、県内外の自治体や社会福祉団体などからの人たちになるだろう。放射能ブルームが到達し汚染されて地域では、それへの自己対応に追われだろうだからだ。この応援者の被曝管理が、しっかりしていないと応援出動は拒否されるだろう。
ヨウ素剤の服用による被曝予防、ガラスバッジなどによる個人被曝量の把握と限度管理、避難所の空間線量など環境の放射線量の把握。その体制や仕組みは??「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(日本版EPZ)には、原子力安全委員会や保安院はどのように想定して構築することを求めていたのだろうか。

 
論文の社会的意味
このように、居宅サービスや在宅福祉支援サービスの担い手、介護の担い手である介護福祉、ホームヘルパー等の被ばく問題を考えると、福島県南相馬市の高齢者施設を例に防護措置を検討した論文の意味合いが理解できた。東京大生産技術研究所特任講師(現・福島医大健康リスクコミュニケーション学講座准教授)の村上道夫氏、産業技術総合研究所安全科学研究部門主任研究員の小野恭子氏、東京大医学研究所医師・南相馬市立総合病院非常勤医師の坪倉正治氏らが纏めた論文の意義が見えて来た。独立行政法人科学技術振興機構からの助成金の形で国庫から研究費が出た理由が見えた来た。 続く
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0137906


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