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残存リスクと被曝防護⑨原発過酷事故で「福祉避難所」に求められる機能? ヨウ素剤検討会『2001.11.13、第4回』メモ [防災‐指針・審議会]

原子力施設等防災専門部会 被ばく医療分科会 ヨウ素剤検討会|原子力安全委員会
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso.htm
  議事次第/配布資料/速記録 の案内
7回全部 http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27-8

 『2001.11.13、第4回』の議事録を手掛かりに

福島県南相馬市の高齢者施設を例に防護措置を検討した論文が発表された。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0137906

この前、「シビアアクシデントでは再避難、再々避難が不可欠」の補遺である。 
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10

災害時の高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者の避難先「福祉避難所」
日本赤十字社の「福祉避難所設置・運用ガイドライン」(発行年月 平成20年6月 )より抜粋、要約
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/pdf/080619_fukushi_hinanjo_document.pdf

どんな場所が
原則・・施設自体の安全性が確保されていること。
・ 原則として、耐震、耐火構造の建築物であること。[地震、火災]・原則として、土砂災害危険箇所区域外であること。[土砂災害] ・ 浸水履歴や浸水予測等を踏まえ、浸水した場合であっても、一定期間、要援護者の避難生活のための空間を確保できること。[水害]・近隣に危険物を取り扱う施設等がないこと。
施設内における要援護者の安全性が確保されていること。
・原則として、バリアフリー化されていること。・ バリアフリー化されていない施設を指定する場合は、障害者用トイレやスロープ等設備の設置、物資・器材の備蓄を図ることを前提とすること。
 
原発、原子力災害では、これらに加えて放射能の侵入を防ぐエアフィルター、外部からの物資の搬入をチェックできることなどが挙げられる。
要援護者の避難スペースが確保されていること
・ 要援護者の特性を踏まえ、避難生活に必要な空間を確保すること。
なお、1人あたり面積については、目標値も実際の面積も地方公共団体により様々であるが、概ね2~4㎡/人が多い。
原発のシビアアクシデントでは、避難が長期化するから8㎡/人は必要

福祉避難所として機能するための必要な施設整備

・ バリアフリー化、段差の解消、スロープの設置、手すりや誘導装置の設置、障害者用トイレの設置など施設のバリアフリー化

・ 通風・換気の確保

原発、原子力災害では、放射能の侵入を防ぐエアフィルターも必要

・ 冷暖房設備の整備

・ 情報関連機器(ラジオ、テレビ、電話、無線、ファクシミリ、パソコン、電光掲示板等)

・ その他必要と考えられる施設整備

◆ 実施にあたってのポイント・留意点

在宅酸素療法を必要とする呼吸器機能障害者などを受け入れる場合は、電源の確保が必要である。また、介護、処置、器具の洗浄等で清潔な水を必要とすることから、水の確保が必要となる。

在宅酸素療法z.jpg


 
○ 避難所において、要援護者の不安を取り除くとともにニーズを把握するためには、情報を確実に伝達したり、コミュニケーションを確保することが重要となる。

要援護者に対して円滑な情報伝達ができるように、多様な情報伝達手段を用意することが必要であり、各避難所には最低限、ラジオとテレビ、筆談用の紙と筆記用具を準備しておくとともに、文字放送対応テレビやファクシミリの確保にも努める。

利用可能な施設としては、以下の施設が考えられる。
・ 指定避難所(小・中学校、公民館等)
・ 老人福祉施設(デイサービスセンター、小規模多機能施設等)、障害者支援施設等の施設(公共・民間)、保健センター、養護学校
・宿泊施設(公共・民間)
性格の利点と欠点
小・中学校や公民館等の場合は、地域における身近な福祉避難所としての機能
 災害時にすぐに避難できる身近な福祉避難所として、指定避難所(小・中学校、公民館等)等の中に、介護や医療相談等を受けることができる空間を確保することを想定。専門性の高いサービスはできない。専門性の高いサービスを必要としないものの、通常の指定避難所等では避難生活に困難が生じる要援護者の避難先。

器材の準備や人材の確保などで立ち上げに時間がかかってしまうという短所がある。
社会福祉施設は、地域における拠点的な福祉避難所としての機能、

特別養護老人ホーム等の入所施設については、物資・器材、人材が整っているため、災害時において福祉避難所として機能することが可能であるが、福祉避難所として要援護者を受け入れることによって、本来の入所者の処遇に何らかの支障を来たす可能性もある。
デイサービスセンター等通所施設についても、災害時において福祉避難所として機能することが可能であるが、時間経過に伴って復旧・復興が進むと、本来の機能に戻さなければならず、避難が長期化するような場合には、当該施設本来の機能に何らかの支障を来たす可能性もある。
ポイント・留意点
○特別養護老人ホーム等の入所居住型施設については、災害時において福祉避難所として利用した場合に、入所者の処遇に甚大な支障が生じないかどうか確認する。
○ 域内の福祉避難所で対応困難になった場合、域外の福祉避難所等に一時的に要援護者を避難させることも想定されることから、近隣の都道府県及び市区町村並びに関係団体との協力関係を構築しておく。
★輪島市の2007平成19年3月25日の能登半島地震時の先行事例では「避難日数も一般の避難所に比して長くなる」「福祉避難所の協定を締結した高齢者関係の施設では定員を超えた受入れを行っている状態」になっている。
 マニュアルでは「介護認定を受けている者又は被災後介護認定を受けた者、身体状況等の悪化により緊急に入院加療が必要な者等については、緊急入所、ショートステイ、緊急入院等により対応を図ることになる。」と災害・避難で人数が増えることを想定している。
 終身介護する特養では、入居者死亡で空きが出で入居を待つ順番待ちが常態化している。ショートステイ施設もその特養の順番待ちの人たちで利用は満杯。したがって定員は常時満たされているから、災害時は定員を超えた受入れを「一般の避難所に比して長くなる」日数をお願いせざるを得ない。原発災害では避難は長期化するから深刻である。それは、本来の入所者やショートステイ利用者の「処遇に何らかの支障を来たす」ことになる。
 輪島市の例では「市町村の枠を超えた広域的な調整について県が主体となって早期に取り組み、関係医療施設や介護施設等との協定締結が必要である」としている。
 マニュアルでは「○ 域内の福祉避難所で対応困難になった場合、域外の福祉避難所等に一時的に要援護者を避難させることも想定されることから、近隣の都道府県及び市区町村並びに関係団体との協力関係を構築しておく。 」とある。この記載では、協力関係や協定締結のイニシアチブをとる主体が不明確である。輪島市は県を想定している。
また、市町村の枠を超えた広域的な域外の福祉避難所等も、定員は常時満たされている状況は同じだ。
それに、災害の規模が大きく市町村の枠を超えたり、深刻な場合は「特別養護老人ホーム又は老人短期入所施設等の入所者は、当該施設で適切に対応されるべきであるので、原則として福祉避難所の対象とはしない。」としている入居者等の避難先が「近隣の都道府県及び市区町村並びに関係団体」の「関係医療施設や介護施設等」と重なることになるだろう。
原発災害では避難は長期化、広域化するから深刻である。「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(日本版EPZ)の目安原発から半径8~10㎞は、市町村の枠を超える。その範囲内にある、原則として福祉避難所の対象とカウントしない特別養護老人ホームや老人短期入所施設等の入所者も避難民と数えざるを得なくる。そうした点を重点的に充実されていたのだろうか。
 東電核災害を省みると、広野町のように市町村の枠を超え隣の川内村に避難し、核災害の大規模化により更に再度の避難を川内村村民と共にせざるを得なくなっている。これは「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(日本版EPZ)の枠や市町村の枠を超えて、対応が迫られることを示している。南相馬市の例は県の枠も超えた対応も考慮せざるを得なくなることを示している。
公共・民間の宿泊施設の場合は、マニュアルでは「宿泊機能は既に確保されているものの、福祉サービスを提供する人材の確保・派遣に何らかの支障を来たす可能性もある。 」
福祉避難所の施設整備で挙げられる点は満たしているか。コミュニケーションの確保が難しいのではないか?
原発災害では避難は長期化、多人数化するから、地域における身近な福祉避難所としての機能、専門性の高いサービスは必要としないものの、通常の指定避難所等では、避難生活に困難が生じる要援護者の避難先。介護や医療相談等を受けることができる避難先としてはどうか。

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