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致死割合と致死がんの発生確率①非致死ガン・ヨウ素剤検討会『2001.11.13、第4回』メモ [防災‐指針・審議会]

原子力施設等防災専門部会 被ばく医療分科会 ヨウ素剤検討会|原子力安全委員会
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso.htm
  議事次第/配布資料/速記録 の案内
7回全部 http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27-8

 『2001.11.13、第4回』の議事録を手掛かりに

致死がんの発生確率F、がんの致死割合をkとすると、致死がんの発生確率F=全ガンの発生確率×致死割合k。
致死がんおよび非致死がんを含めたすべてのがんの発生率は、F/kで推定できます。
非致死がんの発生率は、ガンの非致死割合(1-k)を全ガンの発生確率・F/kに掛けた値になります。
この理屈は良く判ります。おかしなところはない。

表202.jpg

非致死ガン
 しかし、前提としてガンには非致死ガン(non-lethality cancer、non‐fatality cancer。)があるとしている。そして、全ガンのこの非致死ガンと致死ガン(Lethal cancer 、fatal cancer。)の合計としている。そして、致死ガンの割合・致死割合kを年齢や性別や地域などを問わない値、全集団で違いが無い値として1990年のPub.60では概念設計している。
この致死ガンや非致死ガンの考えでは、医療との関係やガン発見から死に至るまでの期間との関係はどのように扱われるのだろうか。

増殖の速さとの関係
がん組織の増殖が速ければ死に至るまでの時間は短いし、ユックリなら長いだろう。よく「がんの治療開始から5年後生存している人の割合」または「がんの診断から5年後生存している人の割合」の5年生存率が云われる。(1年、2年、3年、5年、10年生存率があるそうだ。)
 ユックリな例が多いガンは、1年、2年、3年、5年後に生きている癌患者の人数は多く、生存率は高いだろう。それでも増殖して遅かれ巨大ながん組織になり死に至る。10年生存率、15年生存率と下がっていくだろう。

 致死ガン、非致死ガンという言葉は、このように時間の条件を付けた定義で、例えば5年で致死ガンは5年以内に死因となるガン、非致死ガンは5年以後に死因になるガンと、決して死因になる事がないガンの両者という意味なのか。時間の条件なしで定義されて、致死ガンは死因になるガン非致死ガンは決して死因にならないガンなのか。

時間条件が付いている前者の定義
 時間条件が付いている前者の定義なら非致死よりも5年後生存ガンという方が誤解がない。甲状腺癌は5年後生存率90%のガンと記載の方が誤解もない。致死割合は5年以内死去割合。10年後の15年後の生存率が急激に下がるとか、ほとんど変わらないガンとかあるだろう。例えば甲状腺ガンの致死割合10%が5年以内死去割合、10年後の致死割合20%、15年後は35%だとしよう。ICRPの致死割合は年齢を問わないのだから、64歳で見つかった場合と13歳で見つかった場合でも同じだ。しかし患者の対応は異なるだろう。64歳の15年後は79歳で他の原因でお迎えが来ていると考える人がいる。13歳の15年後は28歳、人生これからだ。手術などを選択することが多かろう。


 後者の時間条件なし定義ならICRPの致死割合は年齢を問わないのだから、例えば13歳で甲状腺ガンがみつかっても決して死因にならないガンという意味での非致死ガンが90%あるということだ。だから、非致死ガンは良性腫瘍の方が適切な日本語だろう。13歳の甲状腺ガン患者で見つかった甲状腺ガンをその時点で良性診断できるないのなら、詐欺である。誰でもガンでは死にたくない、子を死なせたくないから、死なないと思いたい。そう云う希望を持ちたい。その気持ちにつけ込んでできない事を然も出来そうにいう詐欺だ。腫瘍の良性か悪性(ガン)の区別は、病理学的臨床的に境目が境界線が必ずしもはっきりしないと云われている、現在の診察技術で分かるのだろうか。

被曝規制と非致死性ガン
ICRPは損害(デトリメント・Detorimento)という概念を放射線被ばくによって起きる有害な健康影響の検討に使っている。その検討は被曝規制を導くための論議だ。それでは非致死ガンは要になる。
 損害(デトリメント・Detorimento)という概念をICRPは、低線量・低線量率(低線量全身被ばくで0.2グレイ以下の吸収線量、または、線量率が0.1グレイ毎時未満)の放射線被ばくによって起きる有害な健康影響を検討するために、被ばく集団における致死及び非致死がんの発生頻度、寿命損失の期間などをもとに導く、非致死がんによる健康損失の程度、発現時期による寿命損失、遺伝的影響によって損なわれる期間等の重篤度を考え、それら重篤度に関連させて決めた荷重で重みづけした数量的な概念を1990年勧告(ICRP Publication60)で導入した。ATOMICAの (09-04-02-08) には 「ICRP1990年勧告における線量制限体系の基礎をなす主要な考え方」とある。
 この損害(デトリメント)で非致死ガンは要になる観念だが、これまで検討したように極めて曖昧である。

生存率との関連に続く


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