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2015 「子ども被災者支援法の基本方針の改定案」のパブコメ草案①  [防災ー中長期的避難、移住]

子ども被災者支援法の基本方針の改定案のパブコメが2015年平成27年8月8日締切で行われている。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295150710&Mode=0

パブコメ草案
今回の”改定案”は「支援対象地域は、線量が発災時と比べ大幅に低減し、避難する状況にはない」としている。
《1》3ページ目9行目から16行目、26行目から31行目を削除すること

 それの根拠は、3頁の9行目から16行目に①原子力規制庁が実施している航空機モニタリング結果に基づき推計した外部被ばく線量、②各市町村で実施している個人被ばく線量の測定結果、③、福島県が実施しているホールボディ・カウンタ検査、厚生労働省等が実施している食品検査等の結果と記載されている。
個人線量計
 しかし②の個人線量計ガラスバッジによる測定は原発事故後の被ばく状況に対し体幹による遮へい効果が懸念される。ガラスバッジは本来被曝労働で用いる機器である。放射線源が身体の前面に有る場合が多いので、背側の線源からの放射線が自分の身体で遮蔽されることを前提として、過小評価にならないよう補正(増した)した「測定値」を読み取るとガラスバッチ製造会社は問い合わせに答えている。
 福島で生活する大人や子どもが受けている被ばくは、元々の線源が身体の前面に限らず全方位的にあるので、その測定値の値そのままでは過小評価となる。身体の遮蔽効果により3,4割低くなると云われている。被曝労働と同様に読み取りでは補正する必要がある。被曝労働に携わる労働者は成人で、体幹による遮へい効果も一定の範囲に収まり補正もしやすい。福島でガラスバッジを装着する大人や子どもの体格は様々であり、体幹による遮へい効果はバラバラである。特に子供はそうで、ガラスバッジの値は過小評価となる。
 また、ガラスバッジを装着する人たちは教育・訓練を受けていないし、日常生活における測定である。例えば車内に置きっ放しや、屋外遊びや体育の授業の際にランドセルに入れっぱなしなどしている。信頼性は低く過小評価のおそれが高い。そのため基準値や施策上の基本方針を策定する際の評価指標としては用いることはできない。各市町村で実施している個人被ばく線量の測定結果を支援対象地域の判断で用いることは、科学的な基本認識に誤りがある。
航空機モニタリング結果

①の航空機モニタリング結果は参考データでは「0歳児から3歳児までを想定する個人線量への変換係数0.85、木造建物の屋内16時間のケースを適用した場合の年間個人線量推定」が示されている。

、一般公衆の外部被ばく線量の評価においては様々な年齢、体格、晩発性障害等に対する放射線感受性を有する個人を考慮する必要がある。様々な被ばく状況や行動様式生活スタイルを有する個々人の集団に一律「変換係数0.85、木造建物の屋内16時間」な変換係数を用いて公衆と扱うことはできない。

そのため現行法規である「電離放射線障害防止規則」や「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」等に準じて、一センチメートル線量当量を用いること。すなわち実効線量係数等、シミュレーション上の低減係数、を用いずにサーベイメータ等の読み取り値そのものを外部被ばくとして評価することが最も適切な航空機モニタリング結果の活用になる。特にこの際、建物による遮へい等についても「発電量軽水炉型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」等のガイドラインに準じ、様々な被ばく状況や行動様式を有する公衆に対しては低減係数を用いないことを銘記しておく。

「参考データ」の第9次航空機モニタリングの測定結果によれば平成26年度現在福島県内の浜通りや中通りの広範な地域で年間追加被ばく1mSvを超過している。参考データは実効線量係数や建物による遮へいを考慮した図であるがこれらを考慮しない本来の外部被ばく線量で評価すればより広範な地域が年間追加被ばく1mSvを超えていることになる。3頁26行目から31行目の記述は、これを無視している。このような汚染の現実を直視すれば、事故後4年余りが経過した現在も福島県内の避難指示区域以外、および近隣県の広範な地域からの避難が必要な状況であり、改定案には科学的な基本認識に誤りがある。

続く

H26外部被曝推計_.jpg

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