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宮古島での実証研究、長期エネルギー需給見通し(案)の検討⑥、パブコメ2015/7/1締切 [エネルギー基本計画]

全原発の再稼働を前提に織り込んだ「長期エネルギー需給見通し 2015」の策定に向けた御意見の募集、パブリックコメントが7月1日締切で行われている。それにかかっている需給見通し(案)を検討する。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620215004&Mode=0
これまでは下部の追加欄

発電量の凸凹を均す・・宮古島の実証実験

太陽光発電は地点、時刻、天候、日の照り方が違えば発電量が変動するのは当たり前で、晴天時に雲が流れている場合には雲の影が太陽光パネルの上を通過するにつれ、出力が短時間で激しく変動する。多数あれば変動が総体で急激にならない。

3.11前の2009年度には太陽光発電の大量導入に備えた実証研究が始まっている。その一つに「独立した電力系統の離島において、太陽光発電設備等を大量に導入した場合に発生する影響を把握し、系統安定化対策を検討する」十の離島での独立型系統新エネルギー導入実証事業がある。沖縄の宮古島では、蓄電池を使い出力変動と周波数変動を抑制する実証研究が行われた。

 宮古島には、ディーゼルとガスタービン発電機の7万4000kWの火力発電設備、4200kWの風力発電設備と4000kWのメガソーラーが設置されている。太陽光発電PVの太陽光パネル面積は約2.9㌶、太陽光パネル枚数21,716枚である。全体の系統規模は約5万kWで、太陽光発電は8%、風力発電も8%で再生可能エネルギーの比率は16%。蓄電池4100kWを備えた。

周波数の変動・・需給ギャップの目安
電力の需要と供給バランスが崩れると周波数が変動する。日本での周波数は静岡県の富士川と新潟県の糸魚川周波数01_.jpgあたりを境にして、東側は1秒間に流れる方向が50回変わる50ヘルツ、西側は60ヘルツになっている。これが電力の供給が需要よりもよりも少ない、供給<需要では小さくなる。逆に供給>需要では周波数は大きくなる。使う電気機器に影響がでる。
 関西では関東で使ってきた掃除機、電気時計が使えないが電気毛布は使えるように、電熱を利用したものは周波数には関係なく使用できる。モーターは周波数と回転数はほぼ比例するので、電動力を利用するものは影響を受ける。時計や自動オートメーション機器は、電気の周波数を基準に動いているものがあり、周波数が変動すると時計では進みや遅れ、自動オートメーション機器では作動ムラが発生したりする。周波数の変動を北海道、沖縄は±0.3ヘルツ、この他の地域では±0.2ヘルツを目標にしている。その変動幅に収まるように需要に追随して出力を変動させている。

 宮古島では火力発電だけ発電の時間帯は、ごく僅かな変動にとどまった。更に太陽光発電と風力発電が稼働すると、風力や太陽光の出力変動があまりにも急峻だと、ディーゼル発電機が追随しきれずに周波数が変動してしまった。周波数が0.1~0.2Hz近く上下に振れるようになった。ディーゼル発電機のその時点の出力に対して10%程度の幅で風力・太陽光の変動するとディーゼル発電の運転も小刻みに変化し、トータルでは0.3Hz以上の目標を超えて変動した。その変動を蓄電池で抑制することができるか実証実験された。

実証研究の結果
出力変動抑制は、例えば太陽光パネルが十分に発電しているときは蓄電池に充電し、急に雲がかかったり雨が降ったりして出力が低下したら放電する。これによって、太陽光と蓄電池の出力を合わせた「合成出力」を均して平滑化する。その結果は、周波数の変動が見事に緩和された。

 また、系統全体、宮古島の約5万kW全体での周波数変動を監視して、その変動を蓄電池4100kWで緩和すること、周波数変動抑制の実証研究された。実際には、0.3Hzを上回る変動がありそうな場合に蓄電池を稼働させるという運用にした。結果は偏差は約0.15Hzと半分程度に収まることが分かった。


 下図の出力変動抑制研究の沖縄電力データを参照。蓄電池平滑化06_s.jpg

二つの方法の比較
太陽光の出力を監視してその変動を個々のPV装置で平滑化する方法でも、電力系統の周波数変動を監視してその変動を全体で緩和する方法でも、周波数の安定化に効果があった。後者の全体制御は宮古島では系統規模の約8%容量の蓄電池があったから実証研究できたので、系統規模が大きくなる本土でそれだけの容量の蓄電池が準備できるか、容量が足りないと効きにくくなる可能性がある。
 前者は確実に平滑化し周波数変動を抑制できる。太陽光発電は、パワーコンディショナー、PCS (Power Conditioning System)で太陽光パネルで発電した電圧や量がランダムな直流電流を、家電で一般的に使われる交流電流に変換する仕組みで、メガソーラーは系統に売電するだけだからそれがそっくりそのまま系統に送られ給電される。宮古島ではPSCと蓄電池を繋げて、太陽光パネルが十分に発電しているときは充電し、パネルの出力が低下した時は不足分を蓄電池から放電して、太陽光と蓄電池の出力を合わせた「合成出力」で均して平滑化して給電する方法が採られ周波数の安定化に効果があった。
 大規模に実用する場合は、多数遠隔にあるPV設備毎の蓄電池の充電率や放電・充電状況を把握した上で系統全体を制御する事が望ましいので、通信設備なども併せて設置しスマート化すべき。

PVシステム00miyako_.jpg

この他にもスケジュール運転、最適な制御方法が実証研究された。スケジュール運転は「太陽光発電の予測手法を検討し、予測された太陽光発電結果及び蓄電池残存電気量から発電計画を作成し、計画に基づいた出力運転の実現を目指す」蓄電池とディーゼル発電機(火力発電)の効率的な運用方法を得る研究。最適な制御方法は、太陽光発電や蓄電池をつないだ状態で一般家庭や商業施設などに配電したときの電力負荷を模擬し「模擬配電線路に連系されている蓄電池と太陽光発電の最適制御階層」つまりさまざまなパターンにおける負荷の平準化方法を検証する研究。
続く

長期エネルギー需給見通し(案)の検討の1回目
①省エネルギー、②再生可能エネルギー
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-20

なぜ日本は世界的なパネル価格低下から取り残されたのか
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-21

予備力と再エネ電力
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-22

原発全停止のあと、どの発電方式で電力を賄っているか
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-24

住宅での太陽光利用・・157万戸を1280万戸へ
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25-2


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