SSブログ

長期エネルギー需給見通し(案)の検討③、パブコメ2015/7/1締切 [エネルギー基本計画]

全原発の再稼働を前提に織り込んだ「長期エネルギー需給見通し 2015」の策定に向けた御意見の募集、パブリックコメントが7月1日締切で行われている。それにかかっている需給見通し(案)を検討する。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620215004&Mode=0
これまでは下部の追加欄

「なぜ日本は太陽光パネルは高価格に踏み留まっているのか」。

その答えは需給見通し(案)の「自然条件によらず安定的な運用が可能な地熱、水力、バイオマスを積極的に拡大し、それにより、ベースロード電源を確保しつつ、原発依存度の低減を図る。」にあると考えます。
要約すると「自然条件によらず安定的な運用が可能な再エネを積極的に拡大し、それにより、原発依存度の低減を図る。」です。

でんき予報
 電力の安定供給には、変動の時間的幅、テンポに対応することが求められます。毎日お昼になれば電力の需要は、グッグッと減ります。それに合わせて発電量も減ります。ピーク時の電力使用見通し:予想とピーク時発電:供給力を出して、余裕の割合:供給予備率を広報する「でんき予報」があります。予備率が5.0%~3.0%で黄色の要注意、3.0%未満なら赤色で危険と広報しています。電力会社は、毎日、電力需要の量とパターン(何時ごろに、どれくらい電気が使われるか)を予測し、それに合わせて発電所ごとの出力パターン(何時ごろに、どの発電所をどれくらいの出力で動かすか)の発電営業の計画を立てます。それを一般向けに広報しています。自然条件で大きく発電量が変動して予備率が3%以下になっては困ります。停電しては大変です。

予備力
 でんき予報は比率ですが、予備力 reserve margin という見方でも発電能力の余裕は示せます。予備力は予想される最大電力需要に対して、さらにどれくらい発電能力の余力があるかを、対応時間の間隔で分けています。対応時間が瞬時から秒単位の瞬動予備力、分単位の運転予備力、時間単位の待機予備力です。太陽光発電や風力発電は出力を人為的に増やせませんから予備力になりません。自然条件で突発的に急な発電量低下を起こし、予備力を食います。逆に予測よりも日が照ったり風が強ければ発電量が増大します。この場合はマイナスの予備力が必要です。予備力の性格や量がグリッド・電力系統送電網に再エネ電力を送れる、給電できる量を左右します。

予備力03_.jpg前もって立てる発電計画では突発的に起こる設備故障による急な発電量低下や、急激な気温変化による需要変化などに対応できるように、すべての発電所をフル出力にせず、いくつかの発電所で出力に余裕のある状態にしておいたり、いつでも起動できる発電所を決めて、瞬動予備力 spinning reserve運転予備力 hot reserve待機予備力 cold reserve を準備します。この他に長期需要見通しに対応するした供給予備力があります。発電所の事故停止などが無い状況での供給能力と月単位、年単位の最大需要量の差になります。発電設備の点検停止などで供給能力は変動します。時季で最大需要量は変わります。それで供給予備力も変わります。供給予備力が確保できなければ発電所の増設、新設などを計画することになります。

待機予備力 cold reserve とELD
 火力発電所は一旦火を落とすと、設備が冷えていきます。時間が経つと起動するまで時間がかかります。週末に停止し、週明けに起動するような場合、12時間から40時間かかります。そのような状態の発電プラントを除いて数時間で起動してグリッド・電力系統送電網に電力を送れる給電できる発電プラントから待機予備力 cold reserve は構成されます。待機予備力はELDとかEDCと呼ばれるやり方:経済負荷配分制御などでコントロールされています。ELD、EDCのEは economic エコノミックのEで、需要の変化に応じて、効率の異なる各火力・水力発電機の経済的な出力配分を計算し、発電機出力を制御するやり方です。

運転予備力 hot reserve とLFC
 その待機予備力が立ち上がり、グリッドに接続し給電できるまでの間の予備力が運転予備力 hot reserve 。おおむね10分以内に起動から負荷接続までが可能な発電プラント(水力など)、出力に余裕のある状態にしておいて出力を指令所が自動制御するLFC(負荷周波数制御)ができるプラントなどから構成されます。LFC機能を備えた発電プラントは、沖縄電力を除く9電力の合計で、480台、約1億1000万kW(総発電設備の53%、2014/9現在)。LFCは数分~20分程度の周期で変動する負荷に追随して調整するのに向いています。

ガバナフリー運転と瞬動予備力 spinning reserve 
負荷変動と出力調整03_.jpg瞬動予備力 spinning reserve はおおむね10秒以内の極短期から数分程度の変動に対して即座に対応できる予備力です。発電プラントのガバナフリー運転などです。

 火力発電は、熱源の燃料は石炭、石油、ガスと違いますが水蒸気を作って、その蒸気で蒸気タービンを駆動し、発電機を蒸気タービンの接続して発電します。タービンに入る蒸気量に見合った発電量を、新潟なら50ヘルツの周波数で発電します。電気は直ちにグリッド系統送電網を経て送られ消費されます。消費電力量が増えると、発電の元のエネルギー=蒸気量が同じならば、発電機の回転が落ちます。つまり、周波数が低下します。その回転数=周波数の変動を検知して蒸気を増量して回転数を一定に50ヘルツに保つように働く装置をガバナ(調速機・governor)といいます。逆に、回転数が増える=周波数が上昇すると蒸気を減量して入力が減り、電気出力がへり回転数・周波数が落ちます。
 このように回転数の変化を検知し、蒸気量を自動的に増減させる機能がガバナーの機能であり、機能通りガバナー任せにした運転方法をガバナーフリー運転と言います。水力発電では水量を増減します。入力100%=出力100%の定格運転の発電機を、ガバナーフリー運転すると100%以上の消費に応じて100%以上の蒸気を入れる過負荷運転になるおそれがあります。それで普通はガバナーの上限を100%で制限する負荷制限装置(ロードリミッター)を使うロードリミッタ運転を行っています。
 
 ガバナフリー機能を備えた発電プラントは、現在、沖縄電力を除く9電力の合計で、約700台、約1億万kW存在(9電力の総発電設備の約58%、2014/9現在)調整の容量としては送電系統の容量の3%程度以上になるようにしているそうです。

流れ込み_.jpg

水力発電は降雨量という自然条件で大きく発電量が変動します。流れ込み式(自然式)は明瞭です。一般的には、調整池やダムで流量を調整するやり方です。
 太陽光や風を溜めこみ、その量を調整するのは無理ですが、それによる電気・電力をため込むことは蓄電池など出来ます。住宅用蓄電池とBEMS・HEMSというエネルギー管理システムと家庭、小規模オフィスや店舗用の太陽光発電や風力発電と連携一体化して使用すれば、住宅用蓄電池が調整池やダムの役割を果たし得ます。変動はしますが、その量や程度はかなり小さく出ます。蓄電池を介してグリッドに流す:給電する量をコントロールすれば、変動間隔も長期化できます。瞬時ではなく数分から十数分で変動するようにできます。通信機能を付ければ、変動をその間に前もって自動通告でき、LFC(負荷周波数制御)で自動制御で対処できます。

どれ位の再エネ電力が使えるでしょうか?原発依存度の低減は、どれ位でしょうか? 続く

長期エネルギー需給見通し(案)の検討の1回目
①省エネルギー、②再生可能エネルギー
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-20

なぜ日本は世界的なパネル価格低下から取り残されたのか
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-21


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0