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③-aフィルタベントFV設備が役立たない時、2015/5/27 新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会 [東電核災害の検証・新潟県技術委]

2015年5月27日、新潟県の技術委員会があった。資料は14もあり多かった。
県のWEB・・平成27年度第1回新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会(平成27年5月27日開催)
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356813191206.html

五つに大別しコメントしてきた。これまでは下部の追記欄にまとめた。
先回で鈴木委員と東京電力のディスカッションは終わり。
今回はフィルタベント検証の位置付け

東京電力との約束
今回の委員会では、「資料No.2-1 技術委員会でのこれまでのフィルタベントの検証について」が配られ、これまでの経緯や法的、制度的な位置づけが再確認されました。平成25年9月26日付の再稼働に向けた審査請求を県が認めた条件、東京電力につけた条件が出ました。
 「ベント操作による住民被曝が許容できないと明らかになった場合」またはフィルターベント設備(以下ではFV設備)の「設置に関して安全協定第3条に基づく協議が整わない」場合は申請の承認は無効となっています。申請書に「1 新潟県との安全協定に基づく協議後に修正申請を行うこと」「2 今回申請のフィルタベント設備は地元避難計画との整合性を持たせ安全協定に基づく了解が得られない限り使用できない設備であること」の2項を明記することとなっています。
参照・・東京電力 平成25年9月27日付け「柏崎刈羽原子力発電所6,7号機における新規制基準への適合申請について」http://www.tepco.co.jp/cc/press/2013/1230934_5117.html

FV設備がダメな場合を考えるべき
佐藤暁委員から「深層防護ではフィルタベントは第4層。第4層がダメな場合に対して第5層の避難対策があり、その意味ではフィルタベントと避難計画のリンクはちょっと違う。フィルタベント失敗の場合を考えるべきだ」旨の発言がありました。

確かに、FV設備は第4層のシビアアクシデント対策・AMのフェーズⅡ「影響を抑制する」対策の一つです。「第4層がダメな場合に対して第5層の避難対策」があるのですし、それに東京電力も規制委の審査でFV設備に「期待できない」場合を列挙しています。これまでの技術委員会で東電はフィルタベントが機能しないケースは、「有効性評価にならない」から扱わなくて良いと思考停止を主張しています。わけが分かりません。核災害に遭う新潟県民としては、FV設備がダメな時を考えるべきです。

東京電力もみとめるFV施設が×の場合
2015年5月28日付の東京電力の「柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉 原子炉格納容器の過圧破損を防止するための設備(格納容器圧力逃がし装置)について」からです。 http://www.tepco.co.jp/solution/power_equipment/nuclear_power/pdf/nuclear_power_150528_03.pdf

nuclear_power_150528_03 資料2-3 -88_.jpg
 崩壊熱除去機能喪失と原子炉機能停止喪失(原子炉の核分裂の緊急停止=スクラムができない)は、炉心がメルトダウンしてメルトスルーの前に、格納容器が過圧破損するからベントしても放射能除去には役に立たないとしています。
 高圧注水・減圧機能喪失では炉圧が高い状態でメルトスルーするHPMEになります。噴出する溶融核燃料で格納容器内の窒素ガスなどが直接加熱される格納容器雰囲気直接加熱が生じて、過熱破損が起きます。それでダメとしています。全交流電源喪失ではECCSの制御用直流電源が切れた後は炉注水が無くなりメルトダウンします。炉圧は低くなりますから、噴出するHPMEではなく落下するLPMRで、落下した溶融核燃料で格納容器雰囲気直接加熱が生じて、過熱破損が起きます。それで役には立たないとしています。

 LOCA時注水機能喪失ではLOCA(冷却材喪失事故)の時に流れ出す冷却材・炉水を補充する注水ができない場合です。流れ出した冷却水が格納容器内に溜まっていますから、その水で一時的に除熱されます。格納容器内に注水がない(重大事故等対処設備の機能喪失が継続)と溶融核燃料で格納容器雰囲気直接加熱が生じて、過熱破損が起きます。それで役には立たない。
地震時に十中八、九はFV施設は役立たず??
事故が起きた時に十中八、九は、FV施設が役に立つかどうか調べてみました。地震とともに起きた場合を東京電力が2014年9月30日付の「確率論的リスク評価について(外部事象 地震PRA)」でやっていました。これは1992平成4年7月時点の施設、重大事故等対処設備が無い=機能しない状態での評価です。事故シーケンスのグループ分けがFV施設のそれと違いますが、傾向は判ると思います。
 参照・・http://www.tepco.co.jp/solution/power_equipment/nuclear_power/pdf/nuclear_power_140930_01.pdf
nuclear_power_140930_01 地震PRA_93b.jpg
「建物・構築物の損傷」は、”地震で原子炉停止と炉心冷却が不可能”になり直接炉心損傷に至るケースです。それにしても、FV施設が役に立つと期待できる高圧注水・低圧注水失敗するTQUVの炉心損傷頻度や割合が小さい、少ない傾向が見て取れます。十中八、九はFV施設は役立たず??
FV設備の機能から見ると
また、東電が期待できない、役立たないとした理由をFV施設を設置する目的と機能から見直すと、単に東電が小さすぎる容量と運用方法をケチっているからではないかと考えられます。FV施設は「格納容器内の圧力及び熱を外部へ放出し、格納容器の圧力及び温度を低下させることで、格納容器の破損を防止する」目的で設置されます。「排出する排気ガスに含まれる放射性物質を低減」する機能と「大気を最終ヒートシンクとして熱を輸送するための機能」を併せ持っています。過圧破損や過温破損を防ぐ、遅らせることはできないのでしょうか。
続く

2015年5月27日、新潟県の技術委員会があった。今日の資料は14もあり多かった。県のWEB・・平成27年度第1回新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会(平成27年5月27日開催)
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356813191206.html

大別すると
①課題別ディスカッションの「課題1地震動による重要機器の影響」
②課題別ディスカッションの課題2から6までのこれまでの要約
ここまでは・・http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29

③東電シビアアクシデントシナリオに関する鈴木委員と東京電力のディスカッション
a 福島第一で起きたこと、柏崎刈羽原発6号機、7号機で東電の想定箇所は
ここまでは・・http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-30
b 東電の回答、その根拠としたこれまでの試験、鈴木委員のコメント
ここまでは・・http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-30-1
c メルトダウン防止・フェーズⅠの米国の耐圧強化ベント
ここまでは・・http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-31
d スウェーデン、ドイツの放射能を除くベント
ここまでは・・ http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-06
e 東電のPRAでのスクラム失敗
ここまでは・・http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-07
②‐f 地震時のスクラム失敗、1時間後にベント?
ここまでは・・http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-08
②-g 地震時に制御棒の挿入失敗なら放射能大量放出??
これは・・ http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-09 
②-h 地震時スクラム失敗でベントフィルターに求められる性能
ここまでは・・http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

④フィルタベント設備について東京電力の説明資料
⑤フィルタベント検証の位置付け


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