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東芝と日立のコアキャッチャー 東電核災害の前 [AM-メルトスルー、CCI]

日本のBWRメーカーは東芝と日立です。両社は2011年3月の東電核災害の前から、コアキャッチャーの特許を取得したり、出願しています。
調べた限りでは、時間順では
①1994年7月に東芝が出願しています。名は「原子炉コアキャッチャー」、出願番号は1994-175455、公開番号は1996-043576です。これは未査定。http://astamuse.com/ja/published/JP/No/1996043576
発明が解決しようとする課題
上記(1)[炉容器を貫通した炉心溶融物を、冷却材のなかに導くコアキャッチャー]においては水蒸気爆発の可能性を否定できないこと、および(2)[落下した炉心溶融物の上から冷却材を散布するコアキャッチャー]においては炉容器底部に堆積した炉心溶融物を充分に冷却できることの立証が困難であったことが挙げられる。
また、(1),(2)に共通する課題として、軽水炉においては、炉心溶融物は70気圧程度の高圧で、溶融貫通した炉容器から噴出する場合があり、この運動エネルギーを吸収するためのショック・アブソーバーが必要であったことが挙げられる。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、高速増殖炉に対しても、軽水炉に対しても有効で、高速増殖炉においては過度な燃料・冷却材相互作用(FCI)を起こすことなく炉心溶融物を冷却でき、軽水炉においては水蒸気爆発を起こすことなく炉心溶融物の噴出エネルギーを吸収することができる原子炉コアキャッチャーを提供することにある。


②2006年2月22日にも東芝は「コアキャッチャーおよび原子炉格納容器」名で「容易に設置可能なコアキャッチャーにより、炉心デブリを効果的に冷却できるようにする。」という特許を出しています。出願番号は2006-044742、公開番号は2007-225356です。登録番号は4612558、現在は特許維持です。http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2007225356
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発明が解決しようとする課題
GEのESBWRには原子炉格納容器の下部にコアキャッチャーが設置される。これは、次世代のBWRの安全性に関する完結性をさらに高めるためのものである。コアキャッチャーは、たとえば耐熱性の部材を用い、溶融炉心が原子炉格納容器の下部を溶融貫通したり、あるいは、放射性物質が漏洩することがないように下部ドライウェルの床部分に配設されたものである。しかし、単なる耐熱性の部材を敷き詰めただけでは、十分に炉心デブリを冷却できないおそれがある。また、炉心デブリを冷却するために、冷却水を通すための配管を多数配設すると、その配設に手間がかかるという課題がある。
 そこで、本発明は、容易に設置可能なコアキャッチャーにより、炉心デブリを効果的に冷却できるようにすることを目的とする
③6日後、2006年2月28日に「炉心溶融物冷却装置、原子炉格納容器および炉心溶融物冷却装置の設置方法」の名で「既設の格納容器に新たに炉心溶融物冷却装置を設置する場合など、大きな物をペデスタルに搬入することが困難なときであっても、別途製造した各構成部材をペデスタルの内部に持ち込んで、現場で組み立て施工が可能であり、施工性が優れている。」「床面積を広くすることなく、原子炉容器内の炉心が溶融して原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を冷却する効率を向上させることを目的とする。」特許を出願。出願番号2006-053660、公開番2007-232529、特許を取得し登録番号4828963で特許維持されています。
http://astamuse.com/ja/granted/JP/No/4828963
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発明が解決しようとする課題
核燃料溶融物であるコリウムの上からの注水だけでは、コリウム上面の水の沸騰による冷却のみであり、コリウム堆積厚さが厚いとコリウム底部まで十分に冷却できない可能性がある。したがって、床面積を広くとり、コリウムの堆積厚さを冷却可能な厚さ以下にする必要があった。しかし、十分大きな床面積を確保することは格納容器構造設計上困難であった。
 たとえば、典型的なコリウムの崩壊熱は、定格熱出力の約1%程度であり、定格熱出力4000MWの炉の場合には、40MW程度の発熱量になる。上面の沸騰熱伝達量にはコリウム上面の状態により幅があるが、すくなくとも0.4MW/m2程度の熱流束が想定される。この場合には、コリウムの発熱量を上面の熱伝達のみで取るとすると、100m2程度(円直径で11.3m)の床面積が必要になる。これまでの格納容器の構造を考慮すると、この面積を確保することは困難であった。
 そこで本発明は、床面積を広くすることなく、原子炉容器内の炉心が溶融して原子炉容器を貫通した際に発生する炉心溶融物を冷却する効率を向上させることを目的とする。

 冷却に傾斜底面と冷却水流路
図を見ると、核燃料、炉心の溶融物を受け止め冷却する底面が斜めになっている。東芝が引き合いに出しているESBWR(自然循環冷却式受動安全沸騰水型原子炉、特許出願での東芝の表記)でも傾斜している。高温から低温へ流れる熱エネルギーの大きさを、単位時間当たりに単位面積(単位:cm2 )を流れる熱エネルギー量、単位は「W/cm2」、の熱流束(ねつりゅうそく、英: Heat flux)で表すが、東芝は「20°の傾斜を持った下向きの伝熱面の場合は、下向きの水平面(角度0°)よりも、沸騰限界熱流束が約60%程度向上することが、(下向きの伝熱面の角度に対する沸騰限界熱流束の実験結果から)わかる。本実施の形態では、冷却水流路は傾斜を持っているため、沸騰により生じた蒸気泡は、浮力によって伝熱面である水チャンネルの内面から離脱しやすく、良好な熱伝達率が得られる。」としている。東芝は64分の一の大きさ(傾斜の長さ約4m,全体では円形だがその一部の扇型)の試験装置での実験結果を公表している。
http://www.scej.org/kagakukogaku_shi/mokuji/76/7609.pdf
このように効率的冷却を図るために傾斜した底面部を使う点は同じだが、使用、特に既設炉へ使えるか大きく違うようだ。違いをESBWRのコアキャッチャーと較べてみよう。 続く
ESBWRのコアキャッチャー
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