SSブログ

福島の小児甲状腺はリンパ節転移していても縮小していく?? 追記② 2014/11の福島県の小児甲状腺癌「健」査評価部会 [被曝影響、特に甲状腺]

福島県の「県民健康調査」検討委員会で特に子供の甲状腺調査を検討する「甲状腺検査評価部会」の第4回会合が2014年11月11日にありました。そこでの論議を「過剰診断は幻?」で検討しました。津金昌一郎委員(国立がん研究センター)から疫学的見解を取扱い、委員の過剰診断説を現状から評価する必要があるとなりました。その評価を福島県立医大の鈴木眞一教授からの、医大甲状腺内分泌外科での55例の手術の説明から行ってみます。
「県民健康調査」検討委員会 第4回「甲状腺検査評価部会」 資料
二次検査は、詳細な超音波検査、血液検査及び尿検査が行われる。そして、普通の健康保険の医療での甲状腺診療に行くか行かないか判断する。篩い分ける。
 医療では、細針吸引による細胞診断法、穿刺吸引細胞診(FNAC、fine-needle aspiration cytology)を実施するか超音波再検査所見で判断される。この細胞診断は、注射針を差し込んで吸引する細針吸引(FNA、fine-needle aspiration)で採り出した甲状腺細胞を細胞学的に調べる。患者に苦痛を与えるので、慎重に必要性を判断する基準になっている。その基準を鈴木教授はガイドブックをしめして説明している。
福島手術シート2-001e.jpg
 日本国内のFNAC(穿刺吸引細胞診)の成績では、陰性は10%確率で偽陰性で本当は陽性(悪性、悪性の疑い)、陽性は約20%確率で偽陽性で本当は陰性。福島医科大は、鈴木教授によれば「悪性ないし悪性疑いが確定しても一般的には90~95%が、がんである可能性」だ。このFNAC(穿刺吸引細胞診)の結果では、確定的な診断は付けらない。それには摘出手術などの後の病理検査などの結果が必要である。確定診断結果と手術は一体。
 これまで偽陽性は1例。鈴木教授によれば「この方は、専門家が見ても細胞診で悪性疑いが4 回続いたんです。それで我々としては、大人だとどういうふうにするかというと、勧めるか勧めないかは別として、通常は手術で全部腫瘍を取って、先ほど言った確定診断をするか、もしくは局所麻酔下で非常に太い針を刺して細胞ではなくて、組織診断をするという話をしたら、本人と御両親が手術で取ってくださいということで、腫瘍そのものも非常に大きかったので、取って確認してくださいという希望があって手術を施行しました。」
 この偽陽性の1例を含めて、細胞診断で「陰性」は381例。この中には偽陰性が当然ある。「悪性、悪性の疑い(陽性)」は104例。この中には偽陽性がある。これまでに1例検出されている。男性36人、女性68人と1対1.9。これまでの甲状腺がんでは、性比は男性1に女性は3以上。男性が多く、これまでの甲状腺がんの知見がストレートに当てはまらない。腫瘍の大きさは最小 5.1mmから最大 40.5mm、14.2±7.5mm。
 国際がん研究機関(IRAC)のヨアキム・シュッツ氏によれば、世界的に見て過剰診断の可能性が大なのは「ほんの2mm程度の甲状腺乳頭がん」といった微少甲状腺がん。福島の”健査”では、5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞は二次検査の対象外としている。腫瘍径1cm以下を甲状腺微小乳頭癌と関係学会は定義している。5.1~10.0mmの腫瘍は104人中にどれ位の人数だろうか。平均が14.2±7.5mmだから30%位だと見られる。
 104人は平成26年6月30日時点で、平成23年度検査群の13例中11例が手術、2例が経過観察?、1例が偽陽性。平成24年度群の54例中41例が手術、13例が手術を想定として準備中。平成25年度群は35例中4例は手術、31例は手術を想定として準備中。
手術の55例
11日の評価部会では、福島県立医大の鈴木眞一教授から、医大甲状腺内分泌外科での55例の手術の説明が行われた。1例は偽陽性で術後良性結節と判明。甲状腺癌54例で病理結果は52例が乳頭癌、2例が低分化癌。医大以外の手術例は3例で乳頭癌。
 術前診断では、腫瘍径10 ㎜以下は22%の12例であり、先ほどの全体では30%位という推測は当たらずとも遠からず。
 「術式は、甲状腺全摘5例(9%)、片葉切除49例(91%)、リンパ節郭清は全例に実施し、中央領域のみ実施が67%、外側領域まで実施が33%であった。出来る限り3cm の小切開創にて行った。」つまり、甲状腺機能を全て失う全摘は5例(9%)です。「術後合併症(術後出血、永続的反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症、片葉切除後の甲状腺機能低下)は認めていない。」そうです。良かった。

過剰診断は3例??
 術後病理診断では、腫瘍径10 ㎜以下でリンパ節転移、遠隔転移のないものは3 例(6%)。これは術前診断では、腫瘍径10 ㎜以下でリンパ節転移、遠隔転移が疑われないが気管や反回神経(はんかいしんけい・声帯を動かす神経)に近接もしくは甲状腺被膜外への進展が疑われた7例、腫瘍径10 ㎜以下でリンパ節転移や遠隔転移、甲状腺外浸潤がなく非手術経過観察を勧めたが本人の希望で手術となった2例の計9例のうちの3例であろう。この症例では、癌細胞が転移する、大きくなって声が出ないなど臨床症状が出てくるまで処置しないというのが過剰診断を無くすことです。
 そうすると、チェルノブイリでの悔悟、「真ん中に気管切開の穴が空いています。この子は生涯ずっと生きると思います、ただ声は出ない、お風呂も入れない、みんなと楽しくお話しも出来ない。何が起こったかというと、両側の反回神経(はんかいしんけい・声帯を動かす神経)が損傷されているんです、なぜ損傷されているのかは分かりませんけれども、アクシデンタリィに傷つけたか、あるいは両方の反回神経を合併切除せざるを得ないぐらい進行していたのかはわかりませんが、両側の反回神経の麻痺が起きていることは確かである。これは、もっと早く見つけていればそういうことはないんです。」(清水一雄 部会長、第2回会合での発言)という悔悟を無くせません。医大での手術は、甲状腺機能が保存される片葉切除が49例(91%)ですから、この3例もそうでしょう。術後のQOL低下などは小さいと思われます。
リンパ節転移があっても縮小して行く??
手術前の診断では、「リンパ節転移は17 例(31%)が陽性であり、遠隔転移は2 例(4%)に多発性肺転移を疑った。」術後の病理診断では、「甲状腺外浸潤 pEX1 は37%に認め、リンパ節転移は74%が陽性であった。」。
津金昌一郎委員(国立がん研究センター)は、がんの自然史なるものを根拠に「現在診断されている甲状腺がんの多くは、非常にゆっくりと大きくなる、そのままの大きさで留まる、あるいは、縮小して行くなどのシナリオが想定される。」と言っています。津金委員はリンパ節転移の認められた74%、甲状腺外浸潤 の37%の人、42人以上の手術を終えた県民に、準備中の44人にあなた方の甲状腺がんは非常にゆっくりと大きくなる、そのままの大きさで留まる、あるいは、縮小して行く癌であったろう、あるだろうと漠然とした自然史ではあなた方の小児甲状腺がんでの根拠を示して説明する責任があると思います。
追記①
注目すべきは、全例でリンパ節郭清つまり切除が行われている事。成人では内視鏡を使った甲状腺のみを切除する、リンパ節郭清をしない内視鏡手術が行われています。成人になって発症、臨床診断されたであろう癌を早期発見した、いわゆるスクリーニング効果が顕れているとするなら、福島医大の手術でもリンパ節郭清をしない手術・術式が術後のQOL(生の質)・予後を考慮して採られたはずです。それが1例も行われていない。これを考慮して、津金委員には説明する責任があります。
B2fb9QXCQAIrRrt.png
患者様よりも大事な学会発表
 また、鈴木教授は「切除標本の遺伝子検査の一部データを、学会で公表する。発表後、できるだけ検討委員会で公表できるようにしたい」「突然出すことはありえない。学会が近いということも有り、前回のようなことがないように。公表するということをここで公表する」と発言。
 「いちばん専門でやっている先生が科学的に有用とおもって発表するのだから、県民にとっても有用なはず」(春日井員)
医者ならば命を護ることが第一義でしょうが、医学教授では護命よりも学会発表が大切なのでしょう。こんな教授の教育では、どんな医師が育つのでしょう??
その県民、患者様よりも大事な学会は11月14、15日第57回 日本甲状腺学会学術集会。この学会は「学会員向けであり演者の中に取材を受けたくない人がいるため取材を断る」閉鎖的な会合である。そこで県の甲状腺検査評価部会にすら伝えていない知見を発表する。教授職、研究職の自分たちの利益に利用することばかりしていると思われても仕方ない人達が「県民健康調査」を取り仕切っている現状が露わになった。
閑話休題
東アジアの人々は遺伝的に甲状腺がんを発症しやすい
洩れて伝わってきた鈴木教授の発表内容は、「成人患者に多いとされるBRAF点変異という遺伝子変異が福島の小児甲状腺がんでは高率にあった。小児に多いとされるRET/PTC rearrangementの頻度は低い。」
BRAF点変異は、チョン・ジェフン氏(韓国・成均館大学医学部)が2014年2月21日~23日に環境省・福島県立医科大学・OECDの共催で開催された「放射線と甲状腺がんに関する国際ワークショップWS・東京」で取り上げていた。
「韓国を含む東アジアの国民が遺伝的に甲状腺がんを発症しやすい」ことを発症の人種的疫学統計やこの変異を例証にして主張していた。
東アジア01.jpg 東アジア02.jpg
「東アジアの人々は遺伝的に甲状腺がんを発症しやすい」説からは、チェルノブイリの経験はストレートにフクシマにはあてはまらないと考えられる。居住する陸上部への放射能拡散量がチェルノブイリ事故の数分の一程度だから、影響も数分の一程度とは言えない。チェルノブイリの人々より福島の人々は数倍遺伝的に甲状腺がんを発症しやすいのだから、同じ程度と考えられる。
 放射線被曝への感受性が遺伝的に甲状腺では高いのなら、影響も早く顕れて来るくるのではないか。
学問的、科学的には「東アジアの人々は遺伝的に甲状腺がんを発症しやすい」説の検証、確立には時間がかかる。社会的にはそれを待ってられない。甲状腺医療に充てる医師や施設などは一朝一夕にはできないのだから、学問的確立を待っていては決断が遅すぎる。
追記②
14日の学会のNHK福島の報道です。
(1)103人中23人の組織標本を遺伝子解析した。
(2)チェルノブイリにおいて高頻度で発見された変異RET/PTC3はゼロであった。通常、成人の甲状腺がんで見られる変異は多く見つかった。
(3)成人型が多く、チェルノブイリと型が違うので「被曝起因とは考えにくい」と結論
B2fRM8qCQAEFe3-.png

23人が抽出された103人は平均年齢17.1±2.7才。23人は平均17.9歳。学問的には小児乳頭がんの病理型・癌遺伝子は10才前後を境に変容することが知られている。10-14才集団では標準型乳頭癌が大多数を占め、0-9才集団では充実型・濾胞ヴァリアントの乳頭がんが顕著に多い。充実型を「幼児型乳頭がん」と呼ぶ専門家がいる。10才以上では標準型が多く、成人乳頭がんに近い病理組織形態をとることが知られている。だから平均年齢17.1±2.7才から「成人型」(標準乳頭癌)が多く見つかるのは当然。
初期チェルノブイリの診断時平均年齢は9~11歳前後だから、「幼児型」が多い。これと平均17.9歳の福島が違うのも理の当然である。福島の発症は「被曝起因とは考えにくい」という結論は飛躍している。

図などはhttp://togetter.com/li/745743からお借りしました。ぜひご覧ください。

 

 

タグ:甲状腺がん
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 1

Heawbacle

Can Amoxicillin Cause Temporary Impotence lieroure https://acialisd.com/# - п»їcialis FemaTece Where To Mail Order Cialis From India PedDiene <a href=https://acialisd.com/#>Cialis</a> tosyonesee Viagra Sildenafil 100mg
by Heawbacle (2020-07-06 00:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0