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過剰診断は幻? 2014/11の福島県の小児甲状腺癌「健」査評価部会 [被曝影響、特に甲状腺]

福島県の「県民健康調査」検討委員会で特に子供の甲状腺調査を検討する「甲状腺検査評価部会」の第4回会合が2014年11月11日にありました。11日の評価部会では、津金昌一郎委員(国立がん研究センター)から疫学的見解が出されました。福島県立医大の鈴木眞一教授から、医大甲状腺内分泌外科での55例の手術の説明が行われました。両者を読み合せると渋谷健司東京大教授(国際保健政策学)が提唱する、この県民健康調査の小児甲状腺検査の「過剰診断」なるものが幻であることが一層はっきりした。
「県民健康調査」検討委員会 第4回「甲状腺検査評価部会」 資料
早期に診断したことによる上乗せ、いわゆるスクリーニング効果だけで解釈することは困
津金委員は、同僚の国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部に依頼した「福島県における 2010年甲状腺がん有病者数の推計」に依る見解です。
  資料5 福島県における甲状腺がん有病者数の推計
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/91000.pdf

有病数シート2.jpg この推計は①がん罹患率(全国推計値、2001-2010年)から年齢各歳別の甲状腺がん累積罹患リスク(ある年齢までに甲状腺がんに罹患する確率)を算出し、
②それを福島県の各年齢人口に乗じることで、各年齢の累積罹患数を求める。
③それを 0歳から任意の年齢まで合計すると、その年齢までの合計累積罹患数がでる。それをその年齢までの有病者数と見做す。←右の有病者数の推計表参照
「2010年時点の福島県の 18歳以下の甲状腺がん有病者数は、2.0人(男性 0.5人、女性 1.6人)と推計された。有病者数が男女計で 50人を超える年齢は 31歳、100人を超える年齢は、35歳と推定された。」(がん統計研究部)

津金委員は、「福島県において 18歳以下の甲状腺がんが 100人を超えて診断」という現状とした。そして「検査の受診率は約 80%なので、その集団における有病者数は推計数の約 80%と考える必要がある。」「今後、検査受診者から新たな甲状腺がんは検出されない(将来診断される甲状腺がんを全て検出した)と仮定」するとして、がん統計研究部の推計から次のような見解を導いている。
⒜「今回の検査がなければ、1~数年後に臨床診断されたであろう甲状腺がんを早期に診断したことによる上乗せ(いわゆるスクリーニング効果)だけで解釈することは困難である。」
推計表では23歳で9.0だから80%で7.2人、28歳で33.0だから26.4人。100人を超えているのだから津金委員のいうとおりスクリーニング効果だけでは説明できない。
⒝「現状は、何らかの要因に基づく過剰発生か、将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多数診断している(いわゆる過剰診断)かのいずれかと思われる。」
津金委員の過剰診断論
⒞「過剰診断については、成人の甲状腺がんにおいて確実に観察されていることや小児においても神経芽細胞腫マススクリーニングの前例があるので、十分な蓋然性がある。」

過剰診断2.jpg 蓋然性だけでは何ら「100人を超えて診断」されている現状を説明できない。小児甲状腺のマススクリーニングでは、過剰診断が観測されていることを論証しなければ、単なる仮説、悪く言えば独り言である。
 過剰診断という考え方は、医療費抑制という視点が出発点で根底にある。早期発見と臨床的症状を顕してからの診断との間に時間差があるという認識がある。医療費的にはその間に費やされる医療費を抑制ということから過剰診断を少なくしようとする。医療費など金銭的なものではなく不安といった心理的なQOL(生の質)的なものを挙げることもある。

 津金委員は「無症状で健康な人に対する精度の高い検査は、少なくない不利益(過剰診断とそれに基づく治療や合併症・その後のQOL低下など心身への負担、偽陽性者の結果的に不必要な二次検査による心身への負担、甲状腺一次検査自体の心身への負担など)をもたらす可能性がある」と述べている。マススクリーニングは、健康であるか否かを調べるのだから、その対象は「健康な人」と決めつけるのは間違えている。また無病状というのも正確には無臨床症状である。

 これまでも検査の結果を下の表にした。検査への参加は強制されない。甲状腺の健康状態を知りたい人が受ける。一次検査は36万7千人余りを対象にしたが、そのうち7万1千681人は参加していない。参加したた29万6千人には、超音波画像診断の検査が行われた。この超音波「甲状腺一次検査自体の心身への負担」は、29万6千人にはいわば懸念解消のコストである。これを少なくしようとするのは当然だが、殊更マススクリーニング検査の当否まで問題にする必要はあるのか?

福島手術シート2-001d.jpg


「偽陽性者の結果的に不必要な二次検査による心身への負担」とあるが、これは表の次回検査(Nb)とした623人のことである。偽陽性者は、どんな検査でも出てくる。二次検査は、詳細な超音波検査、血液検査及び尿検査が行われる。これも強制されない。対象は2237人だが、参加は1951人。この負担を少なくしようとするのは当然だが、殊更問題にする必要はあるのか?

「過剰診断とそれに基づく治療や合併症・その後のQOL低下など心身への負担」はどうか。今度の検査による早期発見、それによる治療、手術と臨床症状が顕れてからの手術の相違、その合併症・その後のQOL低下など心身への負担の相違を知らなくては、比較検討できない。津金委員の見解には、それはない。抽象的な指摘だけである。
 「現在診断されている甲状腺がんの多くは、非常にゆっくりと大きくなる、そのままの大きさで留まる、あるいは、縮小して行くなどのシナリオが想定される。」とあるが、なぜそうなるのか、早く大きくならないのかは一切論拠がない。また甲状腺がんを自体への意見は、何らかの要因に基づく過剰発生での見解にもある。

津金委員の過剰発生否定論
⒟「過剰発生については、急性感染症などとは異なり、がんの要因と発生との間には、ある程度の年数を要することが明らかになっているので、2011年の震災以降に加わった何らかの要因が、2014年迄に診断された甲状腺がんの発生率を高めていると解釈することは困難である。」としている。
 
ガン検査比較.jpg
2011年の震災以降に加わった何らかの要因で遺伝子に異常を生じた甲状腺細胞が、超音波診断などで検出可能な大きさまで増殖するまでにはある程度の年数を要するだろう。震災以降に生じた小児甲状腺がん細胞が増殖して100例近くまでになりまいたとは言えないと思う。
しかし、2011年の震災前、3月11日午後2時の時点でも、福島の小児の甲状腺には遺伝子異常の細胞、増殖を始めた癌細胞はあったであろう。震災以降に加わった何らかの要因でそうした既にあった甲状腺がん細胞が早く大きくなった、増殖速度が上がったのではないだろうか。そのままなら非常にゆっくりと大きくなる、そのままの大きさで留まる、あるいは、縮小していった甲状腺がん細胞が、早く大きくなるようになったのではないか。
ガン自然史シート.jpg

実際に福島の小児甲状腺検査と医療で分かってきたことで裏付けられるだろうか。鈴木眞一教授から、医大甲状腺内分泌外科での55例の手術の説明を検討してみる。

タグ:小児甲状腺
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Heawbacle

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