ガスの漏洩ルートとトップフランジの水張 水素ガスとベント 試論⑬ 訂正 [AM-ベント、排熱]
水素ガス、放射能のパスルート
PCV格納容器から水素ガスが出てくるパスルートは5つ考えらている。このパスルートは放射能、主にガス状の放射能が出てくるルートでもある。一つは過圧による破損、一つは過温による破損、一つは高圧高温の合わせ技での破損、一つはデブリでの容器の鋼板の溶融貫通メルトスルー破損、一つはTIP(移動式炉心内計測装置)の案内菅、RPV原子炉内部とPCV格納容器外部を直接結ぶ案内菅が熔融炉心で開口してできるパスルートである。
こうした高圧高温状態が去ると設計段階から許容されている漏洩率以下になる一時的増大である。メルトスルー破損、TIP案内菅では、原理的に考えにくい損傷。KK原発6、7号機の設計漏洩は設計圧力Tdの0.9倍の圧力で設計漏えい率0.4%/日、約53立方㍍である。これは検査の際には常温で、設計温度の0.9倍の154℃などに加温して検査はしていない。
東電の温度圧力解析は、全体的評価である。熱い高温気体は軽いから上方に偏在し、上方はより高温化する。これは、ストーブをたいた室内で体験する現象だ。PCVのD/W全体的に見れば212℃でも、PCV頭部のトップフランジ付近は350℃以上になるのではないか。図のB部は212℃位でもA部はより高く局所的に過温破損を起こす温度帯にならないか。東電シナリオでは2時間後にPCVのD/Wスプレイが始まり、温度が低下する。B部はスプレイ水で早く下がるだろう。しかしスプレイ装置よりも上方にトップフランジはあるから、なかなか温度は下がらない。
SBOが続き格納容器に注水、冷却水のスプレイがなければ、D/W全体でも300℃を超えるだろう。トップフランジ付近は500℃以上で過温破損しているのではないか。
トップフランジの水張
東電は格納容器頂部に水張りで、トップフランジの破損を防止するとしている。PCV内側から高温ガスで加熱されても、外側に水があれば水が熱を吸収する。張られた水は大気圧下だから100℃で沸騰する。トップフランジ外側は100℃以上にはならない。厚みがあるから内側も100℃以下とはならないだろうが、フランジ全体が170℃200℃まで上がるとは考えられない。有効な対策だと考える。北海道大学の奈良林氏によれば「スイスの格納容器頂部はプールの底」だそうだ。
しかし、東電では頂部水張は「シナリオ上考慮しない操作」としている。対応の概要ではS/Cの圧力が0.38MPa(a)=0.297MPa(g)以上になった時、解析上は約2時間後に準備を開始する。消防車を呼びこんで、注水ラインの構成を始める。準備ができたら行うことになっている。発災から3~4時間はトップフランジの破損防止の水張は行われない。県の依頼で東電が設定した県依頼シナリオでも同様。
(2014年10月7日付、選定したベントシナリオ解析条件の妥当性について、16頁http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/60/47/141007_shiryou2,0.pdf)
しかし、スイスのようにトップフランジに常に水張してあっても、NRC米国原子力委員会のSOARCA研究や東電核災害の現実を見ると水素爆発は避けられそうにない。
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