SSブログ

7月29日吉田調書、(3)吉田所長も菅総理と同じ、再臨界懸念から先ずホウ酸水注入と決めていた! 11頁 [東電核災害検証、吉田調書]

 吉田 昌郎 2011年7月29日付 事故時の状況とその対応について  (PDF:7,170KB)
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/051_koukai.pdf

11頁、吉田所長
「1号機は、今言った逆洗弁ピットから海水を取って入れていました。それから、 3 号機の脇に、この前も申しましたけれども、防火水槽がありまして、ここの防火水槽の水が使えるということが、要するに、私はそのとき海水であろうが、水であろうが、入れられるものは、近場のものは全部使えというような形のあれなので、余りここで淡水か海水にこだわっていないんですよ。まず一番近場で入れられるもの、淡水があれば、そこに入れろという指示をした。

 それから、もう一つ、これも記憶があれなんですけれども、要は 1 号機もそうなんですけれども、ホウ酸水を最初に入れた方がいいと、これは原子炉の安定といいますか、再臨界を防ぐためにホウ酸を突っ込んだ方がいいという判断があって、そのときに 1 号機は逆洗弁ピットでホウ酸を溶かしたんですけ れども、ホウ酸を溶かすのは、防火水槽の方が、常にきちんとしたタンクというか、水槽ですから、この方が溶かしやすいということで、それも含めて淡水注入をまずやって、それから海水に切り換えたという記憶でございます。」

まず、官総理(当時)と同じく再臨界を懸念していた吉田所長は「再臨界を防ぐためにホウ酸を最初に入れた方がいい、突っ込んだ方がいいという判断」をしていた。

 官総理は、12日の18時半ごろからの会議で東電からの連絡・説明員の武黒フェローから海水注水には準備に1時間から1時間半かかるとの説明を聞いた。それで、その準備作業の間に再臨界を防ぐためにホウ酸水注入の是非を検討するように指示している。発電所々長自身が、同様の懸念を持ち「ホウ酸を最初に入れた方がいい」と判断していた。官総理の心配や指示は素人判断、思い付きではなかったことになる。混乱は、武黒フェローが7時の電話で既に海水注入が始まっていることを知りながら、総理に説明しなかった、説明役でありながら責務を果たさなかった事と何の権限もないのに前原子力本部長や前代表取締役という社内権威で威圧して「四の五の言わずに止めろ」と吉田所長に指示したことにある。

suisou1f.jpg 防火水槽は消防車で水を出し入れする接続口が一つしかないと東京電力は説明している。しかし、ホウ酸の結晶を大量に入れる口は別にあるようだ。東電は腐れにくい強化プラスチック素材のFRP防火水槽を地下に設置したと公表していた。https://www4.tepco.co.jp/nu/f1-np/taishin/index-j.html
 画像の様に点検口をかねた吸水口が一つある。2012年の福島第二原発の防火訓練をみると、人が点検にはいれるマンホールだ。地上に設置するタイプは、上部に通気口や人が中に入って点検できる口が設けてある。これなら大量のホウ酸結晶を投入できる。この口を使えば、海水を入れることができたろう。他の防火水槽の水をかき集めて入れて蓄えることがスムーズにできたろう。

「防火水槽の取水口には消防ホースが一つしか入らない構造であったため、同時に補給用ホースと吸込用ホースを差し込むことができなかった。そのため、FP 系注水の水源となっていた防火水槽に補給を行う際には、原子炉注水のための吸込用ホースを取り出さなければならず、その都度注水を中断しなければならなかった。」(畑村政府事故調、中間報告、本文132頁)
とあるが、2012年の福島第二原発の防火訓練の画像を見る限り2本のホースを入れられる、可能に思える。

福島第二120227_03.jpg

 この時は2号機防火水槽の水を1号機の防火水槽に送水するラインが入っている。だから3本は入らないということなのかもしれない。この下図を見るとこの送水ラインで水をとる個所を2号機防火水槽から3号機逆洗弁ピットに替えれば、1時間に7トンの淡水注水ではなく大量の海水を注水できたのではないか。1号機はメルトスルーしていたのだから「どれだけ格納容器、圧力容器が損傷しているかいるかわかりませんので、燃料が損傷しているのであれば、水入れてどぶ漬けにして、冷やすしかないと、これが一番シンプルな考え。」(6頁)に沿って「海水であろうが、水であろうが、入れられるものは、」注水する方針をとっていたのだから、この12日11時ごろに3号機逆洗弁ピットを水源にしていないのか不思議である。実は「まず一番近場で入れられる淡水があれば、そこに入れろという指示」であり「何とか真水でやれるところまでやり切らないといけないんじゃないか」(6頁、質問者)とみられる行動をとっている。

ChyukanSiryou126b.jpg

 12日11時ごろに3号機逆洗弁ピットを水源にすると、1号機用には消防車は2台で済む。この時は福島第一の1台、柏崎刈羽の1台、自衛隊の2台と4台あったから、2号機用に1台、3号機に1台の消防車、つまり注水手段を確保できる。水源は逆洗弁ピット(海水)がある。あとは原子炉の圧力を下げる逃し安全弁SRVを操作するための電源と圧縮ガスだ。3号機には両方あったから、直ぐに12日の午後には原子炉への海水注水が行えたろう。海水注水で廃炉確定だがメルトダウンを避けえた。
 2号機は、「3月11日中に発電所対策本部が消防車の配置や消防ホースの敷設、減圧操作用のバッテリー収集といった注水準備に着手した事実は認められない。唯一、当直が建屋内のFP系ラインを原子炉注水ラインに切り替えただけである。」(畑村政府事故調、中間報告、本文136頁 脚注)であるから、何時になったら注水できたかは見当もつかない。待機することになったろう。
 メルトダウンもしていない段階で、メルトダウンを避けるために海水注水で廃炉=高額な資産の廃棄の決断を、その決断責任を一介の役員、取締役でもない一介の役員に決断責任を東電は課している、これはかなり無理がある体制ではないか。

ホウ酸水問題は「海水とホウ酸を最初から一緒に混ぜたいと思って用意しろといっていたんです。ただ、ここBoric_acid.jpgの場所の線量が非常に高いのと、ホウ酸はある程度溶かして入れないといけないんです。要するに、袋で、入ってくるのは、ホウ酸の固まりというか、結晶というか、白いあれですから、あれをぱっと入れても、溶かしてうまく入れる手順も考えておけというととは、もっと前に言っていたんです。
 ただ、やはり現場の線量が高い、それから準備がなかなか整わない、まずは水を入れるということを最優先で、ホウ酸は、しょうがないから、準備でき次第入れろということで、実質的にできたのが20時45分ということであって、これは指示で20時45分になったんではなくて、これは、『as son as possible』 で入れろということが、現場で実際にはこの時間になったということです。」(13頁)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0