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新潟県技術委検証、11日中には必要?!海水注水の明文化した社内合意  課題2 事故対応マネジメント⑤ 2014/8/27 [東電核災害の検証・新潟県技術委]

新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会(平成26年8月27日開催)
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356793671967.html

吉田調書からみると 東電、東京本店の緊急対策本部

吉田所長の証言、いわゆる吉田調書が2013年9月11日開示された。それと、新潟県の技術委の検証を読み比べた。海水注水での11日夕刻から12日未明までの、本店の緊急事態対策本部の働きに疑問が生じた。それを、新潟県の技術委で解明するよう県に求めるメール草案。

 課題2海水注水等の重要事項の意思決定のⅠ海水注入について

質問1 吉田所長が11日17時頃持った状況認識を、本店の緊急時対策本部(以下では本店対策本部)は、何時頃、持ったのか。

質問2、バッテリーが死んで全電源喪失になると、核燃料損傷・メルトダウンに至るのは12日の何時ごろ、溶融貫通・メルトスルーにいたるのは何時ごろ、ベントが必要になるのは何時か、12日の何時頃とそれらの時刻を本店対策本部は推定・評価していたのか。

質問3 1、2号機が津波来襲時に全電源喪失に陥っていた場合、1号機、2号機は核燃料損傷・メルトダウンに至るのは11日の何時ごろ、溶融貫通・メルトスルーにいたるのは何時ごろ、ベントが必要になるのは何時か、11日の何時頃と本店対策本部は推定・評価していたのか。

質問4 SBOで11日23時半頃にバッテーリが切れてから、注水手段は確保されたとして、12日の何時頃に海水注水が必要になると本店対策本部は評価していたのか。その場合にベントが必要になる時刻を、本店対策本部は12日の何時頃と評価していたのか。注水手段が確保されなかった場合にベントが必要となる時刻は、本店対策本部は12日の何時頃と評価していたのか。

質問5 1、2号機が津波来襲時に全電源喪失に陥っていた場合、メルトダウンに至る。事故時手順書(シビアアクシデント)では「PRV破損前のペデスタル初期注水」と「格納容器の除熱操作」つまり格納容器スプレイ(散水)が求められるが、本店対策本部はそれは11日の何時頃と評価していたのか。それに、海水は必要になるのではないか。注水手段が確保されなかった場合にベントが必要となる時刻は、本店対策本部は11日の何時頃と評価していたのか。

質問6 本店対策本部は、何時までに、経営陣の海水注水への合意を形あるものとし、発電所対策本部に伝達し決断がスムーズに下せるようにサポートする予定であったのか。

詳細 

東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会による東京電力福島第一原子力発電所長(当時)吉田 国郎氏への聴取の記録、いわゆる吉田調書が2013年9月11日開示された。平成23年7月22日の吉田調書の23、24頁に次の記載がある。(A)などは私が付けた。

回答者(A)「16時36分、これを出した後には、中央操作室からも情報が入ってきて、要するに、水が入ってきているという情報が入ってくるんですね。それが DG の方にどれぐらい入っているかということまでいちいち見に行っていませんが、水が入ってきて、いろんな電源が死んでいるよということと、 DG が死んで、いることが同じことだからと。要するに、水かぶって止まってしまったんだなというのがわかってきたということなんですね。ですから、もう水をかぶってしまった時点で、何もしようがない。極端に言えば、ヒューズが飛んだんだったら、ヒューズを取り替えればできるわけですけれども、水をかぶるような状態になったときに、すぐさま生かすということは極めて難しいという判断はしています。」

質問者「結局、計器類について電源回復も必要でしょうし、非常用ディーゼルが使えないということになって、次にどういう対応をとろうとお考えになられたんですか。」

回答者(B)「絶望していました。基本的には、私自身ですね。シビアアクシデントにはいるわけですけれども、注水から言うと、全部のECCSが使えなくて、ICとRCICが止まって、HPCIがありますけれども、それらが止まった後、バッテリーが止まった後、どうやって冷却するのかというのは、検討しろという話はしていますけれども、自分で考えても、これというのがないんですね。」

質問者「答えがない。」

回答者(C)「答えがないんです。アクシデント・マネジメントのマニュアルから言うと、先ずはFP、消火系を生かせということで、それがDD、ディーゼルドライブの消火ポンプを動かせば行くというのはわかっていて、ろ過水の方がどうも水がなさそうだという話もその辺で入ってきまして、漏れているという話が入っていって、非常に難しいなと思っていました。いずれにしても、まずはFP、DD、消火系ポンプを生かして水を突っ込むしかないという中で、水をどう入れるか考えろという話をしていまして、2号のメタクラは幾つか生きているという話がその辺で入ってきますので、それを流用して動かせるポンプはないかということを検討しろと。

 もしそれが動かなかったときには、最初に減圧して、要するに、消火系のポンプというのは、DDにしても何にしても、圧力が下がらないとはいりませんので、与圧が下がらないと入りませんので、逃し安全弁をふかして、その分、圧力を逃して、圧を下げてからするという手順になりますので、その手順をやるときに、ディーゼルドライブの消火ポンプで十分大丈夫なのかをということを確認しにいかせると、ろ過水が入るのかもわからないという話も入ってきますし、どうしようかなという状況です。

 その中で、タイミングはわからないですけれども、水を入れる他の方法はないかというときに、FPのラインを使って消防車で水を入れることはできると。これはアクシデント・マネジメントのマニュアルにも何も書いていないと思うんですけれども、確かにそのラインがあるということで、トライするということを含めて、検討する必要がある、検討しろいうことになったんです。」

質問者「炉心溶融などを防ぐという意味で、RCICとか、ICが、8時間だとか、何日ぐらいもつという判断だったんですか。」

回答者(D)「私などは8時間で死ぬと。」

質問1
(C)の最後に出てくる消防車使用のラインの検討指示は17時12分であるから、こうした状況認識を吉田所長、発電所緊急時対策本部(以下では発電所対策本部)は17時頃には持っていた。本店の緊急時対策本部(以下では本店対策本部)は、何時頃こうした認識を持ったのか。

質問2
(D)の8時間は、バッテリーが切れる設計での値であろう。15時40分頃非常用発電機が止まってバッテリーになって8時間だから23時半頃になる。この頃にバッテリーが死んで全電源喪失になると、核燃料損傷・メルトダウンに至るのは12日の何時ごろ、溶融貫通・メルトスルーにいたるのは何時ごろと時刻を本店対策本部は推定・評価していたのか。また、格納容器内に崩壊熱が籠る。海水系のポンプはSBO・全交流電源喪失と津波被水で「水をかぶってしまった時点で、何もしようがない。」。それで海水、海洋へ崩壊熱は放出はない。従っていずれ耐圧強化ベントをおこなうことになる。ベントが必要になるのは何時か、12日の何時頃と本店対策本部は推定・評価していたのか。

質問3
ただし、1、2号機は16時36分に原子炉水位の監視ができないと報告が有った。吉田所長によれば、こうした「監視機器を生かすのは直流電源です。」1、2号機はバッテリーも死んでいる、津波来襲時に全電源喪失に陥っている事が示唆されている。こうした1、2号機の全電源喪失の可能性を本店対策本部は何時ごろに状況認識したのか。そして1、2号機はいわば8時間分時間が早送りされた状況になる。1号機はIC・非常用復水器停止、2号機はRCIC停止する。15時40分頃に全電源喪失した場合、1号機、2号機は核燃料損傷・メルトダウンに至るのは11日の何時ごろ、溶融貫通・メルトスルーにいたるのは何時ごろと時刻を本店対策本部は推定・評価していたのか。ベントが必要になるのは何時か、11日の何時頃と本店対策本部は推定・評価していたのか。

必然的なベント、問題は時刻 

先に述べたように、格納容器内に崩壊熱が籠る。海水系のポンプはSBO・全交流電源喪失と津波被水で「水をかぶってしまった時点で、何もしようがない。」。それで海水、海洋へ崩壊熱は放出はない。つまり、格納容器内は高圧、高温化する。原子炉圧力容器への注水でメルトダウンを阻止しても、この高圧、高温化でベントを避けられない。
 メルトダウンに至れば、ジルコニウム合金と水蒸気との化学反応で発生する熱と水素ガスが加わり加速する。メルトスルーすると溶融核燃料・デブリと格納容器の床コンクリートとの化学反応で水素ガスや一酸化炭素が加わり、より一層高圧化が加速するする。従っていずれ耐圧強化ベントをおこなうことになる。

 メルトダウンしていない状況で格納容器が高圧、高温化した場合には、事故時手順書(兆候ベース)に、PCV・格納容器の圧力の監視と制御を目的とする「PCV圧力制御」(PC/P)の手順がある。その手段は、格納容器・PCVスプレイ(散水)である。上部のD/Wスプレイと下部の圧力抑制プールでのS/Cスプレイである。その間欠的にスプレイされた冷却水は、格納容器ペデスタル、そこから溢れて圧力抑制プールS/Cに蓄水される。圧力容器に注水された冷却水も、水蒸気となって格納容器に移行し、S/Cや格納容器スプレイで凝縮し、これに加わる。S/Cの水位が上昇する。そして「ベント操作限界水位に到達した場合には、外部水源による格納容器スプレイを停止し、操作ガイド-8『格納容器ベント操作』に移行して格納容器ベントを実施する。」
 限界水位に達する目安として、外部水源による圧力容器と格納容器への総注水量が1号機では1700立方㍍、2、3号機では2300立方㍍が記されている。

0729e手順.jpg
 

 メルトダウンに至った状況では、事故時手順書(シビアアクシデント)が使われる。(以下では手順書SPO)。圧力容器・RPVの破損のない時、メルトスルー前の時には手順書SPOでは、損傷炉心の冷却、圧力容器注水が確保されない場合には「PRV破損前のペデスタル初期注水」を実施とある。これは格納容器上部のD/Wスプレイ(散水)によって、圧力容器直下のペデスタルに蓄水することである。1号機は40立方㍍、2、3号機は70立方㍍である。

 メルトダウンしていない状況で既にD/Wスプレイが行われて、先ほどの量以上スプレイしてあれば不要であろう。この初期注水を終えても、圧力容器注水が確保されない場合には「格納容器の除熱操作」つまり格納容器スプレイ(散水)は継続される。そして限界水位に達する目安量に達すれば格納容器ベントが行われる。
原子炉圧力容器注水が確保された場合も、格納容器スプレイ(散水)は継続される。総注水量が限界水位に達する目安量に達すれば格納容器ベントが行われる。

 原子炉圧力容器への注水量が不足などで圧力容器・RPVの破損した時、メルトスルー後は「破損後のペデスタル注水」「長期のRPV破損後の注水」「RPV破損後の除熱」の手順が用意されている。これらは、メルトスルーした圧力容器・RPVへの注水と格納容器のD/Wスプレイである。そして限界水位に達する目安量に達すれば格納容器ベントが行われる。

0729b.jpg
 

 このように、ベント操作限界水位に達する目安量に総注水が達すれば格納容器ベントが行われる。水源に制限があり冷却水の注水が足りない場合は、格納容器は早く高温・高圧化するからベントが早まる。

総注水量の目安は1号機では1700立方㍍、2、3号機では2300立方㍍である。合計で5700立方㍍である。 注水用の外部水源に各号機に、復水貯蔵タンク(1900千㍑・1900㎥、2、3号機は2500㎥)が設計で用意されていた。FP・消火系には1~6号機全体で、ろ過水タンク2基(800千㍑・800㎥×2で1600㎥)が用意されていた。消防車は、ろ過水タンクからの屋外の消火配管・消火栓と防火水槽(1基40トン、総数は不明)の淡水である。

 復水貯蔵タンクで総量注水量目安の上限以上ある。設計では電動ポンプでRPV・圧力容器への注水とPCV・格納容器スプレイの水源にしてあるが、SBO・全交流電源喪失であるから、これらの用途の外部水源にならない。蒸気駆動ポンプはPCV・格納容器スプレイは行わないし、RPV・圧力容器への注水の外部水源で用いる。設計ではバッテリーの関係で8時間が蒸気駆動ポンプの稼働時間である。15時40分頃からSBO・全交流電源喪失であり、被水しているから短期間での電動ポンプの回復は困難である。従って、注水手段はFP・消火系であり、ろ過水タンク2基(800㎥×2)の外部水源になる。

 11日夕方頃、ろ過水タンクから消火系配管には複数の破断箇所があり、複数の消火栓から水が噴き出していたとの報告があった。(政府事故調、中間報告Ⅳ3(2)a脚注)それで吉田所長は(B)で「ろ過水の方がどうも水がなさそうだ」「ろ過水が入るのかもわからない」と述べている。

質問4
 11日17時頃には、海水を注水に使う、海を外部水源とする必要性は明白だと思う。SBO・全交流電源喪失で11日23時半頃にバッテーリが切れてから、注水手段は確保されたとして、12日の何時頃に海水注水が必要になると本店対策本部は評価していたのか。外部の淡水水源が最小量(地震破損でろ過水タンクは空、防火水槽も空)の場合は最も早い時刻で、最大量(ろ過水タンク2基で1600立方㍍、防火水槽が満水)の場合は最も遅い時刻になると考えるが、本店対策本部は12日の何時頃と評価していたのか。その場合にベントが必要になる時刻を、本店対策本部は12日の何時頃と評価していたのか。注水手段が確保されなかった場合にベントが必要となる時刻は、本店対策本部は12日の何時頃と評価していたのか。

質問5
また、1、2号機は16時36分に原子炉水位の監視ができないと報告が有り1、2号機はバッテリーも死んでいる、全電源喪失に陥っている事が示唆され、少なくともそれに近いことが判る。全電源喪失ならば、1号機はIC・非常用復水器は停止する、2号機はRCIC停止する、であるからメルトダウンに至る。手順書SPOに沿えば「PRV破損前のペデスタル初期注水」の早期実施と「格納容器の除熱操作」つまり格納容器スプレイ(散水)が求められるが検討したのか。11日の何時頃から格納容器スプレイ(散水)が必要になると評価したのか。そのスプレイや初期注水に海水が必要になるのではないか。外部の淡水水源が最小量(ろ過水タンクは空、防火水槽も空)の場合は最も早い時刻で、最大量(ろ過水タンク2基で1600立方㍍、防火水槽が満水)の場合は最も遅い時刻になると考えるが、本店対策本部は11日の何時頃と評価していたのか。注水手段が確保されなかった場合にベントが必要となる時刻は、本店対策本部は11日の何時頃と評価していたのか。

質問6
 そうした時刻までに、注水手段の資材の手配などと共に海を水源にする、海水を使用する社内的社会的合意を得ておかなければならない。「発電所対策本部では、津波被災後から原子炉の冷却のためには淡水、海水を問わずとにかく注水が必要であるとの認識を持っていました。」(課題と議論の整理、課題2のⅠ-2-①)とあるが、本店対策本部は原子炉の冷却のための注水には淡水、海水を問わないとの認識は有していたと思う。 社内手続き的には手順書では中央制御室の当直長は、海水注水は発電所対策本部に相談することとなっている。発電所対策本部の本部長の発電所長、吉田所長は、経営者の同意なしには判断はできないと思う。

 燃料が損傷していなくても海水注水の時点で廃炉が決定する。原子炉圧力容器に格納容器に海水注水すれば、燃料損傷、メルトダウンは避けられても廃炉になる。高額な資産の減損行為である。本店の本部長は代表権をもつ社長である。ただ発災時11日は小森常務が代行を務めていた。小森常務は代表権を持たない。本店対策本部は、何時までにその合意、経営陣の海水注水への合意を形あるものとし、発電所対策本部に伝達し決断がスムーズに下せるようにサポートする予定であったのか。

IC・非常用復水器の稼働経験 

課題別ディスカッションの課題と議論の整理の
課題2 海水注水等の重要事項の意思決定のⅢ-2-②では
「非常用復水器の機能の細部を理解する者は、ICの大気放出ベント管からどの程度の蒸気が噴出するのかについては、営業運転開始前の系統試験を見たことのある方から、伝えられて知らされていました。」とある。

「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」による吉田所長の聴取結果書が先日開示された。平成23年22日の聴取結果書の16頁には「IC・非常用復水器が平成3年頃、海水系の埋設配管漏洩、それで電源が塞がって、それに近いようなような事象があって、その時、ICを廻したと聞いている。記録からいうと、ICをそのときに動かした。」とある。

次の点を東京電力に問いだして、開示を求めて欲しい。
(A)この平成13年頃の事象の記録はあるのか。
(B)その記録を開示してほしい。
(C)この件は東京電力で継承されたのか?運転員はこの時のICの挙動は教えられているのか?

以上 2014年9月14日


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