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消防車注水の漏水・バイパス流・・東電の人たちは本当に技術者?? [原発 冷却注水の確保]

東電フクシマ核災害では、消防車による代替注水がおこなわれました。
 東京電力は「仮に、消防車による代替注水が全て炉心に注水されれば、核燃料は冠水し十分な冷却がなされることになったと考えます。」東電の事故解析では、消防車で原子炉に向けて送った水の1~4割程度しか原子炉に届いていないのです。大半が東電の解析では、経由するMUWC・復水補給(移送)系から、復水器や復水貯蔵タンクに大半がもれた、バイパスしたとしています。
 復水補給・MUWC系や消火用の送水機能(FP・消化系)を原子炉への注水にも使えるようにする配管や手順は2000~2002年に整備されています。消防車から消火配管に送水できる送水口、ビルの外壁に設置してある装置、をつけたは核災害発災の約半年前の2010年。
東電は「消防車による注水は想定していなかった。」としていますが、漏れた、バイパスしたのは2002年に整備された箇所ですから、消防車使用は漏水の原因ではありません。
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 東電は「バイパス流を防ぐ対策や消防車のような可搬型設備を活用して注水を行うといった安全対策まで考えが及びませんでした。」消防車はさておいて、漏水・バイパス流は2002(2000)年に整備した時点から有った問題です。実際に注水試験をしてみればすぐに判った問題です。

東電は実機の注水試験が必要との考えに至らなかった理由として
(0)原子炉注水方法として、非常用炉心冷却系(ECCS)は多重性・多様性を有していたこと、それに加え、アクシデントマネジメント対策として、復水移送(MUWC)系や消火(FP)系による代替注水を想定・整備

(1)バイパス流量はそれほど大きい流量ではないと考えていたこと

(2)復水補給(移送)MUWCポンプは流量が多く、漏洩など気にせずどんどん送り込めばよい

(3)原子炉代替注水時には原子炉水位や注水流量等のパラメータを計器によってバイパス流等により必要な流量が確保できない場合は、異常があると認識されるため、当該注水手段の異常要因(ポンプ・水源等の異常の有無、他系統への流れ込み等)の有無を確認し、要因の除去もしくは他の注水手段に移行することができると考えていたこと

「過信し、継続的なリスク低減の努力が不足した」復水補給・MUWC系やFP・消化系など「代替注水を使用することについて当時、真剣さが足りなかったというのが正直なところ」と東電は県技術委員会に答えています。

復水補給(移送)MUWCポンプは流量が多いから漏洩など気にせずどんどん送り込んでも、足りなかっただろう福島第一原発

 福島第一原発の2号機、3号機のMUWC・復水補給ポンプは1時間に68.2トン(㎥)を約0.69Mpaで送水できる能力のものが2台ついていました。発災時には1割程度しか消防車注水は原子炉に届いていません。この復水補給ポンプが無傷で動いても1台で1時間に7トン程度、2台がフル稼働でも14トン程度しか原子炉に送水できなかったといえます。約9割、120トン余りは横に廻って、バイパス流となってどこかへ行ってしまったでしょう。

ご参照  東京電力 「シビアアクシデント対策」疑問点への回答 補足説明資料 平成26年1月25日 http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/113/936/140125_siryou2.pdf

 2、3号機に必要だった原子炉注水量は、発災日の3月11日は1時間に約40トンで徐々に減っていって日付が変わる頃は約25トン、12日には徐々に減っていって23時ごろでは1時間に15トン程度と東電は推定しています。漏洩など気にせずどんどん送り込んでも、1時間に14トン程度しか送水できないのです。全く足りない。

 大半は漏水・バイパス流で横にそれていく。それがどれ位の量なのか、確かめもしないで「バイパス流量はそれほど大きい流量ではないと考えていた」のです。技術は実用性が第一義です。それが何の根拠もなく「考えていた」。東京電力の原子力発電関係の技術者は、ネジが2、3本抜けているのではないでしょうか。

高圧の原子炉に入るか?

 さてこの約14トンが原子炉に核燃料に届いたかも、不明です。私が東京電力にだした質問への回答で、「一般的に電動ポンプによる注水は注入先の原子炉圧力が低いほど注水量は増加します。従って,MUWCを用いて注水する場合には原子炉圧力を逃し安全弁により減圧する手順としており」返答くださいました。

(東電からの回答はこちら http://pub.ne.jp/hatakenotayori/?entry_id=5059748

 東電核災害時は、逃し安全弁の開操作に必要な直流電源、圧縮空気などが無い、不足でした。減圧する手順は踏めません。消防車の注水が安定的行えるようになったのは、熔融核燃料が原子炉圧力容器を突き抜けて、メルトスルーした後になって圧力容器の高圧が抜けてからです。

 MUWC・復水補給ポンプが全力で水を送り出し、その9割が横に漏れて、1割の約14トンが原子炉までやってきた。しかし圧力容器の圧力が高くて入れない、核燃料には届かない。約0.69Mpa以下に下がるまで入らないのです。そして「注水は注入先の原子炉圧力が低いほど注水量は増加」するのですから、約14トンが丸々原子炉の核燃料に届くには、原子炉圧力がどれ位まで下がってからでしょうか。

石橋を叩いて渡る慎重な緊急手順は作れないのか

 原子炉への緊急注水は設計設備では、原子炉圧が1Mpa・約10気圧以上の場合はRCICが主役です。10気圧以下では低圧炉心スプレイ系(LPCS)や低圧注水系(LPCI)などです。運用手順は1Mpa程度に原子炉の圧力が下がった時点で、低圧系も立ち上げ、RCICと並行して注水をします。

 そして、RCICで炉注水を確保しておいて、原子炉水位や注水流量等のパラメータを計器によって調べ、異常、例えばポンプ・水源等の異常の有無、他系統への流れ込み、バイパス流等の有無を確認します。異常が認めたら、要因の除去もしくは他の注水手段に移行することになっています。RCICで炉注水は確保されているので、そうした余裕のある手順です。

 これらが使えない場合の代替注水の手段では、東電福島第一原発2、3号機は原子炉圧が0.98Mpaから注水可能な手段が準備され、事故時手順書では0.69MPaから使用とされています。柏崎刈羽原発では、同じ種類の装置が注水可能になる原子炉圧は0.75Mpaで事故時手順書では0.49MPaから使用とされています。柏崎刈羽原発は1Mpa・10気圧以下で注水可能な代替注水設備がない炉圧域が1.0~0.75Mpaと福島第一原発の10倍以上もあります。

 このようにRCICと低圧の代替注水手段が、並行して注水する原子炉圧帯が、もともとありません。
つまり、RCICで炉注水は確保しておいて、代替注水系が使えるか、特に復水補給(移送)MUWC系が使えるか調べることができないのです。原子炉水位や注水流量等のパラメータを計器によって調べ、異常の有無を確認し、直す余裕、手順が、元々ないのです。調べてOKとわかってから使う慎重な手順ではない。一か八かの一発勝負が代替注水手段運用の手順にはあります。

 それなのに「(3)原子炉代替注水時には原子炉水位や注水流量等のパラメータを計器によってバイパス流等により必要な流量が確保できない場合は、異常があると認識されるため、当該注水手段の異常要因(ポンプ・水源等の異常の有無、他系統への流れ込み等)の有無を確認し、要因の除去もしくは他の注水手段に移行することができると考えていたこと」とは・・、「真剣さが足りなかった」と今頃言われても。

 東京電力は「なお原子炉圧力が 1MPa以下であっても、(原子炉隔離時冷却系・RCICで)注水できないわけではなく、定格流量以下にはなるが注水することは可能である。 」としています。そりゃ「可能」でしょう。しかし、その注水可能量が原子炉の冷却に必要な量に十分か否か問題です。「真剣さが足りなかった」と反省しているのです。新潟では真剣に気持ちで取り組んで、「可能である」などといい加減なことでは、0.9MPa時は何トン注水可能とデータで示していただきたい。

 その一方、東電回答書では「MUWCを用いる場合には原子炉圧力は 0.49MPa[gage]以下としています。ただし,実際は逃し安全弁を『開』操作して下げられるまで下げ,注水量を確保することとしています。」これは、「原子炉圧力が 1MPa以下であっても、(原子炉隔離時冷却系・RCICで)注水できないわけではなく、定格流量以下にはなるが注水することは可能である。 」あるが、それで注水量が不足でも、逃し安全弁を開けて、一気に原子炉圧を下げて、MUWC・復水補給系で大量注水すると読めます。

 しかし東電フクシマ核災害では、逃し安全弁を『開』操作できませんでした。様々な対策を採っていますが、それでもなお開操作できなくなった場合に備えておく必要があります。

注水模擬試験

 まず、原子炉圧が0.75Mpaと0.49MPaの2条件で、MUWC(復水移送)系とFP(消火)系、消防車で原子炉にどれ位の注水できるのか、6号機、7号機の実機の注水試験を行って、漏洩・バイパス流の有無や注水量を実際に確かめておく必要があります。

 東京電力は「柏崎刈羽原子力発電所では、まずは復水移送系にて、バイパス流など系外への流出が生じないことを確認しております。今後、消防車による原子炉代替注水について注水模擬試験にて確認する予定です。」その復水補給(移送)系の結果資料を見ると、原子炉圧力の設定がありません。

 仮に大気圧・1気圧・0.1Mpaでやったのなら、意義が小さいと思います。実際には0.75Mpaや0.49Mpaと7倍から5倍の水圧がかかるのですから、漏れ出す箇所が顕れることが十分にあり得ます。

 また、消防車の注水では、原発で火事がおきて、火災への消防水送水と原子炉への注水が同時に求められる場合、複合災害を想定した実験も必要だと思います。

 東電は今後に注水模擬試験を予定しているとしています。その実験で、こうした条件を設定して行うことを東電に求めてください。その試験結果を技術委員会で検討してください。

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