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東電回答から・・柏崎刈羽6、7号機は福島第一3号機より長時間の全交流電源喪失・SBOにもろい?? [原発 冷却注水の確保]

東京電力から9月に出した問合せに回答がありました。それを見ると柏崎刈羽原発の6、7号機は福島第一原発の3、2号機よりも安全性が低いこととなり、唖然としました。ご存知のように柏崎刈羽原発の6、7号機を東電は再稼動を狙っています。しかし、今も放射能を撒き散らしている福島第一原発よりもイザという時の安全性が低いのです。原子炉へ緊急に注水が設計設備で必要量確保されていない範囲、原子炉圧の範囲が大きいのです。それを放置したままです。



東電福島第一原発は3.11の地震と津波で、外部からの交流電力の送電と非常用発電機を失ってしまいました。これを全交流電源喪失・ステーションブラックアウト・SBOといいますが、1、2号機は原子炉・原発の状態を知るための計測機器や弁を開閉するための直流電源・蓄電池も津波を被って失っています。3号機は直流電源が制御系が生き残ったのです。ですから、3号機は一番、メルトダウンやシビアアクシデント・過酷事故を避け得たのです。しかし原子炉への注水が途絶え、核燃料の溶融と原子炉圧力容器から漏出(メルトスルー)し、水素ガスが大量発生し水素爆発して放射能を出し続けています。

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全交流電源喪失・SBO時には、冷温停止できるのか?東電は福島第一3号機では失敗しているが、柏崎刈羽6、7号機ではできるようにしたのか?
 事故対策で柏崎刈羽原発は直流電源など制御系を補強・強化しています。ですから、事故時には福島第一の1、2号機ではなく3号機の状況に近くなると思います。そして、東京電力は外部電源が無くても3台ある非常用発電機のうち1台でも発電すれば、約1時間半で収束できる、原子炉を100℃以下の冷温停止にもっていけると豪語しています。中越沖地震の原発影響の検証、新潟県の技術委員会の検討会で、2007年に説明しています。
 非常用発電機も止まる全交流電源喪失・SBO時には、冷温停止できるのか?東電は福島第一3号機では失敗しているが、柏崎刈羽6、7号機ではできるようにしたのか?できるなら時間はどれ位、約1時間半?そうしたことを知りたいわけです。

運転時の原子炉給水
 東京電力の原発は沸騰水型というタイプです。原子炉で核分裂などで発生した熱で、水を沸かしその高温(約290℃)高圧(約70気圧)の水蒸気で蒸気タービンを廻す。その蒸気タービンで作られた回転力で発電機を廻して発電する。一方原子炉からの高温高圧の水蒸気は、エネルギーを約三分の一失って圧力や温度は下がるけれど依然水蒸気です。それも放射能の混じった水蒸気です。それを復水器という装置で水にします。水は水蒸気発生で水がなくなっていく原子炉へ戻す。
 復水器の構造は瞬間湯沸かし器や車の水冷ラジエターと同じです。復水器では海から電動の循環水ポンプで取り込んだ冷たい海水が通った管の間を蒸気タービンを経た水蒸気が通ります。瞬間湯沸かし器ではつめたい水道水を通した管の間を高温の燃焼ガスを通してお湯にしますが、復水器は名の通り高温の水蒸気を水に戻す、凝縮します。これを復水といいます。凝縮で体積がグュグッと減ります。
 さらに蒸気式空気抽出系(SJAE)という装置で水素ガスなどを抜き出します。この水素ガスは、放射線で炉水が分解されて生じたものです。柏崎刈羽6、7号機では復水器では大気圧・1気圧より低くなります。取り込む海水は発電容量100万kWに対し原子力発電(BWR)で70立方メートル程度。火力発電で毎秒40立方メートル程度ですから、原発の効率の悪さがよくわかります。
 この凝縮の復水が復水器の下部に溜まります。それを低圧復水ポンプでくみ出し、高圧復水ポンプポンプ、給水ポンプとへて原子炉へ戻し給水します。この間に190~225℃程度まで加熱加温します。お湯を入れて熱くなったコップに冷水を注いだら割れます。これと同じで、水温が違いすぎると原子炉が傷むのでそれを避けるためです。
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通常の停止手順
 原子炉を止める時は制御棒の挿入、再循環ポンプの流量の減少で核分裂反応を減少していきます。当然、水蒸気の発生量が減りますが原子炉からの発電タービンへの搬出量を加減して、圧力は保ちます。発電タービンの出力が落ちていきます。運転時の定格出力の約10%程度で発電タービンを止めます。(電力の送電の系統から外すので解列といいます。)原子炉で発生する水蒸気は、復水器に直接にいくようにします。タービンバイパス弁を開けて送り込みます。
 発電タービン、発電機を止めた後に原子炉の核分裂を完全に停止させて「未臨界」にし「高温停止」状態にします。その後も崩壊熱が出続けるので蒸気発生が続きます。この水蒸気を復水器にタービンバイパス弁を開けて送り込み続け、水に戻し給水を続けます。水素ガスなどを抜き出す蒸気式空気抽出系(SJAE)には、補助ボイラーで蒸気を供給します。
減圧と炉温度の低下
 原子炉の温度を下げるには原子炉の圧力を下げます。原子炉の圧力を下げる減圧すると、冷却水の沸点が下がります。運転時の約70気圧・7MPaメガパスカルから約30気圧・3MPaまで減圧すると沸点は約290℃から約235℃まで下がります。冷却水が最高でもその温度になりますから、水温が炉心の温度が下がります。そのためにはドンドン復水器に水蒸気を送ります。最終的に大気圧まで減圧すると100℃です。
 運転時の約70気圧・7MPaメガパスカルから2時間かけて約30気圧・3MPaまで下げるとします。その間にはその2時間に崩壊熱で発生する水蒸気と減圧沸騰で発生する蒸気がでます。約290℃水の持っている熱量は3MPaメガパスカルの沸点約235℃水の熱量よりも25%も大きいので、この余分な熱で冷却水が約14%沸騰します。これらの水蒸気を復水器に送ります。電動の循環水ポンプで取り込んだ冷たい海水が通った管の間を水蒸気を通し、水に凝縮させて、その水を電動の低圧復水ポンプでくみ出し、高圧復水ポンプポンプ、給水ポンプと加圧して原子炉へ戻して、水面が核燃料の上に常にあるように水位を保ちます。
 このように補助ボイラーと電動ポンプ4台で減圧と給水を行います。この電動ポンプの電力は、原子炉の発電機は止っていますから、他の発電所から送電、外部電源に頼ります。このようにして約1MPaメガパスカル・約10気圧まで下げます。下がるにつれて炉に給水しているポンプをとめ最終的には低圧復水ポンプ1台にします。
 原子炉圧力が0.93MPa以下で残留熱除去系(RHR)を立ち上げウォーミングアップを行いいます。0.75MPa・約173℃で残留熱除去系(RHR)を使います。原子炉-残留熱除去系熱交換器-原子炉と炉水を循環する停止時冷却モードで運転を行います。残留熱除去系熱交換器には海水で冷された真水が送られていて、その原子炉の炉水が冷やされます。直接的な冷却、崩壊熱の除去を開始します。減圧を続行し、まだ発生する水蒸気は復水器に送ります。原子炉圧力が大気圧に、冷却水温度が100℃未満になると「冷温停止」です。 
 原子炉が大気圧で水温度80℃以下までは復水器も使います。その後原子炉系と切り離し、残留熱除去系(RHR)停止時冷却モードで崩壊熱の除去を継続します。
参照 ATOMICA BWRの起動・停止方法 (02-02-03-01)

さて地震時は次のようになります。(続く)

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