SSブログ

放射線はなぜ生じる ウラン236を糸口に① [放射能検査、空間、全般]

天然ウランにはないウラン236

回収ウランには天然ウランには無いウラン236が0.3~0.4%くらい含まれています。ウラン236は回収ウランで核燃料を作ろうとすると、「炉心に装荷した場合に炉心の反応度を低下させる」ATOMICA「中性子吸収して反応度損失を発生する」原燃ため問題となっています。

核燃料中のウラン235は秒速2.2km位の熱中性子(エネルギー0.025eV)が当る、照射されると、それを吸収しそのエネルギーで不安定・励起され、中性子が1個増えたウラン236の複合核になります。この不安定な複合核のウラン236は約85%の確率で約千兆分の1秒以内に核分裂を起こし、約15%の確率で約千万分の1秒後にγ線で余分なエネルギーを出してウラン236で安定化します。これを中性子捕獲といいます。ウラン236は崩壊してしまうですが、半減期は約 2340万年ですから安定化したと記しました。

ウラン235の核分裂でエネルギー、セシウム137のような核分裂生成物と平均2.4個の中性子がでます。この中性子は平均で秒速2万 km(約2MeV)の高速中性子です。これが核分裂をしないウラン238に当ると、プルトニウム239に変ります。このプルトニウム239に速度の遅い熱中性子(秒速2.2km)が当ると約73%の確率で核分裂を起こし約27%の確率でプルトニウム240に変ります。このプルトニウム240がα線を出して崩壊(半減期6561年)するとウラン236ができます。

このように生成したウラン236は使用済核燃料に0.3~0.4%くらい含まれています。再処理で他の核分裂生成物は、化学的性質の違いから取り除きますが、ウラン236は除けません。この0.3~0.4%くらいのウラン236は回収ウランで核燃料を作ろうとすると、「炉心に装荷した場合に中性子吸収して炉心の(核分裂)反応度を低下させる」ため問題となっています。

中性子吸収って?

核分裂は、ウラン235の原子に秒速2.2km位の熱中性子をぶつけて起こします。このように原子に中性子が当ると、中性子が1個が出てくる場合、1個も中性子が出てこないで吸い込まれてしまう場合と吸い込まれてから間をおいて2個以上の中性子が出てくる場合があります。2個以上の中性子が出てくる場合が核分裂で、ウラン235では平均2.4個、その内の1個が新たに核分裂を起こせば核分裂が続く連鎖反応になります。ウラン235の例でもわかるように、各々の反応をある確率で元素は返します。

1366583675.jpg原子は真ん中に中性子と陽子からなる原子核があり、周りを太陽を囲んで回る惑星のように様に電子が回っている構造と習いました。特に軽い原子を除くと、原子の大きさはほぼ一定で半径2×1億分の1cm。中心にある電気的にプラスの原子核の大きさは、その10万分の1(10兆分の1cm)の単位のfm(フェムト・メーター)であらわす大きさです。

原子核をつくる電気的にプラスの陽子と中性の中性子の核子の大きさは約1fm(フェムト・メーター)。水素Hの原子核は陽子一個、酸素Oは陽子8個と中性子8個できていていますから原子核の大きさは違います。
電子一個に陽子も一個で電気的に釣り合い、原子は電気的中性になります。陽子の数=電子の数とその軌道が化学的性質を決めています。

太陽と地球など惑星を結んでいるのは万有引力(重力)ですが、原子では中心の原子核と10万倍も離れた電子を結んでいるのは原子核の陽子が電気的にプラス、周りの電子がマイナスの電荷で電気的に引き合う力です。原子核では電気的にはプラスの陽子同士ではお互いに反発・排斥する力が働きます。それを弱めるように間に電気的に中性の中性子が入っているのですが、10万倍も離れた電子をひきつけておく力が中性子1個の約1fm(フェムト・メーター、10兆分の1cm)の距離でそんなに弱まりません。陽子・中性子の核子を結び付けている何らかの力、核力が働いていると考えられました。

その核力は、何か?湯川秀樹博士は、電子と核子の中間の大きさ・質量のパイ中間子を核子同士でやり取りすることで生じている力だと理論的に考察しました。それは後に宇宙線の観測と実験で実証され、湯川博士は日本で始めてノーベル賞を受賞しました。

原子核はイルミネーション状態

マイナスの電荷のパイ中間子を中性子から陽子に与える(与えた中性子は陽子に、もらった陽子は中性子に変る)、
プラスの電荷のパイ中間子を陽子から中性子に与える(与えた陽子は中性子に、もらった中性子は陽子に変る)、
中性子同士は電荷をもたない中間子をやり取りするという3つのパターンが間をおかずほぼ同時に二つ行われ核力が生まれます。原子核の模型では陽子は赤玉、中性子は白玉で表されて模型ですから固定していますが、実際にはそれが目まぐるしく入れ替わっている、クリスマスの飾りのように入れ替わっているイメージです。

1366579210.gif
この図はここからお借りしました


核力は短い距離、約10兆分の2cmでは陽子同士でお互いに排斥する斥力より約10倍強い引力です。その距離は、原子核内の核子(陽子・中性子)間の平均の距離に相当します。それで陽子同士が離反して、つまり核が壊れるのを押さえ込んでいます。この平均の距離の約2倍を超えると排斥する斥力より小さくなります。逆に、核子同志が 極端に近づくと(0.4~0.5fm 以下) 強い斥力 (反発力) がでてきます。

1366580550.jpg
クリックで拡大

原子核外からの力・エネルギーが加わり、核子の運動が大きくなって離れる、極端に近づいて壊れるなど外力破壊が考えられます。原発は原子炉でウラン原子核を中性子で壊してエネルギーを得ています。また、陽子が偏ってしまう、例えば数個が集まった状態になれば斥力が核力より大きくなって壊れるなどの内部崩壊が考えられます。

1万種中の252種

現在、理論的には陽子と中性子の数のさまざまな組み合わせにより約1万種類の原子核がありえます。このうち、我々人類が、自らは壊れない無限に安定した原子核で発見しているのは252、無限に近いものをあわせて約300・3%です。これまでに人類は約3000種の原子核を発見・合成していますが、自らは壊れない安定した原子核(安定核)は252種で陽子が82個以下で、陽子と中性子がほぼ同数です。ほとんどは、自ら壊れてしまう不安定な原子核(不安定核)です。

1366581478.jpg

クリックで拡大 この図はここからお借りしました


この核物理的には極少数派の安定核=元素が様々に化学結合して多種の物質を創り、その物質界から極少種の生きる物で生物界が生まれました。安定核は陽子が82個以下、陽子と中性子がほぼ同数です。酸素は陽子8個と中性子8、9、10個の3種の安定核、中性子が多い10種、少ない4種の不安定核は放射線を出しフッ素か窒素に壊変します。不安定核の酸素では化学的にも不安定で、その上に建つ生命活動も不安定化します。出す放射線のエネルギーは数百万eV(メガ・M)もあり、化学反応に関わるエネルギー(ほぼ数eV)の100万倍以上もあるため多数の化学結合を壊します。

不安定核の壊れ方は次々と別の不安定核に変身(壊変)して安定核になるまで壊変を続ける、壊変の際に余分なエネルギーや核子を出す=放射線をだす崩壊と、分裂してしまう核分裂です。できた分裂核は大概は別の不安定核なので崩壊の過程に入ります。安定核は陽子と中性子がほぼ同数、数比は1~1.5です。不安定核は、陽子や中性子の数が偏っています。原子炉内で中性子を吸収し増えると不安定化、放射能化します。 
 続く




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0