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核防災に安定ヨウ素剤を自主配布・備蓄した長岡市民は法律違反? [防災ー発災直後、ヨウ素剤、短期避難・退避]

核災害時の防災、11月30日に原子力規制委員会が検討会合を開き、原発で重大事故が起きた時にどの段階で避難し、内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を服用するかについて、原発立地自治体に地域防災計画づくりの目安としてもらうための試算結果を公表してます。原発五キロ圏内では大量の放射性物質が放出される前に避難することが重要で、同圏外の地域では屋内退避や避難、放出前のヨウ素剤服用を組み合わせることで十分な被ばく防止効果がある、との内容。放出される十二時間ほど前にヨウ素剤を飲めば、放射性ヨウ素による甲状腺被ばくは数十分の一~百分の一に抑えられるとの試算結果でした。

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甲状腺被ばくを防ぐための安定ヨウ素剤を服用は、緊急被ばく医療について検討会(規制委の中村佳代子委員が委員長)でもとりあげられてます。ヨウ素剤の具体的な配布基準や服用方策については、12月3日の検討会でとりあげられました。

緊急被ばく医療について検討会の資料等はこちら、2回目。動画ではヨウ素剤討議は41分頃から

「ここはヨウ素剤が必要、ここはヨウ素剤が必要ないと、ここの町だけ「じゃあ配布しましょう」と言ったらですね、隣町のお子さんを持ったお母さんたちは必ず何とかして入手をしようとすると思うんですね。そのぐらい今、国の側には信頼がないという前提で、これから物事を考えていく必要があるというふうに私は思います。」山口芳裕委員(杏林大学)

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国を信用できないから、長岡市の自主防災会が住民組織としてできる備えを早急に行おうと、11月18日、安定ヨウ素剤を希望する約40世帯に配布してます。
21日に規制委は田中委員長が「安定ヨウ素剤は劇薬指定されており、アレルギー反応や副作用が起こると問題だ」「急いで配る状況ではなく、待ってほしい」と委員長が呼びかけ、ストップをかけました。しかし、具体的な実効性がある配布基準や服用方策が決まらなければ自主調達、備蓄の動きは止まりません。

緊急被ばく医療検討会の中村委員長。中村委員は、安定ヨウ素剤の服用について次のような意見でした。


「安定ヨウ素剤という薬、あるいは錠剤を飲む事によって、甲状腺の内部被爆を抑える効果がある。」
「ある意味では一過性の不安がなくなるという事も見逃せない事実であります。乳幼児はですね、自分で飲むことはできませんから、必ずそこについている親の問題になります。ですからこれは、親のリスクとか乳幼児のリスクではなくて、親の安心感に関わってくるものですので、この事だけはやはり、この救急医療ではないですけれども、組み込んで考えていかなければならない事だと思っています。」
「この安定ヨウ素剤については防災だけでなく住民の方々の安心感にもつながります。非常に早急な結論が求められています。」

このように不安といった心理面を重視しています。この第2回会合には、「災害時、特に原子力災害時、また、その後の長期にわたり、被災者の不安を取り除くにはどのような対策が必要であるか等について」という中村委員と金 吉晴氏(国立精神・神経医療研究センター、災害時こころの情報支援センターセンター長)との意見交換の要旨が資料として用意されていました。

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田中・規制委・委員長は「安定ヨウ素剤は劇薬指定されており、アレルギー反応や副作用が起こると問題だ」としていますが、12月3日の会合での論議は如何に?

中村委員「安定ヨウ素剤として使用されているヨウ化カリウム(KI)というものですけれども、これは添付文書に、禁忌とか慎重投与とか併用注意とか副作用とか高齢者への投与とか、妊産婦、授乳婦への注意とかいろんな注意書きがしております。
で、しかも劇薬指定医薬品となっています。こういったお薬を医療関係者の指示無くして管理する、あるいは服用することの危険性を教えていただけますか?」

「大規模に安定ヨウ素剤を防災で使ったというのはチェルノブイリ事故の後のポーランドの経験があります。
1000万人の子どもに投与した。それから、700万人の大人に投与したという事例があって、それの報告書が出されています。それによりますと、小児に関しては副作用は、アレルギー症状としての副作用はあまりみられていないと。大人も、元々ヨウ素アレルギーあって喘息ある人が緊急搬送された、5000に2人が喘息発作と報告。また、新生児の場合は、過剰投与になったケースで、一過性の甲状腺機能低下症が現れたものの、タイミングや服薬量が適切であれば、必ずしも、常に医師の判断がなければならないというわけでない。」(鈴木元委員 医療福祉大学教授)

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このポーランドでの経験から、WHOは子供に対しては甲状腺被爆が10mSvで服用で副作用・デメリットと被爆低減・発癌低減のメリットが釣り合うという見解になり、予防服用基準を小児甲状腺の等価線量で10mSvを勧告しています。IAEAは50mSvですから五分の一です。

「日本で売られているそのヨウ化カリ丸というお薬は、錠が50mgという量で、そこの中に含まれるヨウ素の量とすると42mgぐらいですかね、になります。
この量は実は、KI(ヨウ化カリウム)というものは劇薬なんですけれども、1錠あたり0.35g以下、350mg以下のものは劇薬指定から外れています。ですから、今日本で市販されている、このヨウ化カリ丸というお薬に関しては医者の処方箋なしで使えるお薬というふうに分類されております。」「この薬は処方箋がなくても使える薬です、日本には零売(ぜろばい)というのがあり、売っていただける」(横山邦彦副委員長、公立松任石川中央病院)

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医薬には、処方箋医薬品(旧・要指示医薬品)という薬事法第49条の規定により、医師等からの処方箋交付を受けた者以外に対しては正当な理由なく販売または授与してはならないとして厚生労働大臣が指定した医薬品と経口投与のビタミン剤や漢方薬など処方箋なしでもOKの薬があります。処方箋なしでOKの薬を容器から取り出して顧客の必要量だけ販売することを零売(ぜろばい)や分割販売といいます。

それで長岡市の自主防災会は合法的に入手できたし、服用量(7 から13歳までは丸薬1丸、13歳以上は2丸)を希望する世帯に配布できました。田中規制委委員長の「安定ヨウ素剤は劇薬指定されており、アレルギー反応や副作用が起こると問題だ」というのは、住民が自主的に入手・備蓄することを止める現実的理由にはなりません。

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この点は、12/3に欠席した明石真言委員(放射線医学総合研究所)は違う意見と思います。
「医薬品ということで、薬局や薬剤師による管理を必要とする薬剤であるということが、現在の法律では位置づけられています。それから、医師や歯科医師もしくは獣医師、または病院などの施設の開設者以外は保管することができません。」
「基本的には処方箋で投与するものであるという、日本の法律的にはこういう位置づけをされている」と平成19年度緊急被ばく医療全国拡大フォーラムで講演しています。

ヨウ化カリ丸は処方箋投与というのは法律的には正確ではありません。保管に関しては、明石委員の考えなら自宅に自分や家族が服用する医者から処方された医薬を保管することも薬事法違反になるのでしょう。それでは、医者にかかれません。安定ヨウ素剤・ヨウ化カリ丸について重箱の隅を突くような、反対のための論議だと思います。

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