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電気料金値上げの前に東北電力がやるべきこと [電気料金制度・稼働率]

東北電力が電気代の値上げの申請するそうです。その一方、「燃料費調整制度」で来年1月分の電気料金が下がる、8銭/kWh下がり30A契約、使用電力量280kWhの平均的なモデルで12月に比べ1月は22円下がるそうです。液化天然ガス(LNG)の輸入価格が下落、1トン当たり3683円約5%下がったためで石油を使う割合が高い北海道電力など4社は原油価格の上昇から逆に値上げです。

 そのLNG、東北電力は高く買っています。自民党の河野太郎氏が専門家の作成したデータから、電力会社毎のLNGの2007から2011年の5年間の平均調達価格を算出。それでは東北電力は日本全体のLNG輸入価格の平均の約8%高く、電力会社で最も安く買っている中国電力の約25%高く、1トン当たり1万1816円高く買っています。河野太郎氏プログ
中国電力は、11月27日「現時点で値上げは検討してない」島根原発再稼動の目処はなく燃料費がかさむが「中国地方の経済状況を考え、値上げではなく、まずは事業の効率化を優先させるなど企業努力によって収益を改善させたい」と表明しています。 中国電力
しかし、東北電力は原子力の再稼働時期が見通せないことを値上げ申請の理由の一つにしています。女川原発は津波地震被害で当分は無理です。青森県の東通原発は、地盤、活断層問題があります。

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発電所主要設備の2キロ南にある「F-3断層」が敷地を南北に貫き、敷地の南側には複数の小さな断層があります。一部には活断層を疑わせる上層の新しい年代の地層でずれが見つかっています。原子炉建屋直下にも小規模な断層が確認されています。東北電力は、岩盤中の粘土が地下水で水を吸収して膨らむ膨潤(ぼうじゅん)作用よってできたもので、断層活動によるものではないと主張しています。

原子力規制委員会の活断層かどうかを調べる調査チームの東京大の佐藤比呂志教授は「世界中の断層調査でも、膨潤を主な原因にしたのは聞いたことがない。横ずれ断層に特徴的な構造もある」、粟田泰夫産業技術総合研究所主任研究員も「東北電の解釈は、世界的にもまれ」と指摘。東北電力は29日、追加調査の状況を原子力規制委員会に報告し、粘土膨潤説は「(日本では東北電力以外には)確かに報告はない。なぜ東通にあるのか、理由を説明するのは難しい」と述べています。規制委は12月13、14日に現地調査し、最終報告は来年3月予定。

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活断層と認められる、疑いがあれば、既存の発電設備の大規模な耐震補強だけでなく東北電力が東通原発再稼動に向けて計画・着工している防潮堤、フィルター付格納容器ベント設備や免震重要棟なども耐震補強が必要になります。こうした耐震強化費用が浜岡原発の1、2号機では約3000億円と膨大で経済採算がとれないという理由で、中部電力は2009年1月30日に廃炉にしています。
さらに規制委で新たな基準を策定中であり、それらに適合し危険性を低くするための補強の設備投資も必要になります。再稼動への投資、調達資金規模は、現在の見積りより増えることはあっても減ることはありません。

 東北電力は「事業運営に必要な資金調達が滞るなど、お客さまへの安定した電気の供給に支障をきたすような事態が想定される場合には、料金改定を検討」と値上げの必要性を言っています。この原発再稼動への投資が「事業運営に必要な資金調達が滞るなど、お客さまへの安定した電気の供給に支障をきたすような事態」を招きよせているのではないでしょうか。

これ以上の資金繰り悪化・不足を避けるために「世界的にもまれ」な粘土膨潤作用説、東北電力でさえ「なぜ東通にあるのか、理由を説明するのは難しい」膨潤説を主張しているなら非道です。東通原発のUPZ、予め避難計画立案など事前に避難を準備する緊急時防護措置準備区域の目安距離30km圏内の市町村人口約10万6千人。むつ市など東通原発の傍を通らないと青森市に行けない約8万6千人が居住。30km圏内には再処理工場。事故が起きたら東北電力は責任が取れる?
東北電力は、再稼動準備より先ず中国電力並みの価格でLNG調達する努力ではないでしょうか。

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こうした住民軽視?は、規制委にも見られます。事前に避難を準備するUPZは周辺自治体(21道府県135市町村)が策定します。その参考に原子力規制委員会が放射能の拡散予想を公表しています。これ、かなり矮小化されたものだと、毎日新聞柏崎通信部の高木記者が11月26日の東京夕刊で報じました。以下抜粋。

◇「風吹く回数により試算値無視」

「放射性物質の影響は(予測地図より)もっと遠くに及ぶ恐れがあります」。そう指摘するのは滋賀県琵琶湖環境科学研究センター環境監視部門長の山中直さん。滋賀県が美浜など4原発の放射性物質拡散を予測した際、データをまとめた研究者だ。どういうことか。「規制委の試算方法だと、年間に風が吹く回数の少ない方向で100mSvミリシーベルト地点が原発に近く見えたり、地図から消えたりしているのです」

例えば、事故の影響が全国最大とされた新潟県の柏崎刈羽原発。最も遠い100mSv地点は「東方向に40・2キロ(長岡市内)」だった。その決め方はこうだ--。

同原発で昨年、東向きの風が吹いたのは1年8760回(24時間×365日)のうち約960回。その全回で0・2~99・9キロ間の20地点の累積線量を試算。その際、高い方から数えて1~261位の試算値は「極端な気象条件による」として無視した。各地点の262位の値を調べ、累積線量が100mSvになる地点が40・2キロだった。

一方、100mSv地点が原発から「8・7キロ(柏崎市内)」の北東方向の場合、風が吹いたのは年間約300回。従って1地点につき300通りの試算値が存在する。やはり上位261の数値を省き、262位が100mSvとなる地点を選び出した。
ここにカラクリがある。総数960の262位は全体の中間より上だが、総数300の中の262位は下から約1割の低さ。この方法を用いる限り、風の吹く回数が少なければ少ないほど高い試算値が無視される割合が大きくなる。261回以下だと全ての試算値が無視される。事実、年間180回しか風の吹かない大飯原発(福井県)の東南東方向は100mSv地点が地図上にないのだ。

このデータ処理法は旧原子力安全委員会の指針に記されており、無視の対象は試算値の上位3%。今回は8760×0・03=約261とした(試算対象の方角に風が吹かない時刻は線量ゼロとみなすが、形式上の計算回数は1地点につき8760回のまま)。

「風の回数が少なければ放射性物質が遠くまで飛ばないというわけではない。少ない方向で防災計画が不要との印象を与えるのは問題です」。山中さんはそう語る。

試算値1~261位は非公表だが、1位を用いた場合の100mSv地点の距離は、予測地図に付随する資料の中にごく小さく「すそ値」として記されている。しかも16方位中1方位のみだ。柏崎刈羽原発の東方向は88・1キロ。地図に示された40・2キロ地点の2倍以上の距離。

東1キロで累積被ばく量は約7万mSvと致死量に達する。4キロでも約1万mSvだ。前述のように年間262位の値なのにだ。5キロ圏内には柏崎市、刈羽村の計約1万6500人が住む。村の担当者は「これだけ高いと外部から(救援に)来られるのか疑問。村内で相談するが年間1位の値や、季節ごとのデータも知りたい」と訴える。

16方位で261の試算値を除くと合計約4000、全体の半分弱を無視することになる。規制委の事務局・原子力規制庁は「いろいろな価値観があると思うが、今回は旧原子力安全委の指針に従った」と説明するが、大気の拡散予測などを手がける民間研究機関「環境総合研究所」(東京都品川区)顧問の青山貞一さんは「極端な値だけを除いたとは言えず、高濃度の試算値を意図的に切り捨てたとしか思えない」と批判する。

 他にも疑問がある。

 一つの発生源から出た放射性物質は風に乗って扇形に広がるが、その濃度は扇の中心線上で高く、端では低くなるのが普通だ。ところが規制委は中心も端も同じとみなし、平均濃度で試算した。「中心の線量を高く計算するのは保守的(安全重視)過ぎる」との理由だが、「平均を使うことで、本来より低い値で試算している」と青山さん。規制庁自体、中心線の放射線量は「試算に使った平均値より3~4割高い」と認める。こちらで計算すれば100ミリシーベルト圏はさらに広がったはずだ。

 以上抜粋 毎日新聞記事

5km圏、被爆による急性の確定的障害をさけるためのPAZ・予防的措置範囲が、放射能が原子炉から出始めたら直ぐに逃げ出さないと被爆で即死してしまう区域、誰も助けに入れなくなる区域ということがわかります。それも上から数えて262番目の値ですから、もっと広く取らないと危ない。現在のEPZ(8~10km)位ではないでしょうか?

このように過小な試算を元に設定されたUPZの外に出れば被爆低減すると、規制委員会は説明しています。事故時に東向きの風が吹いて43km地点に脱出したとしても、263÷960、約30%の確率で100ミリシーベルト程度の被爆するので、再度逃げなければならない。

確かに規制委と価値観が違う。

規制委は形だけの原子力防災計画でも再稼動へ駒が進められ満足でしょうが、私らには最悪の事態を想定しない防災計画は有害無益、フクシマの二の舞はゴメンです。柏崎刈羽原発の30km圏内の人口は約80万9千人。福島第一は53万3千人でした。(平成22年国勢調査結果から)

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