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再稼動するなら・・こんな無能なセンスの無い経営陣で、東電や東北電力は大丈夫か? [電気料金制度・稼働率]

原発の使用をやめることにし、企業会計上で廃棄=廃炉処分すると、会計上の損失が日本全体で約4兆4千億円。会計上では、この損失を資本金や蓄えてある余剰金などの純資産で穴埋めしますが、約1兆5千億円不足。(経産省試算・6/18に報道)4兆とか1兆円、個人では想像できませんが、1990年代のバブル崩壊と不良債権処理に約46兆6千億円の公的資金を銀行などに投じていますから、その十分の一です。

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 会社別には、純資産で穴埋めし切れない「債務超過」になるのは、北海道電力(993億円不足)、東北電力(201億円)、東京電力(6221億円)、日本原電(993億円)。普通の企業なら債務超過になれば銀行からの融資も難しくなり、全く資金手当てができなくなり、資金繰り悪化して倒産に至ります。電気は毎日必ず売れて、毎月、売上=収入がありますから、1~2か月分の運転資金の手当てがつけば倒産しません。国などがその分の借り入れに保証をつけたりすれば済む話で、電気が止まることはありません。
債務超過に陥り会社再建となると、株主の出資金は棒引きで全額減損、金を貸している金融機関も貸した金額の一部や全部棒引きなどの損をします。日航再建では、株式は100%減資で紙切れになり、約7300億円あった借入金のうち約5200億円が債権放棄=棒引きされています。金融機関は電力会社の大株主でもあります。それで、金融機関などが、原発の廃炉に反対します。経営陣は、原発の使用を続ける、再稼動を経営方針に掲げることになります。

東京電力

新しい東電の会長、社長が来年4月からの「柏崎刈羽原発の再稼働(の総合特別事業計画)は新生東電を経営する上で根幹の一つだ」「事故発生直後に無担保で緊急融資してくれた金融機関の基本的な理解を頂ける内容でなければ、総合特別事業計画は計画たり得ない。進まない時には大変厳しい状況に陥る」と、経営の軸足が金融機関の意向尊重にあることがあきらかです。

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供給責任は眼中に無い

また仮に再稼動した場合でも長期的に原発をやめられないかという問いに「経営の立場になった場合、5-10年後の時間軸で原発に頼らないで安定供給を果たすことは考えにくい」。しかし、柏崎刈羽原発は、東電の総合特別事業計画の通りに7基全部フル稼働すると、約5年で停止します。

原発は13ヶ月毎に定期点検に入り、その際に、未使用の核分裂していない新燃料と一部取替えます。7基全部で230トンです。取り出された使用済み核燃料は、貯蔵用プールに入れて冷されます。柏崎刈羽の貯蔵プールの最大容量は2910トンで既に2210トン入っていますから、移せるのは700トン。ですから取替えは、3回しかできません。新たな貯蔵用プールが出来なければ約5年後には柏崎刈羽原発は定期点検後に新燃料を入れられず再稼動できなくなります。5-10年後の時間軸では、原発に頼らないで安定供給を果たす道を作っておくことが経営の立場です。こうした供給責任に目が行かない無能な経営陣だと思います。

東北電力

東北電力はどうでしょうか?この夏は節電で乗り切りれる。来年夏までには原町火力発電所(200万kw・福島県南相馬市)、水力の第2沼沢発電所(46万kw.福島県金山町)が復旧する。これで電力供給に余裕ができるはずですが、「(電力供給体制は)それでも脆弱(ぜいじゃく)。東通原発の再稼働をお願いしていく」(海輪社長)。
東通原発は110万kw.、原町火力より小さいのですから、電力の不足が再稼働の理由ではありません。

 「(青森県)東通原発はストレステストの中で緊急安全対策が確認できたら、再稼働の条件が整う。30項目の安全対策の具体的なスケジュールを公表することで、条件がさらに整うと思う。安全性を確保して再稼働に粘り強く取り組みたい。まずは東通原発を再稼働させてほしい」。しかし、東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)らが活断層の可能性が否定できないと指摘し、保安院が5/14に再調査を指示しています。原発の工学的安全すら確認できていません。

国際基準の5層防護がない

IAEAは安全基準で5層の防護を提言しています。1次ストレステストは、その内の3番目までの層の防護策を調べているだけ。過酷事故の悪化を防止する第4層防護の格納容器のベント・フィルターや免震重要棟などは未整備。放出拡散する放射能からの防護・避難計画など発電所の外の第5層の防護策も未整備。第5層目は政府や自治体の守備範囲で、電力会社だけではできない。「安全性を確保して再稼働」なら、まず、東電や東北電力は格納容器のベント・フィルターや免震重要棟などを整備し、その間に、第5層の防護策の整備を政府・自治体に働きかける事で信頼を得られると思います。

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東京電力福島第1原発事故後、初となる国の原子力総合防災訓練で、「地域住民の不安を増長する」という理由で、福島事故で起きた炉心溶融(メルトダウン)を除外するなどの訓練計画を立案していました。住民の安全よりも治安を優先する愚かさが「安全性の確保」を遠いものにしている。こうした国の施策に電力会社が抗議してこそ信頼が生まれると思います。

補償費の確保

また、核事故が起きた場合の補償費の手当てがされていません。事故が起きた際の被害を補償する義務が電力会社にはあります。炉心溶融(メルトダウン)の事故では、保険では不足、電力会社に巨大な補償の負債がかかります。債務超過になり、会社が倒産した場合、普通の会社なら土地などの資産を売却したお金から、税金など公租公課がまず取られ、残りを債権者、銀行や被害者、納入業者、労働者などが分け合います。ところが電力会社では、電力会社の社債、電力債に補償費などの債権より、優先して弁済される先取特権が電気事業法で与えられています。

東電核事故なら、東電を会社整理して送電施設、発電施設、営業権などの代価(簿価約15兆)から公租公課がまず取られ、次に電力債の約5兆円が取られ、残ったお金を銀行や銀行や被害者などが分け合うことになります。これでは補償が十分にできない事を、東電を倒産させなかった理由の一つにしています。
東北電力の総資産額は簿価約4兆、電力債の約1.1兆円です。ですから、補償費に社債よりも強い先取特権を与える法的整備が求められると思います。

使用済み核燃料

また、再稼動をするなら、それで増える使用済み核燃料の処分や保管方法を明確に示す説明責任があると思います。

再処理を行っている㈱日本原燃は電力会社と日本原子力発電などで2000億円出資の会社です。東京電力は約411億、東北電力約112億出資です。再処理工場は1989年の建設申請から20年以上経過して完成せず、建設費は現在では約2兆2000億円。この建設費は、電力会社が債務保証して銀行などから1兆252億円の借り入れなどで賄っています。電力各社は再処理料金の一部を前受金として日本原燃に1兆1千億円(1997~2005年まで)を支払ってます。
使用済み核燃料の再処理処分を断念すると、再処理工場解体費用が約1兆4千億円と出資金などで約2兆3千億円が損失となります。しかし、再処理後のプルトニウムは、ウランに比べ価格が約3倍高く、プルトニウム専焼実用炉は何時出来るか分からない。それで、国は「全量再処理」、再処理無しで地下へ埋設の「直接処分」、「両者の併用」の3案を検討しています。

「直接処分」、「両者の併用」になれば、既存の貯蔵用プールにある使用済み核燃料、東電5160トン、東北電力450トン(2010年9月末時点)と再稼動での新発生分を、最終処分が決まるまでは原発内で保管することになります。


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