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子供らを守るツールがなくなる・・国会事故調、現時点での論点整理(第二回)の論点5のSPEEDIの扱いは不当 [AM-放射能拡散予測・SPEEDI]

国会事故調(国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)現時点での論点整理(第二回)の論点5のSPEEDIについて ,意見を6/15に送付しました。


SPEEDIのような放射能の拡散予想視システムは、ブルーム通過時の放射性ヨウ素から子供らの甲状腺内部被曝の防護には不可欠。

 現在の測定器で放射性ヨウ素の濃度がリアルタイムに測定できません。線量計では、地面に沈着した放射能から放射線、空中のブルームからの放射線など全ての放射線を測ります。そこからブルーム中の放射性ヨウ素だけをリアルタイムに割り出すのは出来ない。放射性ヨウ素の大気中の濃度情報は、大気を吸引してフィルターを通して、フィルターに付着したものを測定するダストモニタリングで測られるが、「実際の事故の時というのはダストモニタリングの結果というのは2日遅れぐらいになって」しまう。
 放射性ヨウ素に汚染されていない食品や水の確保、安定ヨウ素剤の小児への投与などの防護措置は、ダストモニタリングの結果が出てから獲られても手遅れ。論点整理のようにモニタリング手法の多様化及び測定地点の多数化・分散化という実測方式では、小児の甲状腺内部被曝の防護には実効性が低いので、SPEEDIのような放射能の拡散予想視システムが必要になる。

緊急時対策支援システム(ERSS)のSOB時には、約1時間後には使えなくなる。

放出源情報をもたらす緊急時対策支援システム(ERSS)が、十全に機能しなかった経緯を検証されたい。
ERSSのプラント側のシステムは、①原子炉などに設置されている観測機器、②その観測データを集約するプロセス計算機、③プロセス計算機からデータをERSS用に変換する装置、④そのデータを伝送する通信経路に大きく分けられれる。どの部分が、何時、どのような原因で機能しなくなったのか明らかにされたい。

福島第一原発の事故時の手順書では、全交流電源喪失SBOになり電源が非常用蓄電池のみになると、約1時間後に蓄電池の電力をもたす為にプロセス計算機の電源が落とされる手順になっている。原子力安全委員会の資料によれば、他の原発でも同様である。ERSSシステムの主要なサブシステムの②の観測データを集約するプロセス計算機、が停止するのだから、ERSSは約1時間後に原子炉データが届かなくなり、放出源情報をSPEDDIに出力できなくなる。そうした全交流電源喪失SBO事故時の対応手順になっている。
このようなERSSの限界は、「関係各省庁にも共有されて」いたのか、検証し明らかにされたい。

シビアアクシデントの研究によれば、加圧型PWRでは事故開始から1時間以内に放射能が環境放出されるシーケンスはない、概ね10~100時間後。沸騰水型BWRでは、制御棒の挿入に失敗、スクラム失敗したシーケンスで1時間以内に環境放出が始まるが、概ね5~100時間後に放出が始まる。(原子力安全委員会の防WG第6-1号資料、防WG第5-2号)
つまりシビアアクシデント事故のほとんど場合、全交流電源喪失SBOが重なると、放射能が環境放出される時刻には、プロセス計算機が停止して、ERSSは原子炉データが届かなくなっており、放出源情報をSPEDDIに出力できない。

「SPEEDIは、確度の高い放出源情報と気象予測情報が得られることを前提とするシステムであり、これらの情報が得られない場合には、SPPEDIを効果的に活用することは困難である。(論点整理)」というのなら、シビアアクシデント事故で且つ全交流電源喪失SBO時には、今回の事故に限らず「SPPEDIを効果的に活用することは困難である」ことになる。

「このようなSPEEDIの限界は、関係各省庁にも共有されて」いたのか、検証し明らかにされたい。


確度の高い放出源情報が得られない場合、原子力防災のマニュアル(原子力安全委員会・緊急時環境放射線モニタリング指針)では、「単位放出」で予測計算。放出率を 1Bq/h とした相対的な濃度分布、被曝線量の広がりを計算し予測図形(地図)などで出力する。算出には約20分(6時間予測計算)である。この予測地図があれば、ヨウ素剤投与などが当面不要な地域、必要な地域、避難先にできない地域などがわかり、防護対策が採れる。

この「単位放出」の予測地図は、関係自治体への提供されることになっている。「モニタリングセンター長は、地方公共団体が設置した現地災害対策本部に予測線量の推定結果等必要な事項を迅速かつ的確に報告するとともに取るべき対策に関し意見を具申する。」(原子力安全委員会・緊急時環境放射線モニタリング指針)

今回、この手順が守られたか。その検証を明らかにされたい。
その「単位放出」の予測地図が、一般市民・国民に公表されなかった経緯を明らかにしていただきたい。
「単位放出」の予測地図が一般に公表されていれば、原子力安全委員会が平成23年3月23日に公表した計算図形が、逆推定による過去の再現情報であり、予測情報ではないことは自明なので、「政府の情報公表に対する住民の信頼を失墜」させることもなかったと思われる。

関係各省庁で「活用方法について十分な検討が行われないまま」であったという実態を明らかにされたい。


モニタリングについて

「放射性物質の拡散状況の把握に最も効果的なのは、モニタリング手法の多様化及び測定地点の多数化・分散化である」とあるが、どのようなモニタリング手法が提起されていたのか、それが実用化されなかった経緯を明らかにされたい。

また、福島県が設置していたモニタリングポストが、発災の後、何時まで稼動していたのかなど明らかにされたい。そのデータは「平常時からSPEEDIネットワークシステムに固定式モニタリングポスト等のシステムを接続して、定常的に気象観測情報等を提供し、緊急時に備えるものとする。」(原子力安全委員会・緊急時環境放射線モニタリング指針)モニタリングポストからのデータの伝送経路などが地震対策されていたか、検証を明らかにされたい。

新潟県は、中越沖地震後に①停電対策・・無停電電源装置(UPS)や非常用発電装置を設け、災害時に停電が発生しても測定が自動継続、②通信回線多重化・・通常は局舎内に備えたテレメータ子局から、主系と従系の 2 系統により、広域イーサーネット回線を使って放射線監視センターへ 2 分値及び 10 分値を伝送する。さらに、災害等によりこの回線が通信不能になった場合はバックアップ通信手段として衛星回線(NTT ドコモ,ワイドスターデュオ)を使って伝送、③遠隔監視・・監視カメラを設けて夜間については照明を付け、測定器や屋外設備の外観に異常がないかを放射線監視センターに居ながら見ることができるの 3 点の強化措置を行っている。

こうした対策の有無、その実効性を検証されたい。それがなくては、測定地点を多数化・分散化しても、観測データが入手できない事態が再来する。



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