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中越沖地震がフクイチ3号機の水素爆発の遠因? [東電核災害の検証]

東電フクイチ核事故では原子炉建屋に”窓”が開いた2号機を除いて水素爆発しました。2号機の”窓”は本来ブローアウトパネルで塞がれている箇所です。1号機、3号機、4号機にもブローアウトパネルはついていたのですが、なぜか2号機だけ開いて落ちてしまいました。それで建屋内に水素が溜まらなかったので爆発しなかったとされてます。

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 ブローアウトパネルは、JIS・日本工業規格では「破裂板式安全装置」といわれ、四角いものはパネル、円盤状のものは"Rupture disc"「ラプチャーディスク」と区別されています。所定以上の圧力がかかると破れたり、外れて開口して圧力を逃します。
 原子炉建屋およびタービン建屋にあるブローアウトパネルは、普段はパネルと外枠がクリップなどで留められ固定されて閉じています。建屋内で原子炉からの菅が破断して水蒸気が大量に漏れ出たりして急激な圧力上昇が生じるとパネルに圧力が掛り、クリップなど固定装置が破断して、外れて開口するようになっています。原子炉からの水蒸気には放射能が含まれていますから外れて開口すると放射能が漏れ出ますが、日本電気協会の原子炉の安全設計指針の電気技術指針4612では「財産保護を目的とした建屋の破損防止」が開機能の目的としています。

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 3月12日15時半頃にフクイチ1号機が水素爆発しました。13日早朝には東電は、1号機以外でも同様の水素ガス爆発が生じることを懸念し、水素ガス爆発を防ぐために種々の方策を検討したと政府事故調はいっています。13日早朝では、2号機は注水継続中でまだ燃料損傷=水素発生はしていませんが、3号機では5時には核燃料が水面上に出て水素発生が予想される状況です。

天井や壁に穴を開けることは、作業中に火花や静電気が発生すれば、引火して爆発を引き起こしかねないことから、断念。次いで、福島第一原発の各原子炉建屋についているブローアウトパネルの開放を検討しました。
 中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所2、3号機のブローアウトパネルが開いてしまいました。これを教訓に、福島第一原発では、「ブローアウトパネルが容易に取り外しできないようにしていた」そうです。そのため、「作業中に火花や静電気が発生することも懸念されたので、実際には作業不可能であった。」と事故調はまとめています。

 ブローアウトパネルはクリップなどで留められているだけなら、外す時に火花が散るのか??中部電力は浜岡原発では3,4号機では外れたら知らせる装置をつけています。東電の「容易に取り外しできないようにしていた」措置とは?柏崎刈羽原発でも同様の措置をしているはずです。

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 それで、新潟県の原子力安全課に尋ねました。県によれば、パネルの留め方を強化した報告は受けているが、具体的内容は聞いていないとのことです。東電社員や構内作業員(自称)の方が、「柏崎・刈羽原発のブローアウトパネルが開いてしまったことを重く見て保安院が開かないように改修することを東電に指示したため、中越地震後、東電管轄内の原発のブローアウトパネルは溶接等で閉じられたのです。」という内部告発?もあります。

 溶接されていれば外す作業中に火花が出ても不思議はないのですが、フクイチ2号機でにいつの間にか外れています。それ程強く留めてたわけではないようです。東北電力の女川原発でもブローアウトパネルが外れているし、中部電力は浜岡原発3,4号機では外れたら知らせる装置をつけて済ましています。「財産保護を目的とした建屋の破損防止」のための装置ですから、絶対に開かないようにはしていないと思いますが、開ける「作業中に火花や静電気が発生することも懸念され」ほど留め方を強化したのです。

 その中越沖地震を契機とする改善策で、今回、フクイチの水素爆発を予防することが出来なかったのです。事故調は「有効な水素ガス爆発対策を講じられず、建屋内に滞留した水素の濃度を計測する術もなかったため、どのタイミングで水素ガス爆発が発生するのか分からないまま、爆発の恐怖と隣り合わせで、各プラントへの対処に当たらざるを得なかった。」としています。東電関係者だけでなく国民も恐怖ととりなり合せにいました。

 政府は「ブローアウトパネル開手段確保などの水素放出口の確保を求める。」とし、東電は新潟県に柏崎刈羽原発には建物の外からパネルを開放できる装置をいずれ付ける(時期不明)と説明しています。


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