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東電の技術者は”お花畑”。非常用復水器(IC)の動作状況でのウソ 核災害への備え⑬ [東電核災害の検証]

11/22に東京電力は東電フクイチ1号機の非常用復水器(IC)の動作状況についての評価を発表した。


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弁の開閉状態でウソ

東京電力は非常用復水器(IC)のB系の4つある弁のうち2B弁を現場調査(10/18)から全閉状態としている。しかし、10/21の東電記者会見では2Bは開状態としており、東電から19日に報告を受けた原子力・保安院は2B弁は開状態と公表している。11/24の地震被害情報(第302報)でも変更されていない。
11/22の東電のIC作動状況評価は、保安院の公表の現地調査結果「2B弁は開状態」とちがう、いわば虚構の上になされている。
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津波到達前のB系の操作では、2B弁は閉じられていない。3B弁を閉操作しB系の作動を止めているだけである。津波による直流電源(蓄電池)や電源盤などの水没により「IC配管破断」を検出する回路の直流電源が喪失した場合、フェールセーフ信号により閉動作する(インターロック)。
4/1のIC電動弁回路調査では、2B弁は全閉を示す回路状態であり、東電はインターロックが作動した状況と評価している。
10/18の現場調査は、この評価を覆し、インターロックで閉信号が出されても実際には弁が閉にならなず開状態のままであったことを示している。

1979年のTMI(スリーマイル島事故)の際では、中央制御室の表示は、その電気回路の状態(閉か開の指令)を示すが、実際の状態は示していなかった。TMI事故後に状態表示が一般的になったそうであるが、東電フクイチ1号機~4号機はTMI事故前に運転を開始している旧い原発である。
3.11の18時にA系の2A、3Aの「閉」を示す緑ランプが点灯している事を発見しているが、これも回路の状態が閉であることを示していて、実際に弁が閉状態であるかは判らないのではないか?

非常用復水器(IC)が稼動しているか否かは弁の開閉状態だけではなく、ICからの蒸気の建屋外への放出、建屋の壁にある「豚の鼻」と呼ばれる放出口からの水蒸気の煙の視認や放出音で確認できる。
11/22の会見で、東電の松本氏は「中操(中央制御室)を非常口から出て階段を降り、40mも建屋を山側に行き建屋角から見上げれば見える。また音、噴出音などでもわかる。」とNHK・山崎記者に説明している。
地震後のICの自動起動では「轟音がした」そうである。(11/25の東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する意見聴取会での奈良林委員への保安院回答)

3.11の津波到達時の直流電源喪失前に、A系列が3A弁・開で作動している状態なら、轟音がしているはずである。「津波襲来後、中央制御室のランプ表示が次々に消えるなかで非常用復水器(IC)が機能しているかどうかわからなくなった」(11/25・意見聴取会で公開された運転員証言)といっているが、轟音や水蒸気噴出の視認でわかる。轟音が無くなりICが止まったなら、インターロックが働いたということである。インターロックで4つの弁に閉指示が出される。その4つの弁のうち、格納容器内にある1A、4A弁は制御は直流電源だが、作動は交流電源に拠っている。だから、交流電源が回復し格納容器内の弁が開かない限り、格納容器外にある2A、3A弁を手動で開いてもICを再稼動できない。ところが、弁を開けに非常用復水器室に行こうと試みている。

逆に、津波到達時の直流電源喪失前に、A系列が3A弁・閉で稼動していないのなら、津波到達後に轟音が無くても、不思議はない。ただインターロックが機能したか否かはわからない。インターロックが働いていない、格納容器内の弁が閉じられていないなら、3A弁を手動で開ければ非常用復水器(IC)が稼動する。原子炉を冷し圧力を下げられる。そして、東電の運転員らは弁を開けに非常用復水器室に行こうと試みている。


運転員らの非常用復水器室に行こうと試みからは、津波到来時にICを稼動させていなかったと判断できる。
(8月の保安院の調査では、東電の現場関係者は福島第1原発1号機の非常用復水器2台の津波襲来時の運転状況について「両方とも閉止していた」と証言している。 詳しくは追加記事)
「大津波警報の電話連絡を受けたが影響が出るような津波が来るとは認識していなかった」(11/25・意見聴取会・運転員証言)という切迫感、危機感のなさが窺える。

 これは東電の体質、2008年に設計想定を上回る10メートル以上の津波が到来する可能性がある、高さ15メートルを超える津波の遡上(そじょう)を予測していたにも拘らず、大震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に対し報告。この予測した大津波に対応を取らずいたという当事者意識のないユルユル体質が反映したもの。


東電は、今回のフクイチ核事故は津波が原因と一貫して主張している。非常用復水器(IC)の停止も、津波によるインターロックが原因といいたいのだろう。そのためには、インターロックが作動したなら閉じている2B弁の閉状態、社員が多大の被曝をしながら確認してきた事実すらも捻じ曲げて考え評価する。お話を作り上げている。
 このような人たちが、私のいる地から60km先で柏崎刈羽原発を運手しているのは、地震や津波より怖い。


前所長らの証言内容、保安院が東電依頼で修正 (日本経済新聞
2011/12/7 10:37

経済産業省原子力安全・保安院が東京電力福島第1原子力発電所の吉田昌郎・前所長らに現場の状況などを聴取した結果の概要を9月に発表した際、東電本店の依頼に応じて、証言の内容を修正していたことが6日に保安院が公開した聴取結果の資料から分かった。

 保安院は「(事実関係が確認できず)表現を東電と調整した」と説明している。事故発生当初の現場関係者の声に手を加えて発表してきたことになり、調査の信頼性が問われそうだ。

 保安院は8月に吉田前所長ら8人に聴取し、9月に結果の概要版を発表した。概要版では、福島第1原発1号機の非常用復水器2台の津波襲来時の運転状況について「両方とも隔離弁の開閉状態は不明」としていた。

 ところが6日公開された聴取結果の資料によると、現場関係者は「両方とも閉止していた」と証言。保安院によると、概要版公表前に内容を調整し、東電側が証言が事実かどうか不明と主張したため「不明」と書き換えたという。

 保安院は「公開しない前提で調査し(東電の)意向を尊重した」と説明。聴取結果の資料の20カ所以上の黒塗り部分についても「東電の依頼で非公開にした」という。







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