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20mSv/年の低線量被曝の危険性(2) [被曝影響、がん]

現在、マスコミ報道に見られる「放射線量、年間100mSv以下なら安全」「500~1000mSvでも恐らく大丈夫」という中村仁信氏(日本放射線学界理事)や、「1日当たり線量1~100mSVの領域は,がんリスクがゼロである可能性が高い」という金子正人 氏(放射線影響協会/日本保健物理学会会長)、「1時間当たり100マイクロSv(年間 875ミリSv)は安全」という福島県放射線健康リスク管理アドバイザーを務める山下俊一、高村昇、長崎大教授やなど見解は、国際的には、かなり少数派の過激な閾値あり線形仮説です。

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参照 福島県放射線健康リスクアドバイザーによる講演会 http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/contents;jsessionid=76482E5235737A8103732D1F74B01321?CONTENTS_ID=23695


 子供らに20ミリSvの基準は、国際的には「しきい値無し直線・LNT」仮説の論者からも閾値あり線形仮説の論者からも、とんでもない基準です。 

 3月16日に内閣官房参与に任命された小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東京大教授が、子供らの被曝を年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。」「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と4月30日付けで辞任しました。

小佐古氏は、国際放射線防護委員会(ICRP)の専門委員を長年勤めています。ICRPでは勧告の内容を現場への具体的な適用例を考え項目ごとにさらに深め、各国への導入を推進する役。その学者世界では、「これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべき」となる。だから20mSvを容認すれば私の学者生命は終わり。

 また小佐古氏は、近畿原爆症訴訟集団認定訴訟で国側の証人に立ち、被爆者からは御用学者と言われる人物。今年の1月に、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」を500mSvあるいは1000mSvを「超えてはならない限度の位置付けであるべきではなく、低減すべき努力目標値」と事実上被曝量を青天井とする勧告を放射線審議会から国に出しています。

参照 国際放射線防護委員会(ICRP)2007 年勧告(Pub.103)の国内制度等への取入れについて

また「緊急作業で受けた被ばく線量との関係により当該作業者の将来の放射線取扱業務に大きな影響を与えないような措置」と柏崎・刈羽原発の下請け労働者を福島で被曝量を青天井で収束作業にあたらせ、その被爆線量を別枠扱いにして、再び柏崎・刈羽原発で就労できるようにすることを勧告しています。この決定を無視されたので怒っている。

 この500mSvあるいは1000mSvの努力目標線量では、白血球の減少や白血病などの急性障害がおこります。この対策に造血細胞の冷凍保存などが提案されていますが、東電は検討していないし、この小佐古氏も無視している、触れていない。 ヒューマニズムという点では、かなりの隔たりを感じますが、そういった方でも「受け入れがたい」恐ろしいのが子供らの年間20ミリシーベルトという被曝量です。


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また相馬市が学校のグランドの表土を削り取って除染しています。LNT「閾値なし直線」仮説の方からは可能な限り低くすべきですから、客観的な安全のため大人でも、子供でも有効なものです。フランス科学アカデミーなど閾値あり線形仮説の多数の方からも、基準値が彼らの考える閾値をこえていますから、同様です。精神衛生の心理的な安心ではなく客観的な安全のためのものです。

細野豪志首相補佐官・事故対策統合本部事務局長は、「相馬市が学校のグランドの表土を削り取って除染しているのは、(精神衛生の)安心のためには良いこと」といっています。安心というのは、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーを務める山下俊一、高村昇、長崎大教授らの見解を日本政府が採っていることを意味しています。

日本政府は、斑目安全委員会会長らの助言に従って、福島第一原発一号機の水素爆発を招きました。山下俊一、高村昇、長崎大教授らの見解にしたがって、日本政府はどんな自体を引き寄せいようとしているのでしょうか。

「年間20ミリシーベルトは、子供の発がんリスクを200人に1人増加させ、このレベルでの被ばくが2年間続く場合、子供へのリスクは100人に1人となる」(社会的責任のための医師の会PSR、本部米国ワシントン)


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小佐古氏インタビュー (WSJ日本語版2011/7/2


(辞任後)2カ月間、同氏は東京大学で放射線安全学の講義に集中してきたが、まずは海外で心の内を明かす準備ができたと述べ、今後数週間は米国や台湾で講演を行う。


小佐古氏は、具体的に、校庭における放射能の許容水準を超える学校が17校にとどまるよう、政府は許容水準を比較的高いレベルに設定した、と述べた。同氏が主張していたようにより低い水準に設定した場合、何千校もの学校で全面的な放射能除去作業が必要になる。


3月16日に官房参与に着任して以来、小佐古氏とその他の専門家の一部は幅広く様々な提言を行ってきたが、中には何週間も経ってから一般に知られるようになったものもある。例えば、3月17日には、政府の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で「合理的な最悪のケース」を使い、住民の被曝レベルを予想することを提言した。


 3月18日には、政府の原子力安全委員会に対し、SPEEDIによるシミュレーションに基づいて、当初の避難区域の妥当性を再考するように勧告した。


 しかし、SPEEDIデータは3月23日まで一般には公開されず、避難区域は4月11日まで変更されなかった。政府を批判する向きは、そうした遅れによって、何千人もの福島県住民が高レベルの放射能にさらされた可能性があるとしている。


同氏は、特に、被災した原子炉から周辺の海に廃棄された大量の放射性物質が海を汚染する可能性について懸念を深めている。政府は、福島第1原発の原子炉冷却過程で、何が海に廃棄されたのか、大ざっぱな報告しか発表していない。小佐古氏は、海水の監視や、汚染水の拡散状況の予想をこれまで以上に行い、海草から貝類、魚類にいたるまで様々な種類の汚染に対応するための措置を実行するように求め、「ずっとやれやれといってきたのに、やっていない」と述べた。


同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告されているものの、今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろうとした


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