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日本の揚水発電は45発電所で2700万kW、ソーラーシェアリング⑥ [エネルギー基本計画]

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟 の吉原毅会長(城南信用金庫相談役)は、営農型太陽光発電・ソーラーシェアリングで生産される電力を、既存の揚水発電の設備を使って蓄え、使うことが提案されている。
列島に揚水発電は45発電所あり、総出力は約2700万kWになっていた。2018年3月に調べた。揚水発電所・一覧201803企業3ト.jpg
 揚水発電所・一覧201803印刷ト-001-d.jpg 揚水発電所・一覧201803印刷ト-002-d.jpg

揚水発電というのは巨大な蓄電池みたいなもので、余っている電力を使って下側のダム(下池)の水をポンプで汲み上げて上側のダム(貯水池)に貯めておく。そして需要が増えた時に上側のダムから電力需要に応じて放水しタービンを回して発電する仕組みである。電力は基本的に貯蔵ができないため、電力会社は仮にピークの時間が僅かであっても、そのピークに対応できる発電設備を保有しなくてはならない。それゆえピークに備えた電力設備は大部分の時間で利用されないため、設備利用率は一般的に低く、設備投資の投資効率が悪くなる。揚水式発電を用いれば、設備利用率が特に悪化する夜間などの時間帯に既存発電設備の発電する電力で水をくみ上げ、需要がピークとなる昼間などの時間帯に発電を行うことで、ピークとオフピークの差を埋めることができ、設備利用率・投資効率の全体的な向上が図れる。揚水式発電所は短時間での起動停止が容易であり、負荷に対する追従性も高いため、調整用発電所に適している。電力需要のピークとオフピークの差が大きい日本で特におおくなっていると言われるが、上側のダム(貯水池)に貯められる下側のダム(下池)の水をくみ上げる電動ポンプの電力が原発、水力、火力のどの発電でできたものか見るとそうは言えないと思う。 続く

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波長選択の太陽電池はできるかな、ソーラーシェアリング⑤ [エネルギー基本計画]

それを、2013年4月15日に開かれた「かずさDNA 研究所シンポジウム『農業と太陽光発電の両立に向けて』」のシンポジウム要旨集、柴田大輔氏(公益財団法人かずさDNA研究所)の「農作物栽培と太陽光発電の両立」が記載されている要旨集を糸口に検討してみる。 http://www.saci.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/04/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E8%A6%81%E6%97%A8%E9%9B%86%E5%85%AC%E9%96%8B%E7%94%A82.pdf より抜粋引用する。

吉川 暹氏(京都大学エネルギー理工学研究所)「有機太陽電池研究の現状と課題」によれば
「有機太陽電池は、溶液キャスト法、印刷技術などのプロセスによって30円/Wp 以下という低コストで大面積モジュールを作製することが可能である。また、有機色素を光吸収層として用いることから、①エネルギーペイバックタイムが半年以下と大変短く、②資源的制約がなく、③分子設計に基づく多様な化合物合成が可能で、④それらを使ったタンデムセル作製も容易で、⑤105 cm-1 を超える高い吸光係数を示す有機分子も多く、1μ以下の薄膜で十分な光吸収が可能という特徴を有しており、⑥軽量・大面積・フレキシブルな太陽電池と言う特性を活かしてこれまでにない可搬性という特性を付与することにより、結晶シリコン太陽電池にはない用途が期待できる」
「有機太陽電池の種類は大きく色素増感太陽電池DSC と有機薄膜太陽電池OPV に分類される」「DSC では12%を超える効率が報告されているが、OPV についても、2011 年秋のMRS シンポジューム(ボストン)での三菱化学の認証効率データー10%越えの発表を皮切りに、我々を含む世界の5 グループが10%以上の効率を得ており、まさにOPV 大競争時代を迎えている。フィルム型OPV のNEDO 実用化研究もスタートしており、設置面積はいくらでも確保できる農地の場合には、現在の効率でも十分に実用の域にあると云える。」


色素増感太陽電池(しきそぞうかんたいようでんち)は、 Dye Sensitized Solar Cellで、DSC、またはDSSC と略される。発明者のマイケル・グレッツェルの名からグレッツェルセルとも呼ばれる。


柴田大輔氏(公益財団法人かずさDNA研究所)「農作物栽培と太陽光発電の両立」によれば
「農作物栽培と太陽光発電が両立するのであれば、太陽電池開発の固定観念『耐久性とエネルギー変換効率の両方が高いことが絶対に必要である』は実質的な意味合いを失う。農地は膨大であり、エネルギー変換効率の低さは面積でカバーできる。
有機太陽電池のように低価格で供給できるパネルが開発されれば、農業用フィルムがそうであるように、一年で更新しても問題はない。」


若宮淳志氏(京都大学化学研究所)「有機材料の分子設計?農業に適した光吸収波長制御?」によれば
有機太陽電池は「その光電変換効率は、色素増感型太陽電池で12%、有機薄膜太陽電池でも11%を越える効率が達成され、国内外で産学問わず、実用化に向けた開発研究が活発化している。
我々は、有機化学という立場から、光電変換効率の向上の鍵となる真に優れた有機材料の開発に取り組んできた1)。分子設計をうまく工夫することで、光吸収波長や光透過性を自在に制御した有機材料を開発することができる。」

宮坂 力氏(桐蔭横浜大学 大学院工学研究科)「軽量、光透過性太陽電池パネルの開発」によれば
「とくに色素増感太陽電池(DSSC)は(1)安価な材料(酸化チタンと色素)を使った塗布工程で製造でき、(2)低照度の光のもとでも安定な電圧を出力する点、そして、(3)透明体として窓などへも応用できる点をメリットとしている。」
色素増感太陽電池の「DSSC を、プラスチックを使った軽量フレキシブルで透明なフィルム状太陽電池とする技術開発を進め、太陽エネルギー変換効率はフィルム状DSSC としては最高の4%以上に達している。」「高温高湿の環境下でも数年間の耐久性を確保するための開発を進め、農業用グリーンハウスの屋内へこのフィルム太陽電池のモジュールを設置し、発電の実証試験を進める計画である。軽量フレキシブルなために交換取付が容易であり、また、使用済の太陽電池は、使用部材を容易に回収、リサイクルすることができる。」
「高効率型DSSC は一般に緑を吸収し、赤色を透過する特徴を持ち、透過光は光合成に利用することができる。この効果は、2005 年には愛知万博の会場において、緑化壁の植物を覆う形でフィルムDSSC を設置して実証している。農業への応用はフィルムDSSC の有力な産業出口と考える。」 14頁の9の「太陽電池の発電の作用スペクトル」をみると、青藍紫色(500~400nm)でも透過している。赤色(610~700nm)程はないが、吸収は緑の半分程である。青藍紫色(500~400nm)を透過を取り上げない宮坂 力氏の記述は、片手落ちである。工学研究科だからであろうか。仮に赤色の波長領域の光透過率が高く光化学系II (PS II)の反応が進んでも、青藍紫色の波長領域の透過性が低く光化学系I (PS I)の反応が不十分ならカルビンサイクルは廻らず、光合成は未完になる。
この波長領域別の透過率で植物生理学的には十分なのか、農学的には生育に影響はないかを解明する必要性がある。

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波長選択の太陽光発電、ソーラーシェアリング④ [エネルギー基本計画]

農作物の生育と光吸収特性
太陽から核融合で放射される電磁波・光は、地球上に直達するまでに種々の散乱や吸収を受け、波長約300~3000nmの範囲が直達光放射と言われる。植物はこの中から必要な光を選択吸収している。基本的には、植物の発芽、節間伸長、開花、色素の生合成、光周性、屈光性、形態形成等、生理的に何らかの効果があるといわれる生理的有効放射(physiologicaly activeradiation・300~800nm)と、光合成のエネルギー源となる光合成有効放射(PAR: PhotosyntheticalyActiveRadiation・400~700nm)とがある。
PARより短波長の生理的有効放射の領域、近紫外放射( nearultravioletradiation 、波長 315 ? 400mm )といい、長波長の領域の遠赤放射(far-red radiation 、波長 700 ? 800nm )は、光形態形成( photomorphogenesis )と 2 次代謝物質生産( secondarymetaboliteproduction )に関与しているといわれている。

また、葉緑素クロロフィルの光吸収量曲線を見れば、PARの内の緑色の領域の光を吸収しない。利用していない。陸生の植物・光合成生物の大部分を占める高等植物と緑藻の、光合成はクロロフィルaやクロロフィルbが占めている。クロロフィルaは663nmと432nm、クロロフィルbは653nmと467nmに吸収のピークを持っており、共にプリズムで610~700nmの赤色と500~400nmの青藍紫色の光を多く吸収し、500~570nmの緑の光はほとんど利用しない。葉を作物を透過する。

青藍紫色の波長領域は、光合成では光化学系I (PS I)の反応で利用されてる。青藍紫色の波長光のエネルギーを受け取り、NADPHが生じる。 NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)
光化学系II (PS II)では、赤色の波長領域の光のエネルギーを利用して、水を分解して2分子のH?Oから4HとO?とATPができる。そのATP、4原子のH、それとNADPHを使って、3分子のCO?から炭化水素(グリセルアルデヒド3-リン酸・C?H?O?P)を作る、変換していくカルビンサイクルで光合成は終わる。
仮に赤色の波長領域の光透過率が高く光化学系II (PS II)の反応が進んでも、青藍紫色の波長領域の透過性が低く光化学系I (PS I)の反応が不十分ならカルビンサイクルは廻らず、光合成は未完となる。
 直達光放射のエネルギー量では500nmがピーク(緑色の光)であり、多い。


だから、太陽光発電にはエネルギー量の多い500~570nmの緑の光を吸収利用し、赤色と青藍紫色の光や近紫外放射や遠赤放射の光を透過させ作物を栽培する営農型太陽光発電が考えられる。このような波長選択の太陽光発電は可能だろうか。

波長選択.jpg
続く

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稲作でソーラーシェアリングは採算が合わない③ [エネルギー基本計画]

稲作での営農型太陽光発電は採算が採り難そう
6.1結論では、水稲での実証実験、その結果に基ずくシミュレーションをまとめてある。まず実証実験から、水稲の生育は遮光の影響が強く出る。草丈と葉の葉緑素濃度SPDA値は影響は受けない。穂数、穂重は著しい減少。また遮光区では出穂日の出穂茎数が有意に少なく、出穂延期が確認された。こう纏めている。
遮光による水稲の品質劣化と食味値の低下は、一時的な遮光で生じるが、ライフサイクル全体でも起こる。
シミュレーションからは、遮光条件と品質低下と減収の定量的な関係性について検討した。太陽光パネルの設置面積が営農型太陽光発電設備の全体に占める割合である投影率を用いた。水稲では20%程度の投影率が妥当となった。138頁の結論

光飽和点での従来の先行研究の評価を顧みると、論文の本間氏の評価は随分いい加減である。投影率では遮光条件を正確にはあらわさない。実証実験では31%の投影率で、平均で約38%の全天日射量の減少があった。太陽光発電パネル・太陽電池の設置角度、設置高度等や、散乱日射量の水平からの入射量などに影響されている。投影率では遮光条件を正確にはあらわさない。論文・研究では暫定的に投影率20%の入射の比率を約76%として設定している。119頁の図5.3投影率・遮光率返還曲線。だからと言って、水稲では遮光率約76%程度が妥当と言えるのか?

またシミュレーションから収量の確保には水稲移植日の早期化が有効が、結論の2点目である。3点目は水稲生育初期の日照条件(遮光条件)が、収量(減収率)に影響が大きいい。4点目は規模の経済が認められるから、より広範囲に導入を図るべき。5点目は、パネルの設置角度を水稲生育期間中は90℃に変更が収量確保ためには有効だが、太陽光発電の発電量が30%ほど減少する。経済的には成立しない。以上の5点が本間氏の出した結論である。営農型太陽光発電では、作物それぞれの生育段階における光条件と農作物の生育状況について検討した研究成果を参考にすべきと論文はしている。シミュレーションから出した2~5点目も、本間氏はそうすべきではないか?

光飽和点で営農型太陽光発電用の作物を選抜してみる。
水稲は光飽和点は50klx(キロ・1000ルックス)だが、営農型太陽光発電で生育に影響が出ている。より日陰でも生育する「強耐陰性」・光飽和点の低い作物を選抜してみよう。論文の付録Aで、これまでの研究で判った光飽和点をまとめている。30klxを選抜ラインとして付録Aから選抜すると、野菜類はトウガラシ・30lx、レタス・25、ホウレンソウ・20-25、ミツバ・20、ミョウガ・20、フキ・20、ピーマン・30。果実類ではブドウ・30、茶・20、穀類ではコムギ・25、ジャガイモ・25、サツマイモ・30が挙げられる。コムギ、ジャガイモ、サツマイモは有望ではないか。サツマイモは窒素N分の施肥が不要

農作物の生育と光吸収特性

に続く

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稲作でソーラーシェアリングは可能かな② [エネルギー基本計画]

稲作の営農型太陽光発電・ソーラーシェアリングを検討してみる。糸口に本間優氏の2015修士論文 「水稲栽培における営農型太陽光発電の実証とモデルシミュレーション」(本間優 東京大学 47-146688)を検討する。http://repository-old.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/61407/1/K-06017.pdf

論文は営農型太陽光発電の水稲での実証実験、その結果に基ずくシミュレーションを行っている。論文には付録Aで作物類の光飽和点の纏め、付録Bで作物ごとの遮光栽培の先行研究の纏めがある。

論文の1.7.1光飽和点で次のように従来の先行研究を評価している。3点ある。1点目は、先行研究は「可食部と非可食部を含めた総重量」のバイオマス量と光条件を調べているが、収量は「総重量の中で可食部の占める重量」だから、バイオマス量の光飽和点は収量のそれと違うとしている。論文では「作物の収量・品質を最終評価基準とする営農型太陽光発電では、光飽和点の適用は難しい」としている。
私は、バイオマス量の増減がなくして可食部の増減がありうる場合が、どれほどあるのかを問いたい。光飽和点以上で非可食部か可食部への変換・転換がみられる、それも多数・比率も高いならば、論の懸念も成り立つが、如何ほどあるだろうか。そして、論文のFigure1,4:光飽和点のイメージで「強耐陰性」「中耐陰性」「低耐陰性」に分けてイメージ付けしているように、営農型太陽光発電への栽培作物の選り分けには光飽和点は有効ではないか。
2点目は農作物は栄養成長期、花芽形成期、生殖成長期で異なる光感受性を示し、光飽和点が異なる。光感受性・光飽和点の時系列変化の一部のみを抜き出し、定量化した光飽和点ではなく、それぞれの生育段階における光条件と農作物の生育状況について検討した研究成果を営農型太陽光発電では参考にすべきと論文はしている。これは、そうだと私も考える。
3点目は、光飽和点の計測で、先行研究では単位に照度(lx・ルクス)を用いている。照度はヒトが明るいと感じる緑色の波長領域(プリズムで500~570nm)を多めに見積もる比視感度曲線を利用して算出する。植物がクロロフィルで利用するのは、青藍紫色(500~400nm)と赤色(610~700nm)である。照度(lx・ルクス)では、この領域は少なく見積もれることになる。正確には光合成有効光量子束密度(PPFD;Photosynthtic Photon Flux Density)を測る機器を使って光飽和点を出すべきである。

水稲のK-図1,5b-c.jpg
このように述べ、営農型太陽光発電では光飽和点の先行研究の蓄積の利用は困難と評価している。論文は、論者・本間氏による稲作の営農型太陽光発電の検討に続いている。そして、6.1結論に至っている。
続く

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