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北朝鮮の原潜 [廃炉・原子力潜水艦]

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国;DPRK)の潜水艦艦隊の構成は、1950年代初頭に建造のプロジェクト613が4隻、1960年代に建造のプロジェクト633/033(NATO名 Romeoロメオ型)が23隻、小型潜水艦プロジェクトSang-Oが29隻、超小型潜水艦が20隻以上となっている。ディーゼル艦艇のみで占められてる。現在、プロジェクト633/033艇を様々な種類のミサイルが搭載できるように改造・近代化している。
 北朝鮮は2023年9月6日に潜水艦の進水式を行った。北朝鮮は戦術核攻撃潜水艦と称し「第841号」という戦術番号と、朝鮮戦争の英雄にちなんで「キム・クンオク」という名称を与えた。朝鮮半島と日本の間の海域をパトロールする艦隊に配属した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が8日に伝えた。
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 米韓両軍は進水式の実施を事前に把握し、北朝鮮東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)新浦(シンポ)で進水式は行われたと韓国軍合同参謀本部は8日に明らかにした。
 艦はプロジェクト633/033(NATO名 Romeoロメオ型)を改造した艦で、あらゆる角度から撮影されたセレモニーの映像には、船尾部分の両側、ほぼディーゼル・コンパートメントがあった場所に穴が写っている。穴は大きく、ブリッジにいた士官の姿と比べると、少なくとも直径80センチはある。プロジェクト633/033のソ連軍オリジナル設計にはこのような穴はない。この開口部から、海水が入り、原子炉の一次冷却水を冷やす熱交換器を通過し、船外に出るのであろう。
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 ロシアのSPUTONIK日本・報道によれば、1956年にソ連で建造された初の原潜用原子炉VM-Aは70~90メガワットで、最高濃縮度21%のウランを燃料としていた。北朝鮮は兵器級、濃縮度90%のウランを生産しているから、これを使い、長さ6.2メートル、重さ285トンの原子炉室に収まる原子炉を設計・製造したのであろう。このような原子炉室は、ディーゼルエンジン、ディーゼル燃料用タンク、電気モーター、バッテリー、魚雷の在庫を最小限に減し魚雷発射管の大部分を、船から取り外せば、設置できる。(北朝鮮は船首を大きな旗で覆い、魚雷発射管の有無がわからないようにしてしまってる。)
 艦橋など一部を拡張させ、ミサイルを搭載するようにしたとみられる。写真には発射管ハッチが10カ所あり、直径約1.2メートルの大型格納庫が4基、おそらくは1メートル以下の小型格納庫が6基。4発の弾道ミサイル(恐らく射程約2500キロの「北極星3型」Pukguksong-3)と6発の巡航ミサイル(恐らく射程約1500キロ)である可能性が高い。
 韓国の元潜水艦艦長であるチェ・イル氏は「戦術」潜水艦という呼称かられ、米本土に届くSLBMではなく、韓国や日本など域内の目標を攻撃できる小型で短距離のSLBMや潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)を搭載してと推測している。


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1979年のアメリカで起きたスリーマイルTMI島原発事故での、汚染水処置 [フクシマ第一原発事故炉]

報道の烏賀陽(うがや)弘道記者のTwitter[X]@ugaya2023年9月2日 より、文責は虹屋ツルマキで纏める



①大切なこと。1979年のアメリカ・ペンシルバニア州で起きたスリーマイル島TMI原発事故でも、汚染水は出た。 事情の違いを述べると、メルトダウンした原子炉=TMI:1つ 福島:3つ、デブリ=TMI:130t  福島:800t、汚染水の量=TMI:9000トン。福島第一:137万トン。つまり同じメルトダウン事故でも、事故のスケールが桁違いに大きい。

そして日本のALPSと同じようにEPICORという核種除去装置をくぐらせて核種を規制値以下にまで除去した。
しかし電力会社はサスケハナ川(同原発は河川の中洲にある)への排水はしないことに決定
自然蒸発に転換した。
自然蒸発させた後、高レベルの放射性物質ヘドロが残った。
ワシントン州のハンフォードサイトで処理された。


②最初は電力会社(GPU)はEPICOR処理後の水をサスケハナ川に放出する予定だった。しかし、下流に上水道の取水口を持つランカスター市が川への排水の差し止めを求めて裁判所に提訴した。


③ランカスター市と電力会社の裁判は和解で終わった。しかし「たとえ環境基準を満たす水であっても、スリーマイル島原発由来の水はサスケハナ川に流さない」という和解条項を電力会社が受諾した。


④これがTMI原発事故で、電力会社がサスケハナ川へのEPICOR処理水の放流を取りやめて、自然蒸発に転換した大きな理由のひとつ。


⑤もうひとつは、電力会社、地域住民、エネルギー省などの同席する対話の場が13年間に80回以上開かれたこと。Citizen Advisary Boardという市民委員は12人。その中には反原発運動家・市民も入っていた。


⑥このCitizen Advisary Boardは、あくまで「対話」の場であって、日本政府や東京電力の「説明会」のような「政府・東電の方針を説明する会合」とは性質がまったく違う。Citizen Advisary Boardは合意を形成するための対話の場所だった。


⑥に付言。

日本政府や東電は「地元関係者の『理解』なしには処理水の放出はしない」と終始一貫言っている。「合意」とは一言も言っていないのだ。これは最初から「地元の合意など必要ない」という官僚話法・レトリックである。なぜ誰も(マスコミも)それを指摘しなかったのか


TMI原発事故の場合は政府・電力会社が地元住民の「合意」を作ろうと努力した。日本政府はあくまで「理解を求めた」だけで「合意」が必要とは最初から一言も言っていない。だから地元漁業者が反対するなかALPS水を排出しても「え?合意が必要なんて約束してませんけど?」と逃げることができる。


⑧13年間に約80回の「対話の場」を重ねるうちに、住民と電力会社・政府の間にも信頼が成立するようになった。EPICOR・放射能・核種除去装置をくぐらせて核種を規制値以下にまで除去したEPICOR水の自然蒸発処理が始まったのは、事故発生後12年目の1991年。93年に完了。これは対話の後半で合意が形成されたから。


⑨この「市民アドバイザリー委員会」との対話の場は1993年、78回の会合を経て役割を終えた。1979年の事故発生から14年後である。


⑩事情の違いを述べると


汚染水の量=TMI:9000トン。福島第一:137万トン。
メルトダウンした原子炉=TMI:1つ 福島:3つ
デブリ=TMI:130t  福島:800t
つまり同じメルトダウン事故でも、事故のスケールが桁違いに大きい。


日本政府のミスはもっと早期に汚染水の処理方法を検討しはじめなかったこと。2013年12月まで汚染水タスクフォース(原子力工学者10人)は始動しなかった。事故発生から2年9ヶ月である。崩壊熱を冷やすために汚染水が大量に出ることは事故直後からわかっていたのに、時間を浪費しすぎた。


⑫事故直後にヨーイドンで処理方法を検討し始めていれば、陸上処理の可能性やその用地確保などもする余裕があったはずだ。またTMIのような地元住民との「合意形成」の場もできたかもしれない。


⑬そして重要なことを追記。TMI原発事故では、EPICOR,EPICOR2というALPSに似た核種除去装置を通した水を自然蒸発させた後のヘドロに、高レベルの放射性物質がまだ残っていた。たった9000tの汚染水でも100%除去は無理なのだ。


⑭ひとつ訂正。この汚染水をEPICOR処理したあとに残ったヘドロの高レベル放射性物質は、ワシントン州のハンフォードサイトで処理された。アイダホ州の砂漠にある国立研究所(INL)に保管されているのは取り出したデブリだった。


⑮ TMI原発事故は、私も現場に2回行って当時の住民に話を聞いて回り、英語の資料もかなり読んだので、重要なことを書いた。日米の汚染水処理の違いである。


こうしたスリーマイル島原発事故を現地で取材した報告は「フクシマ2046」(ビジネス社)にまとめた。興味があればどうぞ。



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 また徹夜で非常に重要なことを書いて公開しましたよ。


このスレッド、ちゃんと全部読んでね。

番号ふってあるから。


こういう汚染水処理の先例を見ているから、今回のALPS水の海洋排水がいかにアホらしいかわかるのですよ。




2023.8.26  福島第一原発 ALPS水・海洋排水に関する12のディスインフォメーションを指摘する


ALPS水の海洋排水に関する政府のディスインフォメーションがあまりにひどいので、12点にまとめました。


ぜひご一覧ください。

2023.8.26  福島第一原発 ALPS水・海洋排水に関する12の誤りを指摘する



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