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2020令和2年7月13日、第10回検証委員会④「いのち・原発を考える新潟女性の会」資料より [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年7月13日に第10回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会があった。内閣府と原子力規制庁が出席した。私の記憶では、2018平成30年5月18日の技術委員会(親本委員会)への原子力規制庁の出席以来である。この避難方法の委員会での、この内閣府の原子力防災担当参事官?と規制庁の説明が、今回の注目点。その説明は 議事 (1)スクリーニング計画の議論の整理について が資料 No.1を使って各委員が補足して終えて、(2)安定ヨウ素剤の配布計画について が行われた。、



内閣府の内閣府政策統括官(原子力防災担当)付 参事官(企画・国際担当)付 のお役人が.議題(2)の安定ヨウ素剤の時から参加した。

その概要を7月26日に「いのち・原発を考える新潟女性の会」が第83回学習交流会の資料№103で公表した。全4頁の抜き書きを示す。

7月13日に第10回避難委員会が開催されました。今回は、事務局、委員の他に、内閣府原子力防災担当者と原子力規制庁担当者も出席しました。避難委員会では異例のことです。コロナ禍をおして東京からやってきたのは、安定ヨウ素剤配布と緊急時モニタリングに関して避難委員会の議論を受けて事務局(県原子力安全対策課)が提出していた質問に回答するためでした。ところか、国の役人は、傍聴者はもちろん、委員達もあっと驚くような発言をしたのです。概略を報告します。
(1)スクリーニングに関する内閣府原子力防災の“あっと驚く見解”
・内閣府原子力防災担当者(以下相当者)は、冒頭、先立って論議になっていたスクリーニンダの基準が、国が(原子力災害対策指針)40,000cpmに対して県は13,000cpmIとなっていることについて、次の発言をしました。(*発言内容は趣旨です)
「国の基準40,000 cpm は汚染検査の基準であり、県が基準としている13,000cpmは被ばく検査の基準である。緊急時に基準を変えるのは、現場に混乱をもたらすので、どちらかに決めるべきだ。原子力災害対策マニュアルでは、避難先で健康調査をすることになっており、そこで被ばく検査をする。国のスクリーニングは、まず車両を検査するが、これは屋外の車両が一番汚染する現実をふまえた対応である」
 *原子力災害対策マニュアル:内閣府原子力防災会議幹事会が2012年10月に公表し、これまでに6回改訂されています。原子力防災会議幹事会については、内閣府原子力防災のサイトに「緊急時に備えて、平時から政府全体で原子力防災対策を推進するために、内閣に原子力防災会議を新たに常設しました(2012年10月)。議長、副議長及び議員を補佐させるため、原子力防災会議に幹事会を置いていますjとあります。第1同原子力防災会議で原子力災害対策マニュアルが提案、了承されています。
・担当者は突然、スクリーニングは汚染検査だ、と言ったのです。これには、本当に“なに。それ?”、と思いました。そんな説明は聞いたことかありまりません。関谷委員長が「助護措置は健康を守るためにある。汚染を広げないと、どこに書いてあるのか」かと訊くと、担当者は「確認して後日示す」と。被ばく検査の詳細はどうなっているのかという委員の質問にも「協議、調整中。詳細はできていない。よって、県にも住民にも説明はできていない」と答え、「原子力災害対策マニュアル]は機能不全となっていることを、はからずも明らかにしました。玄海も伊方も高浜も、すでに9基が再稼働しているのに、国が策定したマニュアルで定めた彼ぱく検査のなかみは未完成なのです。そして、そのことを、現地の住民の方々は知らないのです。国はなにも説明もしていないのですから。実に腹立たしい、許せない事実です。
‘原子力災害対策指針では.スクリーニング(避難退滅時検査と呼んでいます)について
以上 1頁
避難退域時検査等及び除染
 避難退域時検査等による汚染程度の把握は、吸入及び経口摂取による内部被ばくの抑制及び皮膚被ばくの低減、汚染の拡大防止のためには不可欠であり、医療行為を円滑に行うためにも実施しなければならない。
と規定しています。「汚染程度の把握」を「汚染検査jと読めないこともないとは思いますが、そのあとの文言「内部被ばくの抑制、皮膚被ばくの低減」から、スタりーニンダ(避難退城時検査)は被ぱく検査であることが示されています。「汚染拡大防止」は検査目的の一つであり、それがメインの目的ではないことも示されています。しかし、担当者の説明は「汚染程度の把握jの文言に焦点を当て、「吸入及び~皮膚被ばくの低減」をすっぽり脱落させて「汚染の拡大防止のためには不可欠」につなげた説明になっています。40,000cpmという高い基準の言い訳として、ひねり出した後付けの説明なのかもしれません。
・新潟県のスクリーニングマニュアルでは、スクリーニングの目的を「OILに基づく避難の際に、避難や一時移転する者の汚染状況を確認することを目的として実施される倹査のことをスクリーニングと言い、本県では、原則、人に対して行う」と定めています。「避難や一時移転する者の汚染状況を確認する」の部分は、汚染検査とも被ばく検査とも読み取れます。そこで、筆者は「会から皆さまへ №101」で「スクリーニングの目的を、汚染状況を確認する、としているが、何のために確認するのかを示さないと、目的としては不十分である」と少々回りくどく書いたのですが、避難委員会の議論を聞いていても、何のためのスクリーニングなのか、が明確に共有された議論になっていなかったように思います。県が国の基準によらずに独自に13,C00cpmとした根拠も第8回避難委員会で「福島原発事故以前の基準を運用する。国の40000cpmより低く、安心・安全につながる」と説明しているだけで、13,000cpmがどのような被ばくに相当するのか等について具体的な説明はありませんでした。しかし、今回、担当者の発言を巡る議論のなかで、事務局は「県の基準は事故時にどのくらい被ばくしているかをメインにしている」と明言しました。
・関谷委員長は「国と県で見解が異なる。議論か必要だ」とまとめましたので、担当者が約束した汚染検査とする根拠を示す文書等の提示があったのち、議論されることになると思います。
 (2)2月4日小泉大臣閣議後記者会見での発言は”これまでのルールを変更するものではありません”?
・内閣府原子力防災担当者の“驚き発言”の2つ目は、小泉大臣の2月4日閣議後記者会見での発言「UPZも事前配布は可能」についてでした。「会から皆さまへ№101」にも報告しましたが、これまで一部の条件に該当する地域を除いてUPZ圏内での安定ヨウ素剤事前配布を認めなかった国が小泉大臣を介して「2月3日付でUPZ圏内住民への安定ヨウ素剤事前配布を検討するよう、関係道府県に要請したと発表」(新聞報道)したのですから、これは大きな変化だと筆者も含めて多くの人々が受け止めました。
以上 2頁
・しかし、担当者は、2月7日に内閣府の政策統括官(原子力防災担当)付として公表した「小泉大臣閣議後 記者会見 参考資科(安定ヨウ素剤について)」を示しながら、「2月3日に道府県に通知した『安定ヨウ素剤の事前配布に係る運用について』のルールは、2月3日以前と以後で何ら変わるものではない」と説明したのですから、いささか、面食らう思いでした。
・2月3日だの.4日だのとややこしいので経過をまとめてみます。
 2月3日 「内閣府政策統括官(原了力防災担当)付参事官(企画・国際担当)付」名で道府県原子力防災担当部局長あてに、「安定ヨウ素剤の事前配布に係る運用について」が事務連絡として発出されました。
 2月4日 小泉環境相・原子力防災担当相が閣議後の記者会見で前日の事務連駱について次の発言をしました。
「昨日、原子力災害時に服用する安定ヨウ素剤の配布につきまして、関係の道府県に御連絡・御説明を行いましたので報告をしたしと思います。安定ヨウ素剤については、住民の健康を第一に考えて、十分な効果が得られるタイミングで服用できるように、確実に住民の手に渡ることが不可入です。事前配布方式については、私も1回生の時に福鳥で原発事故が起きて、そして問題意識をずっと更なる体制の充実を含めて、万が一の時に備えて、できることがあるのではないか、そういう問題意識を持っていました。今年度11月の原子力総合防災訓練なども経て、周辺住民の皆様の健康と安全確保のために更に何かできないかということで、私の思い、そして自治体の皆さんから、事前配布する住民の範囲の拡大や配布手続きの簡素化のご要望も頂いていました。こうした声も踏まえて、想定を上回るような複合災害の際にも住民の健康をしっかり守れることができるように、事前配布の一層の推進等配布方法のあり方を検討してきました。この度.住民の健康を第一に考えて、5km~30kmが一層円滑になると想定される住民等に対して、既に一部の自治体では実施されていますが、安定ヨウ素剤の事前配布の取組を推進することにしました。また、従来の事前配布方式に加えて、町村役場や保健所など公共施設における保健師等による事前配布、これも推進していきます。この件につきましては、金曜日にまた改めて説明をしたいと思います」
2月5日  上記小泉大臣発言をマスコミが「2月3日付でUPZ圏内住民への安定ヨウ素剤事前配布を検討するよう、関係道府県に要請したと発表」と報道。
2月7日 「内閣府政策統括官(原子力防災担当)付」名で「小泉大臣 閣議後記者会見 参考資料(安定ヨウ素剤について)」発表
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担当者は「運用のルールは、2月3日以前と以後で何ら変わるものではない」としたことについて
○原子力災害対策指針では「EALの設定内容に応じてPAZ内と同様に予防的な即時避難を実施する可能性のある地域、避難の際に学校や公民館等の配布場所で安定ヨウ素剤を受け取ることが困難と想定される地域等においては、地方公共団体が安定ヨウ素剤の事前配布を必要と判断する場合は、前述のPAZ内の住民に事前配布する手順を採用して、行うことができるjと規定されている。
〇2月3日の事務連絡の趣旨は「事前配布によって避難等が一層円滑になると想定される
以上 3頁
UPZ内住民への事前配布が実施剛胆」であり、上記原子力災害対策指針と齟齬はない。事前配布はPAZと同様に、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばく及びその健康影響の年齢による違いを考慮して実施することや配布方法でも、ルールに変わりはない。と説明しました。
・UPZ圏ですでに事前配布しているのは5県3地域だと担当者は説明したのですが、委員からの「どのような条件で事前配布となっているのか」の問いには「確認して後日示す]と応じました。、詳細を知らなかったようです。
・そのほか、委員からの質問と担当者の回答です。
①事前配布対象はUPZ全域なのか。(清水委員)
  (担当者)全域ではない。全域が受け取り困難とはならない。
②UPZ全域が受け取り困難となったら、どのように対応するのか。(清水委員)
  (担当者)その際はヒアリングをさせてもらう。
③ヒアリングでば議論の余地がなくなる。ヒアリングの条件を示してもらいたい。(関谷委員長)
・県は「UPZ圏42万人への事前配布はマンパワー、事務的負担を考えると極めて困難なため、事前配布の簡素化を国に要望している。そこが解決されないと、配布につながらない」と述べ、担当者は「全国知事会からも要望はでている、検討したいが、薬事法もある」と答えました。
小泉大臣はF安定ヨウ素剤の事前配布の取組を椎進することにしたjと期待させていますが、国に具体策はなく、全国知事会等からの要望を放置するわけにもいかず、なかみのない「取り組み推進」の文言で対応Lだ、というのが実情だと思います、いかにも“国のお役人”らしいやり方です。
・原子力災害対策指針では、UPZ圏住民はブルーム到来時の被ばくを避けるために屋内退避をすることになっています。しかし、木造家屋では放射性物質遮蔽効果は薄く、被ばくは避けられません。一方、安定ヨウ素剤は、ブルーム到来時の沈着による放射線量によって避難や一時移転をする際に、規制委員会の判断に基づいて配布され、服用することになっています。つまり、UPZ圏住民は放射性ヨウ素による被ばくの可能性が高いブルーム到来時に安定ヨウ素剤を服用できない仕組みになっているのです。
・国は安定ヨウ素剤服用の効果を「安定ヨウ素剤を、放射性ヨウ素を吸入するまでの24時間以内に服用することで、放射性ヨウ素の甲状腺蓄積量を減らすことが可能jと説明していますが、この説明とUPZ住民への対応の関係をどう説明するのでしょうか。小泉大臣は「住民の健康を第一に考えて」といっています。今のところ、この言葉は、信頼からほど遠いと思います。
以上

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