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3号機のメルトダウン 東京電力の第三者検証委員会の報告書解読(24) [東電核災害検証、吉田調書]

東京電力の「福島第一原子力発電所事故に係る通報・報告に関する第三者検証委員会」の検証報告書の解読(24)

全交流電源喪失SBOがバッテリが枯渇するまでの期間継続した場合は、メルトダウンが避けられないと3号機の実例は教えているのだろうか。

使う事故時運転手順書はEOP: Emergency Operating Procedure:兆候ベースである。EOPでは全交流電源喪失SBOの兆候ではAOP(事象ベース)に当たるようになっている。そこでAOPの該当する章を見よう。「第12章 外部系統事故」であり「12-4 全交流電源喪失」がある。

1事故概要には「全交流電源喪失において最も重要なことは、DC電源が枯渇する前に非常用ディーゼル発電機(D/G)又は外部電源を回復し水位確保のための機器の運転維持と、PCV圧力、温度の上昇を制御する機器の復旧を行うことである。」とある。

3号機RSW.jpg原子炉補機冷却海水系が津波で破損
 DC電源は約8時間で枯渇する設計設定だ。3号機の外部電源は「送電塔の倒壊」で喪失しているから8時間で回復は見込めない。非常用ディーゼル発電機D/Gは水冷式で排熱を取り入れた海水に捨てる構造だが、海水の部分のシステムをRSW :Reactor Building Closed Cooling Sea Water System:原子炉補機冷却海水系 という。これは、福島第一原発では標高約6mに設置されており、津波で破損した。8時間以内に修復は無理。排熱できなければ、D/Gは焼き付いてしまう。だから、D/Gの電源も回復しない。

蛇足
仮に津波が原子炉建屋とタービン建屋の建つ標高約10mに達していなかった足元を洗う位としても、RSWは破損して非常用ディーゼル発電機D/Gは使えず、SOB全交流電源喪失になっただろう。1号機はDC電源は約10時間で枯渇する設計設定だがIC非常用復水器が使える。消火系FPのディーゼル消火ポンプD/D-FPでICの熱交換器タンクに冷却水を送るラインを手順書通りに構成し給水すれば、半永久的に使える。1号機は、メルトダウンを避け得た。2号機、3号機はどうなったろうか??

D/D-FPが唯一使える
水位確保のための機器には、設計で準備されているのはRCIC:Reactor Core Isolation Cooling System:原子炉隔離時冷却系 とHPCI:High Pressure Coolant Injection System:高圧注水系である。EOPでは、先ず4時間はRCICを使いバッテリー切れで、後の4時間はHPCIとある。

 この二つが使えない時の代替注水の手段は、フェーズⅠのAMに淡水送水の電動ポンプが7系統、海水送水の電動ポンプが1系統、淡水送水のディーゼルポンプが1系統である。SBOだから電動ポンプは全滅。電源車では十分な注水量を送る電力は発電できない。(必要注水量は、スクラムから5時間以内は35㎥/時、5~10時間は32㎥/時、10~20時間は28㎥/時、20時間以降は25㎥/時)
 残るは、淡水送水のディーゼルポンプ1系統のみで、消火系FPのディーゼル消火ポンプD/D-FPのみである。

「12-4 全交流電源喪失」には、「[参考事項]消火系による注水」という使う心得が記載されている。
 要点は
①ポンプ揚程が60数m≒吐水・注水水圧が0.69MPaのため、原子炉へ注水するには原子炉の減圧が必要となる。
②原子炉の減圧にはSRV:main Steam Relief valve:主蒸気逃し安全弁の開操作による。それには制御電源であるDC電源と作動用窒素ガスの確保が必要。
③-1 D/D-FPの運転を確認
③-2 消火系と消火系と給水系の接続配管ラインのラインアップを行う
③-3 SRV手動開により、原子炉を0.69MPa以下へと減圧を行う。

20111116004-6_81b.jpg

3号機の運転操作実績は、これらを満たしていない。 これでは、注水停止、メルトダウンになるだろう。嗚呼  続く


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