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KK原発の原子力防災/安定ヨウ素剤で甲状腺の完全防護は無理(2) [柏崎刈羽原発の防災計画]

東京電力の柏崎刈羽原発(㏍原発)、事故時の住民避難計画を評価してきた。
そして検討するために、新潟県と東電が昨年2015年12月16日付で公表した放射性物質の拡散シミュレーションの結果、影響評価を利用することにした。その際、あとで、検討するとした「よう素による甲状腺等価線量」と「避難の優先順位付け」とした。それに取り掛かる。
なぜ、甲状腺への放射性ヨウ素の残留をゼロに出来ないか
ヨウ素の取り込みは、先のJohnson モデルでは2段階に分かれている。第一段階は胃腸や肺から血液への移行。第二段階がヨウ素を含んだ血液からの甲状腺への移行。双方が移行では紛らわしいので、血液への移行を「摂取」とし血液から甲状腺へを「アップテイク」とする。
摂取
主に有機化合物の形である食物からの摂取は、主に小腸を舞台にして、食後で30分後、空腹時で5分後から始まるとされ、滞留時間(平均約4時間)の間に100%摂取される。安定ヨウ素剤も小腸から摂取され、約12分で血液中の値は最高になる。放射性雲の直接吸入や地表沈着の再浮遊に伴う吸入による放射性ヨウ素の肺(気道)からの摂取は、ヨウ素の化学形で異なる。
 元素状ヨウ素は、10分オーダーの半減期で血液へ移行。ヨウ化メチル(有機ヨウ素)は、5秒オーダーの半減期で移行。粒子状は大きさで沈着の率が違う。ICRPは1ミクロン設定で10分オーダーの半減期で移行。
このように摂取は、直ちに起こる。安定ヨウ素や元素状や粒子状は約10分で半分量を摂取。有機ヨウ素は(ヨウ化メチル)は5秒で半分量を摂取するから、事故時には有機ヨウ素が警戒されるわけだ。
摂取量
成人は体内に総ヨウ素量10~20mgを有していて、その約80~90%は甲状腺にあると云われている。残りの大半は、他の臓器にあるとされ、血液中にはわずかしかない。ヨウ素は現在、国民健康・栄養調査の調査項目に入っていないためデータがないが、食事からの摂取量は平均で1~3 mg/日と推定されている。
どれくらいの量のヨウ素が摂取できるだろうか。元素状のヨウ素は、水へは余り溶けない29mg/100ml(20℃)、78mg/100ml(50℃)。化学形で違う。例えば安定ヨウ素剤のヨウ化カリウムは128g/100ml(6℃)。
 ほとんどの人が過剰摂取を起こすことが無い摂取量、許容上限量は5歳児で1日で0.5㎎、中学生でで1.2㎎、18歳以上で3㎎。この許容上限量以上を長期に摂取したら、甲状腺機能低下症などを起こすことがある。安定ヨウ素剤の投与量は5歳児で38mg(原子力安全委員会)50mg(WHO)、成人で76mg(原子力安全委員会)100mg(WHO)を推奨されている。この推奨量は、許容上限値に比べ過大だ。
 だがヨウ化カリウムの溶解度からみる、どうだろうか。血液は体重の約13分の1、約8~7%ある。成人なら4000mlは有るだろうから、ヨウ化カリウムの溶解量が水と同じ程度なら約500g。安定ヨウ素剤投与の推奨量は㎎単位で100mgだから十二分に小さい。元素状のヨウ素なら4000mlの血液に1200㎎は溶解可能だろう。このことから、安定ヨウ素剤を投与・摂取しても、事故時の放射性ヨウ素のブルームの直接吸入や地表沈着の再浮遊に伴う吸入による肺からの摂取は止まらないだろう。
アップテイク
さて、血液中に摂取されたヨウ素の甲状腺へのアップテイクは、生後数日間の新生児は大きいが、その後は減少し、数週間後には大きく変動しなくなるという。3か月児以降は、子ども、成人は1日当りで30%・0.3とされている。20%とする見解もある。安定ヨウ素と放射性ヨウ素のアップテイク率(血液⇒甲状腺の移行率)に差があるとする文献・証拠はない。

 血中のヨウ素濃度レベルが通常より異常に高くなると、甲状腺ホルモンの合成が一時的に行われない状態となる。これに伴い、血中から甲状腺へのヨウ素の取り込み、アップテイクが自律的に抑制される。この仕組みを利用し、安定ヨウ素剤投与でアップテイクの自律的抑制効果を誘発してもアップテイクは0%にはならない。事故時のブルームの直接吸入や地表沈着の再浮遊に伴う吸入によって放射性ヨウ素を含んだ血液からの放射性ヨウ素のアップテイクは、止まらない。阻止できない。
 したがって、 事故時のブルームの直接吸入や地表沈着の再浮遊に伴う吸入が無い状態にすることが最善である。次いで、安定ヨウ素の比率を高く、放射性ヨウ素の比率を低くして「血液中に取り込まれた放射性ヨウ素を血液中の安定ヨウ素によって希釈」することでアップテイク量を減らす。これができることである。

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