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圧搾空気で蓄電、蓄エネルギー 吸熱 [日々の雑感]

空気自動車 compressed air car 

tata_.jpgMDIモーター デベロップメント インターナショナルは、圧搾空気を使うハイブリッドのタイプと圧縮空気だけをつかう車種の2車種を開発中。インドのタタ・モーターズと提携したタタ・ワンキャット (Tata OneCAT) は、普通の自動車のエンジンと同じ形式のレシプロエンジンの後輪駆動車。300㍑で30MPa・300気圧のタンクから623ccのエンジンに圧搾空気を送り込み、ピストン駆動により動力を得る。全長3.84m、全幅1.72m、全高1.75mと日本の軽自動車規格、排気量660cc以下、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下と較べて大きい、1200㏄クラスの普通自動車に近い。

違いは車体重量、750㎏です。日産のマーチが940~1040kg、軽自動車が690~1000kgに較べると軽い方の軽自動車です。
最大速度は時速130km、最大走行距離は約200km。軽に比べて距離が短い。走行でCO2を出さない電気軽自動車の三菱のi MiEVは、車両重量は1070~1090㎏、最高速度130km/h、満充電の状態から走行可能な距離は120~180km。

そして、懐への影響が全く違う。

電気軽自動車の三菱のi MiEV、メーカー希望小売価格(消費税8%込、2015年8月16日調べ)226万1520円と283万8240円。タタ・ワンキャットはメーカーの設定希望価格が5100~8000米ドル。(2008年)

エンジンの低温化・・エクセルギーの損失
タタ・ワンキャット (Tata OneCAT) は、2008年に計画が発表されたが、エンジンが低温化する問題などで2015年現在発売されていない。
 圧縮空気は膨張する際に温度が下がると圧力が下がるつまり噴出が止まる、圧力は下がらないが噴出量(体積)が減るの2方向の変化が起き、仕事の最大値「圧力エクセルギー」は小さくなります。積極的に圧縮ガスが膨張するシリンダを外気温に近づけてあげれば効率があがります。圧縮空気エンジンはラジエータじゃなくて吸熱器を備えることが効率を良くする。
吸熱の工夫をしないままだと、シリンダーが外気と自然に吸熱する熱量が上限で、スピードが出ないとか直ぐに止まってしまうことになる。機構的にはエンジンの低温化になって顕れます。

 バイクなどエンジンが外気に直接触れている構造では、とりたてて吸熱機構を設けてなくても良いようです。エンジンが覆われる自動車になり、運ぶ人数や重量が増大して馬力が求められると積極的に圧縮ガスが膨張するシリンダを外気温に近づけ工夫が必須です。最高速度の『KU:RIN』は、計測区間の1㎞の往路、時間をおいて復路を走ればよいので、そうした工夫は不要。

 Hybrid Air(ハイブリッド エア)、フランスのPSA

この点への一つの回答は、フランスのPSAプジョー・シトロエンが2014年10月のパリモーターショー14で初公開した「シトロエ、C4カクタス エアフロー 2L」と「プジョー、208ハイブリッドエア2L」です。一般的のハイブリッドHVは、ガソリンエンジンと電動モーターとバッテリーを組み合わせたものです。電動モーターとバッテリーを使わない、圧搾空気エンジンと圧搾空気タンクを使うHV技術を発表しました。「Hybrid Air(ハイブリッド エア)」と呼ぶシステムで、ドイツのボッシュBOSCH社と共同開発したものです。

hybrid_air_09.jpgシステムは1.2リットル直列3気筒ガソリンエンジン(最大出力82ps)、ギアボックス、圧搾空気モーター、圧縮空気タンクなどで構成。エンジン部にモーターとポンプからなる圧力システムとセンタートンネル内に設置された圧縮空気タンクと膨張室として機能する後部車軸に近い低圧タンクからなる。

 構造図を見ると、ガソリンエンジンのラジエター(放熱器)からの圧搾空気モーターと空気圧搾ポンプに配管が延びて、圧縮の熱をラジエターに、ラジエターの熱を膨張し低温化する圧縮空気に輸送することができる。ガソリンエンジンからの排気マフラーは膨張室として機能する後部車軸に近い低圧タンクに近接している。メカニカルにはエンジン部のラジエターからの配管だが、マフラーの高温が放射、対流で低圧タンクに移行する作りである。

hybrid_air_04.jpg 走行モードは3種類。圧縮空気モーターだけで駆動する「エア(ゼロエミッション)モード」はガソリン排気ガスなしで短い距離を移動に適する。ガソリンエンジンで駆動する「ガソリンモード」は幹線道路や高速道路上の安定した速度での移動に適する。
 ガソリンエンジンと圧縮空気モーターで駆動する「複合モード」は都市と郊外地域でストップ·アンド·ゴーつまり減速と加速を繰り返す運転に適する。

 減速のブレーキング時にブレーキパッドではなく圧縮ポンプ・コンプレッサーを稼働し空気を圧縮する、その抵抗で減速する、圧縮空気はセンタートンネル内に設置されたタンクに蓄える。作動10秒で充填は完了する。電気モーターでのブレーキエネルギー回収し蓄電池に蓄えるシステムを、コンプレッサーに置き換えたものだ。加速時にはタンクの圧縮空気を使い圧搾空気モーターを動作させガソリンエンジンをアシストする。(惰性走行時にエンジンでコンプレッサーを作動させて、空気を圧縮する方法もとれる。)
この3種類の走行モードを備える。

自動車の市街地における燃料消費を40%以上削減できるとしている。燃費は50km/リットル(欧州複合モード)。100km走行して、わずか2リットルの燃料しか消費しないとしている。

PSAプジョー・シトロエンは、2016年に市場投入を予定していた。そして、このハイブリッド・エア・システムの技術をマーケットへ投入するための研究開発費用を共同負担できるパートナーを探していた。「ハイドロリック・モーター、特製ギアボックス、300bar(30Mpa)仕様のガスタンクといった他の自動車にはみられないコンポーネントをこのシステムは必要とする」「このテクノロジーで利益を出すには年産約50万台の生産が不可欠だ。」(PSA)
2015年1月時点では見つからず、ハイブリッド・エア自動車の市場投入は2016年より遅れる模様で180名におよぶ開発チームは縮小されている。
http://www.autocar.jp/news/2015/01/23/107916/

ガソリンエンジンの放熱の仕組み、ラジエターを圧縮の際の高温の熱の放出にも利用する。またラジエターに蓄えられたガソリンエンジンの排熱を、圧縮空気が膨張する際の加温源にしている。それで圧縮空気の仕事の「圧力エクセルギー」を無駄なくとり出せる。圧搾空気利用には、このように圧縮時の高温の排熱と膨張時に圧縮空気が膨張する部分を積極的に外気温に近づけることが肝になっている。

発電での利用に続く


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