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圧搾空気で蓄電、蓄エネルギー 水とセラミックスに一時的蓄熱 [日々の雑感]

問題を整理してみよう。
ボイル・シャルルの法則は、圧力p×体積Vは気体定数R×絶対温度T。pV=RT.

空気を圧縮する際に発生する高温と圧縮空気を膨張する際に顕れる冷温の処理である。20MPaに圧縮すると約1000℃にも達する。そのままタンク外と熱のやり取りがない断熱状態ならば膨張する際に温度は低下し圧縮時の温度に戻る。完全な断熱は保てないから貯蔵中により低温度のタンク外へ熱が逃げていく。逃げた熱量に応じて膨張する際の空気温度が圧縮時の温度より低下する。低下するとボイル・シャルルの法則で示されるように噴出圧力が低下したり噴出容積が減り仕事量例えば発電量がへる。圧縮空気の膨張による仕事量を「圧力エクセルギー」というが、「圧力エクセルギー」は小さくなる。

圧縮する際に発生する高温は、貯蔵タンクなどのコストの上昇を招く。

水に蓄熱
物理学者のダニエル・フォンのアイデアは、ミスト状の水を噴霧し圧縮する際に発生する高温で熱水に変え熱量を吸収する。その熱水から熱を貯蔵する。その熱水のミストを膨張時は噴霧して熱を戻す。
http://lightsailenergy.com/

approach_集約.jpg

 彼女が共同創設者になっているLightSail社で、このアイデアで作られた約200気圧、約20Mpaに圧縮する試作品プロトタイプは圧縮に使ったエネルギーの70%を再生産できました。当初の35%程度でしたが、改良で約70%まで再生産できました。このプロトタイプでは空気を圧縮・保存しても、タンクの周囲の空気は10~20度しか温度が上昇しない。逃げる熱量が小さい。温度が低い分、タンクの耐圧も簡単になり、地上に設置しても問題ないので、その分コストも安く済む。2015年4月に、タンクを炭素繊維タンクに変えたと公表しています。コストがより安くなるそうです。
http://www.greentechmedia.com/articles/read/LightSails-Secret-Plan-to-Slash-the-Costs-of-Compressed-Air-Energy-Storage

SustainX社0_s.jpg SustainX社は、空気に界面活性剤と水を加えて気泡を生成し、気泡ごと圧縮することで、空気で発生した熱が気泡の外周の水に瞬時に移動する。温度上昇50℃程度と高温化を防ぎ、膨張時は圧縮時に貯蔵した熱を放出再利用する。膨張させた圧縮空気で、発電機につながったピストンを動かす。1.5MWの実証プラントの充放電効率は55%。 http://www.sustainx.com/
2015年3月に、地上に貯蔵タンクを設置する方法は止めて巨大な岩塩層などの地下洞窟を貯蔵場所にする従来のやり方に戻ると公表しました。
http://www.greentechmedia.com/articles/read/sustainx-to-merge-with-general-compression-abandon-above-ground-caes-ambiti

ドイツのADELE
ドイツのADELE(Adiabate Druckluftspeicher fur die Elektrizitatsversorgung)断熱式圧縮空気式電力貯蔵は、熱貯蔵器における空気圧縮熱を貯蔵している。水に蓄熱し、更にセラミックスや天然石、コンクリートに熱を蓄える。
  ドイツに多数ある地下の岩塩洞窟、岩塩層につくるドームを利用する大規模なものは、天然ガスによる加熱が膨張の際に必要とされ、約70%のエネルギー効率になる。
GEが参画するような大規模例の解説動画 https://www.youtube.com/watch?v=AJKnXK79wXQ

しかし、小規模なもの、特に短期と日常の貯蔵機能を目的とした小規模な施設で最高の効率よりもコストの安さや素早い起動を重要とした設計では使われていない。(下図)このような設備は、停電時の起動(ブラックアウト・スタート)も可能である。

圧縮空気と真空技術003_6_30_12.jpg

比較対照として揚水発電では、日本の国内の揚水発電システム全体のエネルギー効率は約70 %。揚水動力量311百万kWhで揚水発電量は212百万kWh(設備利用率12%)と想定されている。実績は設備利用率は1%(平成22年度5月)揚水・発電運転時間から見た稼働率35%(運転時間数/総時間数(744時間))。

http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/005/pdf/005_07.pdf


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