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圧搾空気で蓄電、蓄エネルギー 圧力エクセルギー [日々の雑感]

太陽光発電、風力発電が進展し、発電設備の容量が多くなるにしたがって、発電時に使いきれなかった電気・電力を蓄えて夜間や風が弱い時、発電量が需要より小さい時に使えるようにしたいという欲望が頭をもたげます。蓄電の方法の一つに圧搾空気で蓄えるものがあります。

圧搾空気のエネルギー  理想的な圧縮-膨張サイクルでは、エネルギー効率は100%

エアコンを冷房で運転すると、エアコンの室外機と室内機を巡っているガスを室外機側で圧縮します。すると圧縮されたガスは熱くなってその熱を室外機ではファンで送風する外気に捨てます。boisya-0.jpg圧縮され体積が縮んだ高圧で温度が外気と同じ温度、例えば33度になったガスが、室内機側では膨張します。圧力が下がり単位体積の分子数が下りガスの温度が下がります。室内の大気から熱が冷温のガスに移ります。それで室内の大気の温度が下がる、冷房される。暖房の場合は、室内機側で圧縮、室外機で膨張になります。

大気の空気を圧縮しても、熱くなります。熱くなった空気を常温まで冷やす、熱を熱くなった空気の入った容器の外側の大気に熱が移行し分子の運動レベル下ると、圧力が下がります。1気圧まで下がるわけではなくて、例えば、空気の体積が半分になるまで圧縮して常温に戻すと、2気圧になります。(ボイル・シャルルの法則=一定の温度の下での気体の体積が圧力に逆比例する法則、一定量の気体の圧力(p)、温度(T)、体積(V)の関係はpV=RT、Rは気体定数です。)

圧力エクセルギー
 圧縮された空気は、膨張するときに、外部に対して仕事をすることができます。熱、温度、圧力、物質(化学形)に関係したエネルギーは、そのうちの有効に仕事に変換できる部分とできない部分とを区別して扱うと有効に使える部分をエクセルギー (英: exergy) といいます。『系が外界とのみ熱・仕事を交換しながら、外界と平衡するまで状態変化するとき、系から理論上取り出せる最大の仕事量』。エネルギー(en + ergon; 内への仕事)にならって、ラテン語由来の接頭辞 ex (外へ) とギリシア語 ergon (仕事) の合成語としてエクセルギー(exergy)が術語です。availability、available energy、有効エネルギー なども使われますが、現在ではほぼエクセルギーが使われます。

エクセルギー4ba5.jpg


圧縮空気の膨張による仕事の最大値を、「圧力エクセルギー」と言います。エアコンのように膨張で圧縮空気の温度が下がると、圧力(p)と体積(V)の掛け算の値が小さくなり、圧力が下がるつまり噴出が止まる、圧力は下がらないが噴出量(体積)が減るの2方向の変化が起き、仕事の「圧力エクセルギー」は小さくなります。

等温圧縮・膨張では、100%です。等温がポイントです。圧縮空気容器の外から加熱される場合です。圧縮の際に熱くなった圧縮空気の熱が容器の外側の大気などに移行し温度が常温・大気温度に保たれる等温圧縮、逆のプロセスで同じ熱量が戻る等温膨張、この理想的な圧縮-膨張サイクルであれば、圧縮に使ったエネルギーの100%が「圧力エクセルギー」として取り出せます。

これまでの利用
圧縮空気でエネルギを蓄え使うアイデアは、古くから実用化されています。 

2.4t圧縮空気機関車9.jpg

漏電や放電などが火災や爆発などを引き起こす可能性が高い「火気厳禁」の場所では、火花を生む電気を利用しないので使用されます。また食品加工などの工場において大量の水を使用する行程では簡易な防水で済むので使用されてます。各種工具、削岩機・空気ハンマ・空気プレス・空気コンベア類、そしてスプレ-ガン等の空気圧利用機器に使われています。身近では誰もがお世話になる歯科医院。歯を削るドリルの動力で使われています。

車などでの日常利用を考えた開発が、欧州では進んでいます。

圧搾空気のタンクなどは何回も使えます。構造が簡単で利用者の日常メンテナンスも簡便です。蓄積タンクの性能が1900年代に使用されていた圧力の約10倍の高圧の使用を可能になる性能向上で、その最高速度、航続距離など実用性が増したのです。

圧縮自転車photo_2.jpg

普通の車は、エンジンの中でガソリン等燃料を燃焼させ、高圧空気を作ってピストンを押し下げて、駆動力を得ます。一方、エア・カーは、エンジンに圧縮空気を吹き込んでピストンを押し下げて、駆動力を得ます。その圧縮空気は、あらかじめ電力でコンプレッサー(空気圧縮機)を動かして、車載タンクに充填しておきます。

電気自動車EVは、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して二次電池に蓄え、電気でモータを回して走ります。一方、エア・カーは、電気エネルギーを圧力エクセルギーに変換して高圧タンクに蓄え、圧縮空気でエンジン(モータ)を回して走ります。

電気自動車(EV)と比較すると、まず、高価なリチウムイオン電池を使用しないことで、軽量で、初期コストが安く、希少なレアメタルを使用せず、急速充填可能な車両を作ることができます。断熱膨張も冷えた排気を冷房に使えるので、暑いところ、時期は冷房にEVのようにエネルギーを使わずに燃費(電費)が落ちません。 

空気を圧縮するエネルギーに太陽光発電や風力を使えば、環境負荷はより小さくできます。

具体例は 続く


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