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甲状腺は外部被曝50mSvで発ガン影響・ヨウ素剤検討会『2001.08.06、第1回』メモ [防災‐指針・審議会]

原子力施設等防災専門部会 被ばく医療分科会 ヨウ素剤検討会|原子力安全委員会
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso.htm
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7回全部 http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27-8


 『2001.08.06、第1回』の議事録より

甲状腺の被曝影響

鈴木元01.jpg・スリーマイルアイランドとチェルノブイリ以降というもので甲状腺発がんに関する考え方が大きく変わった
・内部照射で発がんがあるかどうか、外部照射のように、非常に短時間に照射をして染色体切断を起こすような被ばくと、内部照射で非常にゆっくりじわじわと照射していくもので、やはりそういう染色体に対する影響が違う。これは明らかにそうなんです。
 内部被ばくで放射性ヨウ素の内部被ばくで本当にがんが起きるのかどうかということに関しては、長い間、実は確定しておりませんでした。それがチェルノブイリ以降、確かに小児に限って見ていくと、そのリスクが高まるということが明らかになってきた。

外部被曝、50mSvで癌増加を疫学的に観測

・外部被ばくの線量が従来考えていたよりもずっと低くなってきた。
 いろいろな疫学集団のコホート研究の成果がまとまってきまして、1995年にNIHの疫学者ロン博士がまとめたレリエーションリサーチだったと思いますが、ペーパーがあります。それで、従来考えていたよりも低い線量で甲状腺がんが有利(ママ)に増える。具体的には50ミリシーベルトという値がそこで出てきております。
 1個の集団で、例えば数千人規模で見ていますと、有意検定ができないものを、もっとすべての集団をまとめてアナリスをしたと。例えば、原爆の集団だけ扱っていてもちゃんと出るんですが、ただ、そうはいっても非常に低い線量のところはあいまいな形でしか出てこない。それを集団を大きくすることによって、比較的低線量まで信頼性のある有意水準の確保できるアナリスができた。
 そういう報告がなされてきていまして、この中には、もちろん広島、長崎の原爆被ばく者のデータ、医療被ばくのデータというものが入っております。恐らく外部被ばくに関する今までのすべてのデータをサベーションしたというような歴史的なペーパーが出ているだろうと思います。(鈴木 元 委員、放影研

衣笠達也kinugasa01.jpgヨウ素が核分裂性生物の一部でさらされてというのはマーシャル群島の例がございまして、それでかなり詳細な研究、ブルックヘブンを中心にやっていたと思うんです。そこでは、やはり有意の差をもってそういうものにさらされた島民とそうでない人とはやはり甲状腺の疾患の発生の度合い、がんもごく少数ですけれども、やはり出ているという結果があったと思うんです。(衣笠 達也委員、原子力安全研究協会

マーシャルの研究では外部、内部合わせてトータルを評価して、甲状腺の結節が少ないコホートで増えているということは報告されています。(山下俊一 主査 長崎大学

 Guidelines for lodine Prophylaxis following Nuclear Accidents(Update 1999,WHO)

副作用の問題
云々するということが本当に正しいかどうか、(山下俊一 主査)

伊藤國彦s.jpg副作用ですが、私はヨードの副作用というのは直接は一つも経験がないんです。私は40年間の間に見た全甲状腺疾患が29万8,000例ぐらいで、一例何か薬疹が出たといったような患者さんがいたような気がします。ただ、造映剤で起こる薬疹は、あれはやはりヨードなんでしょうね。それを考えますと、余り軽々しくは扱えないなとは思うんですが、少なくとも私自身は、患者さんにヨードを与えるときに副作用の話なんかして、それから与えたことというのは一回もございませんし、事実経験がない。(伊藤國彦医師、伊藤病院の甲状腺の外来で日本一の経験者

ほとんど経験がないと。造映剤はこれはまた気質の問題で、必ずしもヨードのせいというふうにはとらえられてないと思いますので、別問題として考えますと、無機のヨードが本当にどういう副作用を引き起こすのかということで、(山下俊一 主査)

安定ヨウ素の過剰摂取、①長崎大学での治験
 約10年前に長崎で(山下俊一ら)我々が行った治験ですが、1錠3ミリのヨウ素含有量3ミリを9錠ですから27ミリ、約30ミリ近い量を1カ月間、成人の約15名(日本人で20歳から25歳ぐらい)に服用させてみる。そうするとどういうことが起こるかというと、これは世界で唯一我々のところしかデータがないかもしれませんが、それでいくと、ほとんどの方が潜在性の甲状腺機能低下症になる。成人であっても、いわゆる甲状腺の機能を落とすということで、これは正確に甲状腺の体積を計りましても少しはれますし、下垂体のTSH(甲状腺刺激ホルモン)というものが100%上がってまいりますし、甲状腺がそういうふうな副作用というよりも、過剰なヨードに伴う甲状腺悪影響というものは一過性に起こります。

 幸いに、その後、長期フォローしてみますと、みんなすぐ1カ月、2カ月で正常に戻りますし、その後、甲状腺の病気が惹起されたという人はいません。ですから、ヨードで実際に病気が起こる、あるいは副作用が持続する方々は、もともと甲状腺に異常がある方々が非常に影響を受けやすいだろうということがほかの他の文献等からも言われていますので、これは乳幼児には当然できない治験ですので、大人が代替わりをしているというデータであろうと思います。(山下俊一 主査)

② 臨床から伊藤病院
 ヨードをたくさん食べることによって甲状腺機能低下症が起こるというふうなことを山下先生はおっしゃいましたね。確かに、患者さんで甲状腺種も増えないで、抗体もマイナスで、それで非常にひどい甲状腺機能低下症を来している方がおられまして、「あなた、何か特殊な薬を飲んでいるんじゃないですか」と言ったら、「ええ、体にいいと言われてこれ飲まされています」なんてポケットから出したり、あるいはヨード卵というのがあるんですが、あれが猛烈なヨードが入っているんです。それから、めこんぶですね、ああいうものを食べている人、そういう中に極端な甲状腺機能低下症を起こしている人がいて、そういう人はやめるとちゃんと元に戻りますので、それが原因になっていると思いますが、どんな人でもそんなにたくさん食べたら機能低下症になるかというと、そうでもないらしいので、どういうんですかね、あれは。(伊藤國彦医師、伊藤病院)

日に50ミリとか30ミリ摂ると機能低下
それは先生、減少論としてよく相互することで、甲状腺機能低下症の中に大量のヨードをとった方がいらっしゃる。一方、北海道なんかではヨードをたくさんとっても機能が全く正常であるという方がいらっしゃいますので、一つは、まだ、これは少し専門的になりますけれども、ヨードトランスポーターとエスケープの機序が個人差によって随分違うということがわかってきたので、それはどのくらいの頻度で物が言えるか分かりませんが、一般的には大量のヨードが50ミリも、あるいは30ミリも毎日とると機能低下になるということで認識されるだろうと思います。(山下俊一 主査 )

チェルノブイリでは1ミリ投与、《補充療法》
 これはチェルノブイリでもこういうことが似たようなことがなされていまして、それは、あの地区はヨード欠乏でしたから、事故後、慌ててヨード剤を過剰に投与したというところがあります。そうすることによって、遅発性の甲状腺種の頻度は激減しています。ヨードをやっていないところは、未だもって甲状腺が腫れているという段階ですから、これは単にヨードの効果分かれが非常に強調されていまして、それは飲んだ量が全然違います。我々は30ミリ近い量をとりましたけれども、彼らがとったのは大体1mg前後ですので、その辺はある意味で非常にリーズナブルな量を使っているということで、これはどちらかというと補充療法と呼ばれてしかるべきだと思います。ですから、過剰に大量投与されたデータは余りないとご理解いただいていいかと思います。(山下俊一 主査 )

日本人の食生活によるヨウ素摂取量

検査の都合上、1週間一切の海藻類はやめてくれと、それからだしもやめてくれと、そこまで厳重にやりましても、尿中のヨードを見ますと日量200マイクログラムぐらいはディテクトできるわけです。そうすると、200マイクロ以下であれば日本人ではいいんではないか。
 それで、山下先生方がチェルノブイリからずっとあそこまで尿中濃度が5マイクロもあるかないかだと。すると、日本のヨードの測定の機械で余りに少な過ぎて計れない。それぐらい違っているという事実がありますので、日本人が普通の食事をしている限りにおいては、チェルノブイリの人たちがヨードカリ50mgぐらい食べたぐらいになるのかなと。
 試みにおでんを腹いっぱい食べてもらいまして尿中ヨードを計りましたら、20ミリぐらいヨードが出てきているわけです。ですから、普段からそういうヨードに日本人は十分にさらされているという特性もちょっとお考えになりながら山下先生は議論を進めていかれた方がいいと思います。(伊藤國彦医師、伊藤病院)

 マーシャル群島の例がございまして、・・そこでは、やはり有意の差をもってそういうものにさらされた島民とそうでない人とはやはり甲状腺の疾患の発生の度合い、がんもごく少数ですけれども、やはり出ているという結果があったと思うんです。
 ご存じのように、たまたま日本の漁船がそこで操業しておりまして、乗組員の方も同じようにさらされた部分もあるんですけれども、その方々に関しては、特に甲状腺の問題というのは、その後報告は明らかにはこういう疾患、甲状腺疾患が出たと、それについては何かあったように記憶はしていないんですが、日本人等の食生活の差なのか何かわからないんですが、データとしてはマーシャル群島のデータも参考にできるんではないかと私は思っております。(衣笠 達也委員、原子力安全研究協会)

 普段からそういう量をとっている人が実際に事故があったときにこれ以上とる必要があるのかという問題に非常に関連してくる・・ヨウ素剤はもう十分にとっているんではないかというふうな極論まで響くわけですけれども、(伊藤)先生はその点についてのヨウ素剤が食べ物だというお話をされましたが、この点についてのブロックという観点からどのようにお考えになられますか。(山下俊一 主査 )

安定ヨウ素剤の予防的投与と日本の食生活での摂取量

 チェルノブイリの子供の甲状腺がんの発生というのは本当に考えられないぐらいすごい出方で、ちょうどコントロールとして、私は40年間で54例しか小児の甲状腺がんを見てないんです。その間に見た全甲状腺疾患が29万8,000例ぐらいです。そうすると、もう非常にまれな病気であるというわけです。もちろんチェルノブイリのことを考えると、それだけに、もし起こったときにはいち早くヨードを投与した方がいいと思っています。(伊藤國彦医師、伊藤病院)

 外国でのヨウ素剤予防投与の事例というのは、実際にあったのは原発事故に関してはこの2つだけであるということで、これ以上のものは探そうとしても見つかりませんし、また、客観的に国際的な学術評価を得たものもありませんので、これがチェルノブイリとスリーマイルアイランドにおける環境中に希ガス、特に放射性ヨウ素類が出た場合の甲状腺のブロックをどうすればいいかということにつながろうかと思います。

 ご存じのように、ベラルーシという国とポーランドは隣同士の国ですけれども、ベラルーシでは1986年から本年の頭までに小児甲状腺がんが1,000例近く出ています。ポーランドは0です。先ほど伊藤先生がおっしゃいましたように、小児の甲状腺がんというのは思春期以降にぽつぽつ見られるぐらいで、100万人に一人あるかないかという年間の頻度ですけれども、ベラルーシには一番高い時期で1万人の一人ぐらい子供のがんが91年以降98年まで見つけられて、現在約1,000例。チェルノブイリの周辺、ウクライナ、ロシアを含めまして約2,000例の小児甲状腺がん、これは手術時の年齢が18歳未満ということで、約2,000例の子供たちががんとなるという(山下俊一 主査 )

 ヨウ素を普段から摂取している国民とそうじゃない国民で、放射性ヨウ素による発がん性のリスクがどのぐらい違うかという話になると思うんです。・・少なくとも最低限必要な情報がありまして、それは、放射性ヨウ素がどのくらいアップテイク(摂取)されるかと、これが随分変わってくるわけです。それによって、当然どのくらいの環境レベルのときに甲状腺にどのくらい集まるかというのがそれぞれの地区でチェルノブイリと日本では当然違ってくるわけです。

 今、リスク評価のところを、まだICRPのモデルを使っていますと、これは日本からいうと甲状腺機能亢進症みたいな人のアップテイク率を使ってリスク計算をしているんですね。だから、それが現実的なのかどうか、特に、子供を今リスクが高いと言われている子供さんで、日本人場合、どのぐらいのアップテイク(摂取)率を考えていればリスク評価が正しくできるのか、その辺が非常に今わからないところだろうと思っているんです。・・伊藤先生、臨床的にいろいろご経験があると思うんですが、現在の日本人、特に小児を対象にしたとき、日常的な食事をしていて、何%ぐらいのアップテイクを考えればいいのか。それは今のICRPのモデルからいってどのくらい、何倍オーバーレスメントになっているのか、その辺に関する議論というのもどこかで一度まとめておく必要があるんではないかと思います。(鈴木 元 委員、放影研)

 確かにおっしゃるとおりで、かなりまたこれが同じような条件にしているつもりなのに、人によって違うわけです。それで、これは確かにバセドー氏病の場合は話が全然別ですので、いわゆる正常と思われる甲状腺ですと、私は30%以下と思っております。ただ、これは正しいかどうかはよくわかりません。(伊藤國彦医師、伊藤病院)

 被ばく線量という観点からは、現在の日本人が摂取しているヨード量というのが影響を及ぼすわけですから、どの程度かということが非常に重要な一つのキーファクターになりますし、まさに鈴木先生ご指摘いただいた外国のリコメンデーションがそのまま日本に使えない最大の理由の一つがヨードの普段の摂取量の違いだということだと思いますので、この点では信頼できるデータあるいは最近のデータも含めまして、この投与方法や回数、量というところでは次回に資料提供あるいは協議をしたいと思います。(山下俊一 主査 )


この4人と明石真言委員・放医研で検討会を構成

明石 真言.jpg

『2001.08.06、第1回』
議 題
(1)ヨウ素剤検討会の設置について
(2)主査の選出及び主査代理の指名について
(3)ヨウ素剤検討会の進め方について
(4)その他
 
配 布 資 料
資料第1-1号 ヨウ素剤検討会の設置について
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso/youso001/siryo11.htm

資料第1-2号  被ばく医療分科会運営要領
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso/youso001/siryo12.htm

資料第1-3号 ヨウ素剤検討会の進め方について(案)
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso/youso001/siryo13.htm

資料第1-4号 原子力発電所等事故におけるヨウ化カリウム製剤等の投与の状況とその効果について
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso/youso001/siryo14.htm

資料第1-5号 Guidelines for lodine Prophylaxis following Nuclear Accidents(Update 1999,WHO)
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso/youso001/siryo15.htm

資料第1-6号 緊急時医療の知識-第1次緊急時医療活動-
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso/youso001/siryo16.htm

資料第1-7号 緊急時医療対策のしおり-緊急時医療の基礎知識
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso/youso001/siryo17.htm

速記録
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/soki/youso/youso_so01.htm


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