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原子力災害対策指針2015年4月改定  新潟県vs原子力規制委員会(2)規制委の回答 [防災ー発災直後、ヨウ素剤、短期避難・退避]

原子力規制委員会 04月22日の第4回委員会で意見公募パブリックコメントは取り上げられた。
議事録の15頁まで
http://www.nsr.go.jp/data/000105274.pdf
資料1 原子力災害対策指針及び関係する原子力規制委員会規則の改正案に対する意見募集の結果について(PDF:3MB)
http://www.nsr.go.jp/data/000104632.pdf
原子力災害対策指針(改定原案)のパブコメ 2015年4月3日締切のページに改定原案へのリンクがある

防護措置の実施にはSPEEDI等の予測的手法は不要。
荒木.jpg委員会では荒木原子力災害対策・核物質防護課長と南山監視情報課長が説明に当たった。
○ 予測手法やその精度如何にかかわらず、施設の状態に基づいて予測される放出源情報や気象予測をもとに拡散予測を行い、その結果を踏まえて防護措置の実施を判断する場合と比べて、施設の状態等に基づく判断の方が、より迅速かつ的確に防護措置を実施することができます。
○ また、上記の考え方は、国際原子力機関(IAEA)が定める最新の安全基準にも整合するものであり、国際的に広く受け入れられ確立された考え方となっています。また、こうした考え方に基づけば、防護措置の実施に当たりSPEEDI等の予測的手法を活用する必要がありません。換言すれば、これによってあらゆる計算的手法の有効性やその利活用を否定しようとするものではありません。
(資料1の三.SPEEDI等の予測的手法に関すること、別2-9頁)
「実際に(拡散)予測よりも施設の状況等に基づく判断の方が、より迅速かつ的確に防護措置を実施することができる」というが、云うだけで何の根拠も示していない。エビデンスがない。ここに限らず、規制委回答は言い放しで根拠が示されいない箇所が目につく。

委員会の議論は、より具体的である。
従来はガラパゴス的防災対策だ
更田委員.jpg更田委員長代理「防護措置上の判断を予測手法に頼ろうとすると。もちろん、これはそういうことができればいいという願望なのだろうと思いますけれども、願望を事実であるかのように信じ込ませようとするのを『安全神話』と呼んでいて、これはもう安全神話に過ぎなくて、長年、我が国は世界的に極めて例な、ガラパゴス的防災対策を採ってきたために、その安全神話が広がり過ぎてしまっている部分がありますけれども、UPZやUPZ外に影響が及ぶような事故において、どういった放射性物質がどれだけ、いつ、放出されることを事前に知ることができるなどというのは、これは完全に安全神話に過ぎない。当然、願望としてはあり得るでしょうけれども、その願望に基づいて、住民の方の健康に関わるような判断をするというのは極めて危険です。あり得ないと思っています。」
(議事録、12.13頁)
新しい同心円状?の避難指示
更田委員長代理「ある方位だけ防護措置を執ればいいという判断ができると考えることも極めて危険です。もちろん、願望としてはあり得ると思います。モニタリングの範囲を狭めることができるかもしれない。それだけ防護措置を打つ範囲を小さくすることができるかもしれない。しかし、これは願望に過ぎなくて、この願望に頼って防災上の防護措置を実施するような、こんな危険なことがあっては断じてならないと考えています。」
(議事録、13頁)
荒木課長「原子力規制委員会が施設の状況、あるいは放射性物質の放出状況等を踏まえてUPZ外への屋内退避エリアを拡張する必要性を判断する」
(議事録、5頁)
荒木課長「原子力規制委員会がUPZ外に拡張される屋内退避エリアの範囲を、予防的に同心円を基礎として判断し、その判断を踏まえ、原子力災害現地対策本部、地方公共団体が緊急時における実効性を考慮して、行政区域単位で屋内退避を実施するよう指示する」
(議事録、6頁)

予防的な防護措置と1日後の追加的な防護措置
更田委員長代理「施設の状態に基づいて、PAZ、UPZに対して予防的な防護措置を執ることができる。更にOILに達した場合には追加的な防護措置を執るわけです」
「それぞれの範囲での影響を最小限に抑えるために、予防的な防護措置を執れる」「追加的な予防的防護措置という・・施設の状態においては、避難であるとか、一時移転であるとか、屋内退避といった防護措置の範囲を広げることは、施設の状態を見て、あり得る」
(議事録、12頁)
荒木課長 放射能雲・ブルーム「通過後には追加的な防護措置を執る」
(議事録、8頁)
荒木課長「プルームのOIL(運用上の介入レベル)につきましては、・・中略・・設定することは困難ということで、IAEA(国際原子力機関)でも設定はされていないと。」
(議事録、5頁)
荒木課長「OIL2というのは、OIL1と同様に、(プルーム)通過後、地表に沈着した放射性物質による空間線量率を基礎として判断する」
「実際にプルーム通過時における影響が十分低減された後に実施をしていく必要があるということで、逆に、慌てて屋内退避等をやめて一時移転されると、かえってプルームの影響をある(原文のまま)」
「OIL2に基づく早期の防護措置は1日以内を目途に実施区域を特定する必要があるということから、1日たった後の1時間値で判断する」
(議事録、7頁)
電力事業者のSPDS(緊急時対応情報システム)に頼る
更田委員長代理「予防的な防護措置のトリガーとなるのはプラントの状態そのものであって、そういった意味で、従来、ERSS(緊急時対策支援システム)というシステムでプラント状態等の把握に努めていたわけですけれども、より現場で使われているものそのものという意味では、SPDS(緊急時対応情報システム)という電力事業者が使っているシステムをきちんと我々が見ることができる状況を作ること、それから、原子力規制委員会、原子力規制庁の職員がSPDSをきちんと見て、それでプラントの状態がわかる」
(議事録、15頁)
 下図の東京電力の事故報告書をみると、ERSSの原子炉の状態の予測、放射性物質がどれだけ、いつ、放出されるかの予測が出来なかったのは、柏崎刈羽に続いて2度目の電力線の未接続で電源を失った事と回線故障が原因。SPDSを併用する、プラント情報の伝達経路を多重化するなら意味が有るけれど、SPDSのみに頼れば、その経路が絶たれれば同じことを繰り返す。阿保な策だ。
SPDS.jpg 
 そのうちSPPEDIに代ってDIANAダイアナを使うと言い出すのだろうな。DIANA 原子力発電所周辺線量予想評価システム(Dose Information Analysis for Nuclear Accident)は、東電が持ち、運用する早期予測システム。詳しくは http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-04-13
あとの祭り
この防災指針で防護措置を追加する、例えば屋内退避から避難に、屋内退避だけから安定ヨウ素剤服用も行う場合は、ブルーム放射能雲が到達してから1日たった後の地表に沈着した放射性物質による1時間値をモニタリングで調べて、OIL(運用上の介入レベル)基準に達した事がわかった場合。この手順通りに進行しても、1日以上被曝を強いて放置するし、放射性ヨウ素を吸入した後だから安定ヨウ素剤を服用しても甲状腺は被曝している、後の祭り。 

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