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ベント時の汚染水ミスト 水素ガスとベント 試論⑲ [AM-ベント、排熱]

試論⑱の続き

ベントの際の汚染水ミストで環境へ放出を減らすには

ベントで、減圧沸騰で生成した汚染ミスト、フィルター装置で吹き上がりでできる汚染ミストはどれ位の水量が環境に出ていって、それでストロンチウム、プルトニウム、セシウムはどれ位のベクレル出ていくのだろうか。

 これを少なくするには、PCVの炉圧を下げてベントを行い減圧の程度を小さくすることである。NRC米国原子力委員会のSOARCA研究では、設計気圧でベントを行っている。JNES研究は炉圧が設計気圧の1.5倍でPCVスプレイを行い、炉圧が設計気圧程度0.49MPa(a)で止めるAMになっている。これを設計気圧でスプレイを開始するようにする。PCV内に水素ガスと希ガスがある。この二つのガスは温度を下げても凝縮しない。水蒸気の様に体積が著しく減少して減圧効果が顕れない。だから、炉圧が下がる限界がある。その程度まで下がったらスプレイをやめるといったAMが考えられる。設計気圧とその2倍では、PCV内の水と水蒸気が持てる熱量(沸点温度や気化熱)が小さくなるから、設計気圧でのベントは時刻が早くなる。

(PCVに注水する量は、格納容器ベントラインの水没水位をクリティカル条件とする制限がある。それだけの量を注水した場合、設定圧力の2Pdでベント実行する時刻は場合は「事象発生後約40時間後」と東電はしている。沸点温度や気化熱などを考えると10時間ほど早くなると思う。)

 この設計圧力ベントAMは放出放射能の増減にはどのように影響するか。ベント時刻が早くなることで希ガスは減衰量が小さくなるので、放出放射能による放射線量は増える。ヨウ素は、ヨウ化セシウムがγ線を被曝して起きる化学変化で無機ヨウ素(ガス)と有機ヨウ素(ガス)が生じる。時刻が早くなるから被曝γ線量が小さくなり、生成量が減る。セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなど微粒子状の放射能は、それを含んだ汚染ミストの生成量ひいては環境への放出量が減る。
 希ガスはプルーム通過時の被曝線量の大半を占める。しかし、残留できない。セシウムなど微粒子状の放射能は、通過時の被曝線量では極めて小さい。地面に沈着して長期間に被曝をもたらす。短期の大量被曝か長期の被曝をもたらす環境汚染の大規模化かの二者択一選択を迫られる。風向きによる拡散予測や避難の進展具合などを様々な要因を考慮した一義的には決められない選択、まさに政治的決断が求められる。

140827 No.2-2 (放出量)県2.jpg

ベント以外の排熱の手段があれば

 ベント以外の排熱の仕組みがあれば、こんな悩ましい選択はしなくて済む。ABWR用には東芝がフィンランドに売り込んだEU-ABWRの設計にあるCCCSや日立がアルバニアに売り込んでいる設計のABWR(次世代型で開発している HP-ABWR High Per- formance−Advanced Boiling Water. Reactor の設計をベースにしているABWR)にあるPCCS・受動的静的格納容器冷却系がある。これらは72時間、少なくとも3日間は崩壊熱を排熱できる。Hx熱交換器の入っている水タンクに蒸発排熱用の水を給水すればもっと可能だ。これが後付でもよいから付いていれば、崩壊熱の蓄積での過圧、過温からベントをする必要がなくなる。時刻で迫られた選択ではなく、選択に適した時刻を選べる。
 加圧する非凝縮性ガスのうち主なものは窒素ガス、水素ガスと希ガス。希ガスは崩壊でなくなって行く。CCCSが設置されているEU-ABWRの設計、この設計でのフィルタ装置に対してフィンランド規制当局STUKは「これは非凝縮性ガスの長期管理のためにプラントに設置される。A filtered containment venting system will be installed at the plant for long-term management of noncondensable gases.」とコメントしている。東京電力は6号機の原子炉系をつくった東芝、7号機の日立と後付できないか、検討すべきだ。

(STUKのコメントは 4.5.2009  PRELIMINARY SAFETY ASSESSMENT ON OLKILUOTO 4 NUCLEAR POWER PLANT PROJECT  APPENDIX 1 の12/89
http://www.stuk.fi/ydinturvallisuus/ydinvoimalaitosten-toiminta/uudet_laitosyksikot/en_GB/uudet_laitosyksikot/_files/81884695828889910/default/stuk_preliminary_safety_assessmen_tvo_ol4_appendix1.pdf )

 東芝のEU-ABWR
20140109_01_EU-AEWRv2.jpg

 日立
14-0415日立空冷0325b.png


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