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ストロンチウムなどの環境拡散 水素ガスとベント 試論⑱ [AM-ベント、排熱]

ストロンチウム、プルトニウムがRPV外へ
新潟県が設定した発災の条件では、約8時間後にRPVが破損し、溶融燃料がペデスタル(下部D/W)に全量落下する。落下前は溶融燃料のストロンチウム、プルトニウムといった気化温度が高い難揮発性の放射能は一旦気化してガス化しても炉心を離れ熱を失うと凝縮し微粒子となり炉心周辺を漂っていて、RPV原子炉圧力容器の中で沈着などするので流出量は極めて少ない。メルトスルーでPCV格納容器に出てくる。ペデスタル(下部D/W)に出てくる。県の設定事故シナリオではペデスタルに4時間前から溜められた水の中にデブリとなっている。封じ込めているのはPCV格納容器だけである。

ベントの際の汚染水ミストで環境へ

この難揮発性放射能を新たに加えたPCV内の水、汚染水が、ベント時に減圧沸騰する。耐圧強化ベントでは1気圧まで、フィルターベントではフィルターの抵抗を破る圧力α+1気圧まで減圧される。水温が高ければ減圧沸騰が起こり、その際に微小な水滴ミストが発生する。エントレインメント(微細な水滴)が生じる。その発生率をは耐圧強化ベントで1気圧まで下がる場合での研究がある。研究によれば373K(100℃)を超えると発生を始め、436K(約163℃)の0.12までの範囲でおおよそ比例直線的(線形)に増加する。この汚染ミスト(エントレインメント、微細な水滴)にはストロンチウム、プルトニウムといった難揮発性の放射能やセシウム、ヨウ素など揮発性放射能が含まれている。発生率0.01、1%の汚染ミストには1%のそれら放射能が含まれる。
フィルタベント設備02水位.jpg PCV内の水、汚染水の量は、S/Cプールの平時からの水量・約3600m³に総注水量(1700m³以上可能)を加えた量である。発生率0.01、1%でも約50m³の汚染ミストである。耐圧強化ベントでは、汚染ミストはそのままで出ていく。ベント配管中に付着し詰まらせる分を除いて、そのまま環境中に出ていく。フィルターベントではフィルターベント装置に到達する。この装置の汚染ミストの捕獲率は不明だ。捕獲された汚染ミストは、フィルター性能の低下や停止、新たな汚染ミスト生成を招く。
 フィルタ装置は直径:約4m 高さ:約8mで中心を直径0.4mのベントガス通過管が通っている。だから約12トン(12㎥)の水が入ると水面が約1m上昇する。東電は、金属フィルターが水に包まれ濡れて、放射能エアロゾルの捕捉力が低下することを懸念している。ベントガス噴出による水の吹き上がりなどを考慮して通常の水位1.0から1.5m上方の2.5mを上限水位としている。だから、汚染ミストや凝縮した水蒸気の復水で約20トン弱溜まると上限水位に達する。約50トンなら金属フィルターの下端に水面が達する。上限水位を超えたら噴出するベントガスで汚染水が吹き上がり、新たな汚染ミストができて環境に出ていく。東電は上限水位に達したら、止めてフィルタ装置の汚染水を格納容器内のS/Cに入れ、新たな水をフィルタに張るとしている。
(東京電力、平成26年2月11日、「フィルタベント装置の除去性能の整理」の8Pの実機挙動評価の評価図、
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/383/744/140211_4-1,0.pdf

柏崎刈羽原発6、7号機のベント実行の設定圧力の2Pdでの沸点は168.3℃(約441k)だから12%約600m³、設計圧力0.411MPa(a)では145.6℃(約418k)で9%約450m³の汚染ミストができる。その分の放射能が出ていく。研究では、約2時間で減圧を終え、生成も終えるとなっている。フィルターベントでは減圧が1+α気圧までだから、この1気圧より総生成量は少ないだろうが、ベントを始めたら直ぐに約20トン、上限水位に水面を押し上げる量できる。東電は初回のベントは「格納容器内に蓄積されていたものについてベント後1時間で全量放出を仮定」しているが、全量放出する間にフィルタ装置の汚染水の排水と水張を何回するのだろうか。
 そのベントで、減圧沸騰で生成した汚染ミスト、フィルター装置で吹き上がりでできる汚染ミストはどれ位の水量が環境に出ていって、それでストロンチウム、プルトニウム、セシウムはどれ位のベクレル出ていくのだろうか。

 これを少なくするには、……試論⑲に続く

140827 No.2-2 (放出量)県2.jpg

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