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専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省の当面の施策の方向性(案)・パブコメ 加筆 [被曝影響、特に甲状腺]

 「中間取りまとめ」では、甲状腺スクリーニング1080人のデータが非常に不確かなのにもかかわらずそれを採用している。甲状腺の初期被ばく線量評価は、プルームや短半減期核種のデータが限られていることを前提とすべきである。
 即ち、線量評価を一旦脇に置いて検診データを虚心坦懐に見るべきである。環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下では専門家会議と略記)は、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(平成24年6月27日法律第48号、以下では「子ども・被災者支援法」と略記)により同法十三条に定められた一定の線量以上の地域の住民の健診の実施や医療について、国の施策を検討するために設置された。線量評価は大切ではあるが、今現在生きている子供らの健康、その健康管理や医療のについての方がより社会的に重要である。福島県県民 健康調査において明らかなってきている事象、とりわけ甲状腺癌についての疫学的な分析や、個々症例・考察をきちんと行うべきである。

 
 12月25日に開催された第17回福島県県民健康調査委員会において、1巡目の検査で「異常なし」とされた子ども4人が、今年4月から始まった2巡目の検査で甲状腺がんの疑いと診断されていたことは重要な問題である。鈴木眞一福島県立医大教授は、1巡目の見落としを強く否定している。
 検診数は約6万人の中から4人見つかっている。10万人当たりでは約6.6人である。この値自体が、2011年までの日本での値に比べて、異常に高い値である。異常に多発と言ってよい値である。1巡目の検査では約29万6千人が受診し細胞診断で109人が検出された。10万人当たりでは約36.8人である。異常な超多発というべき値である。この1巡目の状況を、福島県立医大・国とも、見出された甲状腺がんについて、スクリーニング効果や「過剰診断」の一般論に基づき議論し、「30~40年後にでてくる甲状腺がんが前倒しで発見された」「放射線被ばくの影響で甲状腺癌が生じるのは4~5年後から」としてきた。
 一般論では、臨床症状が発現する前にスクリーニング検査で発見可能な前臨床発見可能期間にあるに癌患者をスクリーニングで検出、見出してしまう。スクリーニング直後には極端に低い罹患率になるとされている。2014年2月21~23日の「放射能と甲状腺がんに関する国際ワークショップ」で祖父江友孝氏(大阪大学大学院医学系研究科環境医学)は、そのように説明している。それで、新たに甲状腺癌が生じる4~5年後までは極めて低い人数が検出されることになる。ところが、2年後の2巡目で約6万人の一次検診が終えた時点でその中から4人見つかっている。10万人当たりでは約6.6人である。
 この2巡目の甲状腺がんの発見は、このスクリーニング効果や「過剰診断」の一般論に基づく説明が覆ったことを意味している。まずは、この実態について専門家会議は疫学的な分析や考察をきちんと行うべきである。ところが、第8回の会議で招いた疫学の専門家の教科書的な標準的方法のよる考察を、長瀧座長がユニークと評するなどしている。そうした論議をせずに、実態について疫学的な分析や論議をせずに纏められた「中間とりまとめ」を踏まえた環境省の「当面の施策の方向性(案)」は、机上の空論である。まずは、専門家会議に再度の論議を諮るべきである。
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