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第6回目の県検証委員会「健康分科会」の感想・四、「放射線誘発性の甲状腺がんは緩慢性のがん」?? [東電核災害の検証・新潟県技術委]

新潟県「原子力発電所事故による 健康と生活への影響に関する検証委員会 健康分科会」の第6回目が、2020令2年1月20日にあった。 資料などは此処から、https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/200378.pdf


議題1 IARC提言について 資料3 甲状腺がんが注目される理由=原子力事故後の甲状腺健康モニタリングの長期戦略:IARC専門家グループによる提言 が説明された。
感想四の① 資料の12~17頁では、「放射線誘発性の甲状腺がんは緩慢性のがん」と主張している。12頁には「スクリーニングプログラムは普通、がんの早期発見により死亡率が低下しうるため利益を生む」、「こうしたスクリーニングプログラムで緩慢性のがんが見つかった人々は、診療上の利益を伴わない治療を受けることになる。」と指摘している。13頁には、大阪大学医学部のHPにある記述と権威付けて、小さな甲状腺がんは「10年単位でしか成長せず、しかも若年者ではある程度成長しますが、高齢になると完全に成長を止めます。
また、経過観察された千人以上の患者のうち甲状腺がんが原因で死んだ方は一人もいませんでした。すなわち、これらの(小さな甲状腺がん)がんが悪性化することはない」とある。
この主張裏付けに、参考資料を13~17頁に挙げている。
12頁の紹介でされているページ http://www.med.osakau.ac.jp/pub/labo/www/CRT/OD.html は、甲状腺腫瘍研究チーム(高野 徹)の「10分でわかる甲状腺がんの自然史と過剰診断」と題し、全6項目のテキスト説明と説明画がある。12頁は3番目の項目の説明文の冒頭にあたる。この他には、
項目4番目『超音波でしか発見できない小さながんは、(甲状腺がん以外の原因で死亡した人を解剖してみる)剖検のデータから推測すると、10代後半から出現しだし、20代で急増・30代なかばでピークに達すると考えられます。
手術が必要な臨床的甲状腺がんは20代まではまれで、30代から増加しはじめ、40-50代でピークになります。
両者の開きが大きい20代』
 甲状腺ー大阪大学医学部OD1.jpg
『旧ソ連で起こったチェルノブイリ原発事故の経験に学ぶ必要があります。事故後、若年者に対して福島と同じような超音波検査による甲状腺がんのスクリーニングが行われ、多くの子供が甲状腺がんと診断されました。あれから30年たちますが、甲状腺がんが原因で死亡した子供はほとんどいません。ところが、多くの若者が自殺や事件・事故で自ら命を断っているのです。子供たちにとって脅威となったのは甲状腺がんそのものではなく、実は甲状腺がんと診断されることであったことがわかります。甲状腺がんがいかに経過の良いがんだといっても、世間一般には普通のがんと同じと見なされます。若いころに甲状腺がんと診断されてしまったこどもはこれから何十年もその十字架を背負って生きていかねばならないのです。「見つけて手術すれば助かるんだから」といった安易な考えで見つけたり手術したりすべきではない病気なのです。若年者に限って言えば、患者の本当の戦いは手術が終わった時から始まるのです。』最終6番項目。
「多くの若者が自殺や事件・事故で自ら命を断っている」の事実根拠は明示されてない。「脅威となったのは甲状腺がんそのものではなく、実は甲状腺がんと診断されることであった」は、筆者の高野徹・大阪大学特任講師の氏独自の見解だろう。
氏の日本語論文「福島の甲状腺がんの過剰診断ーなぜ発生し、なぜ拡大したか日本リスク研究学会誌 Vol28(2):67-76」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/sraj/28/2/28_67/_pdf/-char/ja
にもない。
続く

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第6回目の県検証委員会「健康分科会」の感想・参の③、木村 委員の異議・反論 [東電核災害の検証・新潟県技術委]

新潟県「原子力発電所事故による 健康と生活への影響に関する検証委員会 健康分科会」の第6回目が、2020令2年1月20日にあった。 資料などは此処から、https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/200378.pdf


議題1 IARC提言について 資料3 甲状腺がんが注目される理由=原子力事故後の甲状腺健康モニタリングの長期戦略:IARC専門家グループによる提言 が説明された。
感想3の③ 資料11頁「説明と詳細」には③[放射線誘発性の甲状腺がんは、予後が良好である事を、チェルノブイリ原子力発電所事故のデータが示す。] 旨の記載ある。木村 真三 委員(獨協医科大学 准教授)が、昨年2019令和1年年末のチェルノブイリ原発事故被爆地での、事故発生1986年時に小児期と思春期の人々への検診体験から異議を訴えた。
甲状腺スライド 55.jpg

検診体験では、「甲状腺切除手術[→]頚部リンパ節廓清(頚部に含まれるリンパ節をきれいに切除)もおこなったが、再手術と再リンパ節廓清を行った多数の例があった。」と予後はあまり良くないと異議を訴えた。
チェルノブイリ原発事故の検診体験からは、【放射線誘発性の甲状腺がんは予後は良くない】になる。

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第6回目の県検証委員会「健康分科会」の感想・参の②、2020令和2年1月20日 [東電核災害の検証・新潟県技術委]

新潟県「原子力発電所事故による 健康と生活への影響に関する検証委員会 健康分科会」の第6回目が、2020令2年1月20日にあった。 資料などは此処から、https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/200378.pdf


議題⑴IARC提言について 資料3 甲状腺がんが注目される理由=原子力事故後の甲状腺健康モニタリングの長期戦略:IARC専門家グループによる提言 が説明された。
感想3の② 資料11頁「説明と詳細」には③[放射線誘発性の甲状腺がんは、散発性甲状腺がんと同様に予後が良好である事を、チェルノブイリ原子力発電所事故のデータが示す。] 旨の記載ある。③は、先ず散発性甲状腺がんを調べてみた。
【散発性甲状腺がん】 散発性との明記記述は、甲状腺髄様癌(ずいようがん)でしか見つけられなかった。また、”欧米式の治療法=甲状腺全摘手術をおこない、術後放射性ヨードによる転移の診断・治療をおこなったうえで、生涯、甲状腺ホルモン剤によるホルモン療法(TSH抑制療法)を継続する”だそうだ。
《甲状腺刺激ホルモン(TSH)は脳下垂体から分泌され、甲状腺ホルモン分泌を盛んにさせる物質ですが、がん細胞の増殖も刺激してしまうことがあるといわれています。
甲状腺ホルモン療法は手術後、甲状腺ホルモン剤(チラ-ヂンS)を、普通よりもやや多めに飲み続けることで、TSHの分泌を低下させ、乳頭がんや濾胞がんの再発率を減らそうとするものです。
甲状腺全摘手術を行った場合には、いずれにしても甲状腺ホルモン剤の内服が必要ですから、甲状腺ホルモン療法をするのとしないのとでは、飲む薬の量が少し違うだけです。》
 
このように、「たまたまできた癌(散発性の癌)」とか「突発的に起こる場合(散発型髄様がん)」と記述され、「家族性(遺伝性)」、「遺伝性の癌」が対比で書かれていた。では、[甲状腺髄様癌]を調査してみよう。 

甲状腺髄様癌 | 隈病院 | KUMA HOSPITAL  https://www.kuma-h.or.jp/disease/20/
甲状腺髄様癌は甲状腺癌の中の約1.5%程度であり、比較的まれな病気ですが、次のような特徴があるので、特別な注意が必要です。
髄様癌はカルシトニンというホルモンを分泌するC細胞からできる癌です。
甲状腺C細胞12.jpg
この癌の約2/3はたまたまできた癌(散発性の癌)ですが、
約1/3は遺伝性の癌です。遺伝性の場合は血縁者の半分に同じ癌ができる可能性がある常染色体優性遺伝です。この場合には、髄様癌の他に褐色細胞腫(副腎の腫瘍)や副甲状腺機能亢進症を合併したり、分厚い唇や細長い体型などの身体の異常を伴うことがあります。
最近、遺伝性髄様癌にはRETという遺伝子に変異があることが判明しました。血液を少し採れば、DNAに異常があるかどうか検査できます。ご本人が遺伝性髄様癌であると診断された時は、血縁者の方々も、遺伝子に異常がないかどうか検査を受けられることをお勧めします。
散発性(非遺伝性)の髄様癌は癌の広がりに応じた範囲を手術で切除します。遺伝性の髄様癌は甲状腺の両側に癌ができるので必ず甲状腺を全て摘出し、リンパ節の郭清をします。
なお、乳頭癌や濾胞癌はヨウ素を取り込む性質があり、放射性ヨウ素による治療(アイソトープ療法)ができる場合がありますが、髄様癌にはこのような性質はないのでアイソトープ療法はできません。
★ だから、欧米式の治療法は使えないのだろう。
髄様がんはカルシトニンという物質を分泌する傍濾胞細胞から発生します。
甲状腺がん全体の1~2%程度とまれです。髄様がんには家族性(遺伝性)に起こる場合と遺伝に関係なく突発的に起こる場合(散発型髄様がん)があります。両者の比率はおおよそ半々です。
数多くのリンパ節転移が起こっている・・予後はあまり良くありません。肝臓に血行性に遠隔転移したり、縦隔のリンパ節などに転移を起こすことがあり、そうなると治療は困難です。
このように、散発性甲状腺≒髄様がんという意味なら「予後はあまり良くありません。」なのだ。
③は[放射線誘発性の甲状腺がんは予後が良好である事を、チェルノブイリ原子力発電所事故のデータが示す。] という旨なのだろう。木村 真三 委員が、検診体験から異議を訴えられた。 続く

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第6回目の県検証委員会「健康分科会」の感想・参、2020令和2年1月20日 [東電核災害の検証・新潟県技術委]

新潟県「原子力発電所事故による 健康と生活への影響に関する検証委員会 健康分科会」の第6回目が、2020令2年1月20日にあった。 資料などは此処から、https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/200378.pdf


議題⑴IARC提言について 資料3 甲状腺がんが注目される理由=原子力事故後の甲状腺健康モニタリングの長期戦略:IARC専門家グループによる提言 が説明された。
感想3 資料11頁「説明と詳細」には①[甲状腺スクリーニングは過剰診断につながり、死亡率も低下しないとの根拠が成人の観察研究である]、②[これが小児期と思春期の子どもたちにも当てはまり得ることを甲状腺がんの生物学データは示唆している]③[放射線誘発性の甲状腺がんは、散発性甲状腺がんと同様に予後が良好である事を、チェルノブイリ原子力発電所事故のデータが示す。] 旨の記載ある。
①は、韓国の成人の観察研究であるから、了解。
②は、生物学データを知らない。また「当てはまり得ることを示唆」だから、かなり”当らぬも八卦”な推論だな。
③は、先ず散発性甲状腺がんを調べよう。
【散発性甲状腺がん】 散発性との明記記述は、甲状腺髄様癌(ずいようがん)で見つけた。それでは、「たまたまできた癌(散発性の癌)」とか「突発的に起こる場合(散発型髄様がん)」と記述され、「家族性(遺伝性)」、「遺伝性の癌」が対比で書かれていた。では、[甲状腺髄様癌]を調査してみよう。 続く
甲状腺髄様癌で05.jpg


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第6回目の県検証委員会「健康分科会」の弐、2020令和2年1月20日 [東電核災害の検証・新潟県技術委]

新潟県「原子力発電所事故による 健康と生活への影響に関する検証委員会 健康分科会」の第6回目が、2020令2年1月20日にあった。 資料などは此処から、https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/200378.pdf


議題⑴IARC提言について 資料3 甲状腺がんが注目される理由=原子力事故後の甲状腺健康モニタリングの長期戦略:IARC専門家グループによる提言 が説明された。
感想2 最初の甲状腺がんが注目される理由の頁に、『0.2Gy未満という低い甲状腺線量の範囲をよく観察すると、甲状腺線量と甲状腺がんリスクの間で線形の線量反応関係が見出され、しきい値の根拠はなかった(Lubin et al.,2017)。』とあった。放射性ヨウ素はβ線とγ線を出す。共に放射線荷重係数(radiation weighting factor)は1だから、0.2Sv=200mSv・ミリシーベルト未満となる。その領域で「直線しきい値なし(LinearNon-Threshold:LNT)」がみいだされている。放射線防護のためのモデル・仮説ではなく、事実として認められている。だから、1~200msVの低い線量でも、対策する必要がある。
【Threshold: スレェシュホォゥルドゥ・・敷居;入り口、(その点を越えると何かが生じる)境界点】
その、体内からの内部被曝して、発生する放射線誘発性の甲状腺がんの性質が問題。 続く
甲状腺Isotope News2018年4月号6 No.jpg
しきい値なし(LNT)モデル図Isotope News2018年4月号2 No.jpg
続く

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