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passive safety 受動的静的安全性に欠ける遅れたデブリ冷却策・高浜原発パブコメ [AM-メルトスルー、CCI]

多様性
1985年から米国がTMI事故の教訓を踏まえて改良型軽水炉(ALWR Advanced Light Water Reactor)開発計画を実施した。それでは、電力やデーゼルエンジンなどの動的なポンプ、モータなど機器を制御系で能動的に動かすシステムに代って重力等の自然力を用いたタンク、熱交換器、弁等で構成される安全系「受動的安全系」の採用設計が柱の一つであった。これは重力移動や自然循環、大気の自然対流のような基本的な物理法則を機能に採用した受動的安全性(passive safety 静的安全性とも訳される)を持った「受動的安全系」の採用設計が柱の一つであった。重力等の自然力を用いた受動的(静的)安全系は、原理的に電力等の動力供給途絶による不稼働の確率はゼロ、弁など機械的故障に不稼働の確率が極めて少ない。これはシステム・機器の単純化による大幅な建設費低減と運転性、保守性の向上という目標達成のためでもあった。開発計画で採り上げられたBWRのSBWR(Simplified BWR、簡易化したBWR)は静的安全設計の全面採用している。この設計を基にしたESBWR(Economic Simplified Boiling Water Reactor )が開発設計され、NRCの認証を受けている。Economic Simplified BWR との命名が、それを顕している。なおESBWRを自然循環冷却式受動安全沸騰水型原子炉と訳する場合がある。

 「受動的安全系」は停電・電力途絶や故障の問題が少ないため信頼性の向上する利点があるが、駆動力が弱いため計画通りの注水ができない場合が想定される。非常用炉心冷却設備(ECCS)のように主として能動的安全機能と併用する。能動的・受動的安全系を組み合わせたハイブリッドな安全系に防護設計思想は進化している。

 原子炉格納容器下部注水設備は、原子炉格納容器の破損を防止するための重要な設備である。ところが、高浜原発の審査書(案)では、passive safety 受動的静的安全性をもったシステムではない。審査書(案)では、表4-4.8-1(p344)に一覧される諸設備で多様性を拡充したと認めているが、これらは  active  safety 能動的動的な安全系であって、passive safety 受動的静的安全性をもった安全系が一つもない。原子力規制委員会の審査、論議は不十分であり、審査をやり直すべきである。
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タグ:高浜
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