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川内原発パブコメ(8) 圧力容器内溶融物保持・IVRのAM [核のガバナンス・パブコメ]

「Ⅳ-1.2.2 格納容器破損」について

意見の要旨
川内原発に圧力容器内溶融物保持のシビアアクシデントマネジメント、IVR-AMを整備を求める。原子力規制委員会は、新規制基準第三十七条第2項の一つとして、IVR-AMを整備を求め、審査すべきである。それを加えて、新たな審査書(案)を示し、再度、意見公募、パブリックコメント実施することを求める。

意見

「Ⅳ-1.2.2 格納容器破損」では「大破断LOCA+ECCS 注入失敗+格納容器スプレイ注入失敗」と全交流電源喪失・SBOなどが重なった事故を想定している。そして、約19分後に核燃料の溶融が開始し、約90分後に原子炉容器を溶融貫通、メルトスルーするとしている。採られ検討されている初期の対策は、代替格納容器スプレイによる格納容器内の冷却、減圧及び原子炉下部キャビティへの注水である。そして熔融貫徹・メルトスルーするまで溶融燃料が冷却がされていない。
 従って、溶融核燃料は約90分後にキャビティに溜まった水、水深1.5m.の溜まり水に落下する。水中で細かく分かれ細粒化し、微粒子が生じる。地震などで水が動くなどして、細粒、微粒子を包む膜蒸気がとれたりすると、水蒸気爆発がおこる。幸いに起きなくても、溶融物・デブリの細粒や微粒子が大量に生じる。水が無くて直に格納容器のコンクリート床の落ちれば、その高熱でコンクリを分解し、その時の噴出ガスで細粒化微粒子化したり、コンクリート微粉に付着する。
 放射線や崩壊熱を出すこれらを回収し始末するのは大変で、それは東電核災害で今、その困難を我々は思い知らされている。東電核災害は圧力容器・原子炉を溶融貫通・メルトスルーしたら、収拾がいかに困難か我々に思い知らしめている。東電核災害は、メルトダウンが起きても溶融貫通・メルトスルーにいたらない対策の重要性を示している。

1979年のTMI事故で核燃料溶融メルトダウンは起きたが、溶融貫通・メルトスルーせずに原子炉にあった。それでTMI事故から6年ほど後に炉心、溶融核燃料の位置、状況を確かめて、十分な準備をして撤去工事が始めることが出来た。回収された溶融燃料はアイダホの国立研究所に収納保管されている。
 TMI事故炉の様に「シビアアクシデント時の溶融燃料を原子炉内に保持すること」を圧力容器内溶融物保持(IVR:In-Vessel Retention)と名付けられた。そうするための対策をIVR-AM とし開発されている。

IVR-AMは新規制基準第三十七条第2項「発電用原子炉施設は、重大事故が発生した場合において、原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。」にある必要な措置に当たる。川内原発の審査書(案)では、IVR-AMが見当たらない。整備を求める。

東京電力は、東電核災害の約一月前に東京電力は、シビアアクシデント事故時手順書の改定を行っている。「電力共同研究にて得られた最新知見(圧力容器内炉心保持(IVR)促進、溶融炉心ーコンクリート相互作用(MCCI)抑制等)を反映したAMG改訂に伴うSOP改訂」である。それには圧力容器内溶融物保持IVR促進のために「AM設備操作手順書に制御棒駆動系(CRD系)を新規追加。」している。東電福島第一原発では、全交流電源喪失・SBOに長期間陥ったため、実行されなかった。

中国で建設が進んでいるPWRのAP1000では、原子炉・圧力容器の上部外面まで冷却水で覆う。溶融核燃料が原子炉容器に加える熱を、外面を覆う冷却水が奪っていく。鉄製の容器の融ける融点よりもれいきゃくすいが気化する沸点温度は低いですから、原子炉容器は融けない。溶融核燃料は圧力容器内に溶融物保持される。

 日本でも1998平成10年度から2003平成15年度まで経産省の予算で行われている。(文献01)
それは、底面部に外部から冷却水をスプレイ(散水)による圧力容器外面冷却方式。AP1000よりも冷却水が接し除熱する面積が限られるため、これだけでは溶融を止めたりはできませんが遅らせることはできます。事故炉内部への冷却水の注水量が不足の場合の除熱を補い、合わさって溶融貫通を止めることが出来る。研究では、圧力容器外面冷却(IVR-AM)の無い場合の百分の一に貫通する確率は下がるとしている。
効果に関して同様の結果がPWRでも出ている。(文献02)

この圧力容器外面冷却(IVR-AM)は、既に完成している炉、運転を開始した炉にも、後付できる。他にa)PWR/BWR 共通に適用可能な、炉型を問わない対策、b)発電所や原子炉建屋内の設備配置・プラントレイアウトに影響されない、c)冷却開始が早いという特徴がある。

九州電力は、様々な知見を収集し、川内原発にIVR-AMを整備すべきである。原子力規制委員会は、新規制基準第三十七条第2項の一つとして、IVR-AMを整備を求め、審査すべきである。それを加えて、新たな審査書(案)を示し、再度、意見公募、パブリックコメント実施することを求める。

文献01
 「将来型軽水炉安全技術開発/シビアアクシデント対策設備安全性調査プロジェクト評価(事後)報告書 」
(平 成 1 6 年 7 月 、産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会 )
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/286890/www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/e00/03/h16/162.pdf

文献02 
「アクシデントマネジメントの有効性評価に関する研究」(吉田至孝氏)、http://www.inss.co.jp/seika/journal10/j10_19.htm



 


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